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希望へのチケットをつかみ取れ!

作者: Mirai

「藤田先生の娘に対しての冷たい態度のせいでやめることになった。藤田先生の評判SNSで見てみた結構酷かった。やっぱりみんなそう思ってるんだろうなぁ。」


この言葉をレッスンが終わった時に、マ友たちが僕に聞こえないようにひそひそと話していた。俺は昔から耳がいいからはっきりと聞こえた。こういうことは昔からよくあったので、そういう言葉には少し、傷ついていた。


その二か月後、俺はつらくなってしまい、僕はそのダンススクールをやめた。退職届を出すついでに近くのちょっとレトロな感じのカフェに行った。席に座り、外の景色を眺めていると、「ねぇ、君、礼音くんだよね?」


と誰かから話しかけられた。ふと、後ろを振り返ってみたら、同じダンススクールに務めていた鬼先生、波村友也がいた。


「あっ、なっ波村先輩!」

僕は焦って波村先生のことを先輩と呼んでしまった。波村先生は焦って、

「そんな、先輩って呼ばなくていいよ。普通に友也でいいよ。」

とやさしく答えてくれた。鬼先生のイメージは全くない。

「なんで来てるんですか?」

「僕、退職届を出してゆっくりしようと思ってここに来たんだ。もしかして、礼音くんも?」

「そうです。」

緊張しているような声で言ってしまった。

「そうなんだ。ほかにも、奈々未とか、誠が出してたよ。」

あの明るい奈々未と誠が辞めるなんて、結構酷いダンススクールなのだと思う。ずっと話続けていたら、三十分も経ってしまった。コーヒーを一口飲むと、友也が、


「理由は普段から見ていたからわかるんだけど、本当に辞めてよかったのかって俺はやめてよかったと思うよ。いつも通っている猫カフェの店員になるし。」


「僕もほかの仕事に就きたいと思います。友也さんは猫が好きだったんですね。意外でした。」


「そんな以外?僕話してた気がするんだけど。僕と同じでほかの仕事に就くのね。仕事探し頑張ってね。」


「ありがとうございます!」


礼音は勢いよく言った。


三月の最終金曜日、僕は最後のレッスンをした。ありがとうございました!」といった時の達成感が半端なかった。僕たちや生徒がこの日、辞めたら生徒たちの人数は五人、先生たちの人数は三人になり、過去最悪の事態になっている。その後いろいろお礼をし、全員帰って行った後にお疲れ様会をした。なんとか退職する先生は僕を合わせて十五人だった。やめたあとの先生たちと色々話した後、実家に帰るために東京駅まで行って名古屋まで新幹線で行った。一時間ぐらいで着いた。ホームから出たところに、母さんがいた。車が置いてある駐車場に行って、車に乗った。駐車場はジュースのカップでいっぱいだった。少し不気味な感じがした。いつもと違って駅から車に乗って実家に行くのには時間がかかった気がする。


家に帰った後一時間ぐらい睡眠をとった。夕食を食べるとき、家族みんなが集まるのでこの機会に退職したことを言おうと思っていたので夕食の時間になるまでドキドキしていた。


