第2章11【任務外任務と、なぜか俺が監視対象】
11話です!
「田中カオル、キミには――“監視”がついた」
朝からギルドで告げられた第一声がそれだった。
「……ちょっと待て。何かしたっけ俺?」
「うん。君、昨日“命がけでギルド守った”よね? それが“怪しい”らしい」
「なにそれ!? 俺、真面目にがんばっただけじゃん!」
クロエが、書類を読みながらさらっと続ける。
「新米なのに実戦で三人も斬って、しかも冷静だった。ねえ、普通はもう少しパニックになるよ?」
「俺、転生者だから耐性あるだけで――あ、言っちゃった!」
「言っちゃったね」
アリシアがすかさずフォロー。ていうか笑ってる。
「でも、安心して。監視といっても“任務外任務”。実質、君に同行するだけよ。ね、クロエ?」
「ええ、私はこれからも一緒に行動する。公式には“君の安全管理”だけど」
つまり、俺はクロエの“ついで扱い”。
でもまあ、頼りになるのは事実なので文句は言えない。
「じゃ、任務いこうか! 今日の依頼はスライム討伐!」
ジークが元気に声を上げた。
いや、昨日ギルドが爆破されたばかりなんだけど……もう行くの?
「……切り替え早くない?」
「心が健康な証拠さ!」
「カオル、今更で悪いんだけど、荷物担当ね。あと昼飯は自前でお願い」
「どんな扱い!? 俺、主人公じゃなかった!?」
その日、俺はスライムに囲まれながら思った。
“監視対象”って、なんかちょっと損な役回りな気がする。
だけど、俺は知っている。
スライムの群れの奥に、“黒いローブ”の影が一瞬見えたことを。
敵はまだ、こちらを見ている――。
でも今は、昼飯のコンビニおにぎり(異世界版)を守るのに必死だった