縁を切るなら、早めの方がいい
お呼びでしょうか、父上。
ああ、はい。例の件ですね。
俺も覚悟を決めました。離縁を受け入れます。テレーズはごねるでしょうが……仕方ありません。
マリウス様はラガルド侯爵閣下のご嫡男。ブランシュ嬢とマリウス様の婚約が正式に決定した今、ブランシュ嬢へ嫌がらせを行っていた妻を手許においておくわけにはいきません。
俺が、お仕えする閣下へ翻意ありと受け取られかねませんからね。
……そう悪し様に言わないで下さい。
あれでもリュッケの母親です。それに、実家さえ絡まなければ良い妻だったのですよ。
義弟がもっとしっかりしていればと思わなくもないですが……。
とはいえヴィトリー伯爵夫人もだいぶやらかしていたようですから、こうなることは時間の問題だったのでしょう。
ヴィトリー伯爵夫人はブランシュ嬢のみならず、姉のカロリーヌ嬢にも暴言を吐いていたようなのです。
そのせいで、フォルジュ侯爵家からも苦情を申し立てられたとか。ええ、カロリーヌ嬢の婿殿はフォルジュ家のご令息ですからね。
二つの侯爵家を敵に回したのです。最早ヴィトリー伯爵家に先は無いでしょう。
あんな家と繋がっていたら、俺の出世どころか、我が家の存続すら危うくなるかもしれませんからね。早々に縁を切りますよ。
はい?新たな縁談ですか?
しばらく結婚はしたくないですね。
いや、妻に操を立てているわけではないですよ。今回の件で少し女性が怖くなってしまったと言いますか。
ええ、いずれ新たな妻を迎えねばならないのは重々承知しております。
リュッケにも新たな母親が必要?息子が大きくなる前に、親子関係を築くべき。
はあ。それは、確かに父上の仰る通りかもしれませんね。
分かりました。そちらはお任せ致します。
ええ、離縁の手続きはすぐに。