第11章107【星空に沈む約束】
料理大会の熱気も冷め、祭りの後の静けさが村を包んでいた。
「はぁ〜……疲れたけど、楽しかったぁ」 ユーリが地面に大の字になって寝転ぶ。
広場の片隅では、かおるとアリシアが後片付けをしていた。
「ふふ、結局勝っちゃったわね、かおる」 「いや、あれはユーリの勢いとクレアの火力のおかげだろ」
笑いながらも、アリシアはそっと空を見上げる。
「星、きれい……」 「……ああ」
静かな時間が流れる。
「かおる」 「ん?」 「こうやって、みんなで笑って、くだらないことで騒いで……。なんか、ずっとこのままがいいなって思うの」
かおるは驚いたように彼女を見る。
「……アリシア、らしくないな」 「うるさい、いいから答えてよ」
少し照れくさそうに、かおるは言う。
「俺も、そう思うよ。みんなと一緒に、こんな日々を……守っていきたい」
アリシアが、ふっと笑う。
「……約束よ」
星空が、ふたりを優しく照らしていた。
その頃、村の小道では──
「ルル、クレア。今日はありがとうな」 「いえ……楽しかったです」 「来年もやるなら、レシピ開発しておきます」
そんな笑い声とともに、静かに夜は更けていく。