いよいよ夕食の時間だ。大きいテーブルの周りに俺、母さん、父さん、妹が座っていた。家がイタリア料理店なので、食事は、大抵ピザやパスタなのだ。

僕は大きく深呼吸をして、話を始める。

「実は…今日、話したいことがあるんだ。僕実は、ダンススクールを辞めたんだ。」


みんなポカーンとしている。まるで銅像のようだ。母さんが、


「なんでやめたの!?」


と驚きながら質問した。


「ちょっと、俺には合わなくてその…」


「私知ってるわ。お兄ちゃんが、インターネットで誹謗中傷受けてるからでしょ。」


妹が俺の代わりに答えてくれた。妹がネットをよく見ているのは知っていたけれど、ここまで知っているとは…。


「お母さんびっくりしちゃったわ。まさか東京でそんな目に遭ってるとは…。」

父さんが驚いた時に、動いたメガネを正しくかけると、

「お前、まさか無職になるとか言わないよなぁ?」

まさかこんな質問が来るとは思わなかったけど、無職になるつもりは無いので、

「これから職を探すよ。」

と言っておいた。

母さんがため息を吐いて、

「そうなのか。辛かったね。」

と言い、父さんが、

「すぐ言ってくれればよかったのに。礼音はがまんするからなぁ。」

と言い僕を励ましてくれた。

その後は、仕事について沢山聞かれた。




東京の家に帰って数日したある日、友也から一件のLINEが届いた。「今日、話したいことがあるから来てね。前に会ったカフェで十五時待ち合わせ。」と書いてあった。何の話だろうか。



約束の十五時にカフェに行った。友也は、先に席に座っていた。向こう側の席に座った。

「礼音、今日は話したいことがあるんだけど。いい?」


友也は珍しく緊張した顔をしている。一息おいて、

「僕と一緒にダンススタジオを作らないか?前のスタジオみたいにはきっとならないから。」

友也がそんな事を言うなんて、思わなかったけれど、また大好きなダンスを仕事にできるチャンスができる!と考えると一気にやりたくなってきた!!

「はい、一緒にやりましょうよ!!絶対に最高なスタジオにしましょう!」

と言うと、友也が目をキラキラ輝かせながら、

「本当!?早速、どんなダンススタジオにするか決めよう。」

友也の猫カフェバイトは大丈夫なのかと聞くと、

「今日辞めてきた。」

と、言われたので友也の覚悟は凄まじいと思った。また、ダンスを教えることが出来て僕はすごく嬉しかったた。カフェで2時間ぐらいダンススタジオについて話していた。


あの日の後も、ときどき集まってどこにスタジオを開くか、どんなデザインの建物にするかなどを決めた。話し合いは最初、僕と友也しかいなかったが、奈々未や誠が入って来てますます楽しみになってきた。




来年春のオープンを目指して、僕たちは着々と準備を進めていった。SNSやチラシで生徒を募集した。なんと、40人以上の方々が応募してくれた。そして施設も完成した。みんなに楽しみながらダンスをしてほしいと思った。大体オープンについてまとまってきた頃、スクールの名前会議をした。名前は、友也+礼音で「トモレオ」だ。


二か月後、「トモレオ」が開校した。生徒の方々が真剣にダンスに取り組んでいるところを見ると、生徒さんの誰かが将来、ダンサーやアイドルになっていると妄想すると、僕が楽しみになってくる。

友也とこんな話をした。

「生徒のみんなが楽しんでくれているようで本当にこのスタジオを開校してよかったな。」

「本当。みんなの笑顔が常に見られて、僕たち本当に嬉しいよ。」


僕たち四人では教えきれないくらいの生徒数になった。そして、テレビの取材を受けるほど大人気になった。ますます大変になってくるが、生徒たちの真珠のような笑顔で頑張っていける。そして、先生の数を増やして「トモレオ」はさらにパワーアップした。

増やした先生には、前働いていたスタジオの先生もいるが、雰囲気は全く違う。本当に生徒たちが楽しそうで、毎日キラキラした笑顔を見せてくれる。時々、前のダンススクールを思い出す事があったが、環境は全然違うからかすぐに忘れられた。前のダンススクールは地獄みたいな雰囲気だったからずっと居たいと思ってしまう。


希望へのチケットは、1人だけで取れるものではないと思った。僕は、友也のおかげで希望へのチケットをつかみ取れたと思った。


僕は、これからも、「トモレオ」を続けたいと思うし、みんなのために、毎日頑張らなきゃと思う。

「今日もよろしくお願いしまーす!」

また、授業が始まる。未来に羽ばたいていく生徒たちのために。


読んでくださりありがとうございます!この作品は、個人的なお気に入りなので投稿させていただきました。また、この様な作品が書けるように努力致します。

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