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第10章95【約束の灯火】
戦いの余韻が残る廃墟で、かおるたちは傷を癒やしていた。
だが、空気が変わる。
かおるが即座に剣を抜いた。「来る──アトラス教団の増援だ!」
セラ(仲間の方)はすぐに防御結界を張り、味方をかばう。「アリシア、かおる、後ろに下がって!」
しかし──遅かった。
教団の幹部級と思しき黒装束の男が、瞬間移動のような動きでセラの胸元を貫いた。
「……セラ!!」
鮮血が散る。セラは膝をつきながらも、笑った。
「……また、私だけ……無茶してるね」
かおるが彼女を抱きとめる。「何で……そんな、馬鹿なことを……!」
「……かおるが、生きてる方がいい……そう思っただけ」
アリシアは泣きそうな顔でセラに手を伸ばした。「いや、まだ助かる! 私の魔力で──」
「だめ。もう……感覚が、ないの……」
セラはアリシアに微笑み、最後にかおるの頬に触れる。「二人が、幸せでありますように──それだけが、私の……」
彼女の手が、すとんと落ちる。
風が吹き抜け、白い花弁のような魔力の残滓が空へ舞っていった。
静寂の中、かおるとアリシアは、祈るようにセラの名を呼び続けた。