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第12章112【崩壊の序章、染まる大地】【前編】
空の裂け目から漏れ出す瘴気が、村を蝕み始めていた。 かおるとアリシアは、魔法陣の中心に立ち、村を守る結界を即座に展開する。
「みんな結界の外に出るな! 絶対にだ!」
かおるの叫びに、仲間たちは頷いた。だが、それは“手遅れ”という言葉と同義だった。
突如、魔法陣が光を放ち、異形の影が出現する。人型だが、その目には感情がなく、ただ破壊の意志だけが宿っていた。
「な、何……この魔物……」 この村の住人が震えながら剣を構える。
だが、次の瞬間――。
「っ……嘘……だろ……」
住人の胸を、影の一撃が貫いていた。静かに目を見開き、そのまま、彼女は力なく倒れた。
「あああああああああああ!!!」
叫んだのはルルだった。怒りに任せて突撃するも、影の攻撃は速く、鋭かった。
「……守れなかった……」
かおるの拳が、血がにじむほど強く握り締められる。 その隣で、アリシアも肩を震わせていた。
「この村も……仲間も……」 「全部奪わせない。俺が……終わらせる!!」
その怒りが、かおるの力を再び解き放つ兆しを見せ始めていた――。