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第11章100【花灯り、ふたりの距離】
ついに100話突破です!やったー!
その日、村では年に一度の祭り「花灯り祭」が開かれていた。
空には無数の紙灯籠が舞い上がり、道端には色とりどりの屋台が並ぶ。かおるとアリシアは、人混みの中を肩を並べて歩いていた。
「こんなに人が集まるなんて、知らなかった」
「昔はね、もっと小さな祭りだったんだって。けど、今は……守ってくれる人が増えたから、できるようになったって」
アリシアの笑顔は、どこか誇らしげだった。
クレアは射的で子供たちに大人気、ルルは光るお菓子を売る謎の屋台を開いていた。村の誰もが笑っている。
──そんな中、かおるとアリシアは、丘の上の静かな場所にたどり着いた。
「ほら……花灯りが、全部見える」
夜空を舞う灯籠。風に揺れる火の粉。それはまるで、ふたりの過ごした日々が光になったかのように。
かおるは、そっと言葉を落とした。
「これからも、こんな日々が続くといいな」
「……うん、絶対に続けよう」
手と手が重なり合う。
世界はまだ不安定かもしれない。それでも、今日のこの光景は、ふたりだけの宝物だった。