第11章99【村に吹く、新しい風】
次の話で、ついに100話です!これからも頑張ります!
昼下がりの市場は、活気に満ちていた。かおるとアリシアは、日用品の買い出しに出ていた。
その時──村の門前に、見慣れぬ馬車が止まった。
ひとりは、長い金髪をポニーテールに結い上げた女性騎士。名前は【クレア・フィッツジェラルド】。元王都の騎士団長で、現在は放浪の旅をしている。
もうひとりは、小柄で眼鏡をかけた少女【ルル=シェイル】。自称・天才魔道具職人で、妙におしゃべりだが愛嬌がある。
「うわっ、ここが例の“異世界転移者の住む村”かぁ~!いろんな意味で怪しい空気感じるよ!」
「ルル、静かに。……あなたたちが、この村の守り手たち?」
クレアの問いに、かおるは笑って答えた。「まあ、そんなところかな」
その日から、村にまた新しい風が吹き始める。
ルルは魔道具で広場に謎の噴水を作って子供たちに大人気。クレアは鍛冶場で村人たちの剣を鍛え直し、尊敬を集めていた。
穏やかで、少し賑やかになった日常の中で。
かおるはアリシアと、村の坂道を並んで歩いた。
「……にぎやかになったね」
「うん。けど、こういうのも悪くないな」
彼の言葉に、アリシアはそっと手を握った。
──静かで、幸せな日常の一日が、また終わろうとしていた。