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プロローグ

 二〇三〇年十月二日

 日本を含む世界各地に自らを"怪人"と名乗る謎の集団が突如出現した。

 自らを怪人と名乗る集団は人類を遥かに上回る特殊能力で世界各地の都市を瞬く間に壊滅状態に陥れて行った。

 そんな怪人達に対して日本を含む世界各地の首脳陣達は、それぞれ自国を守るために、自分達が所有する軍隊や自衛隊を討伐のために送り込んだのだが、人類を遥かに上回る特殊能力を持つ怪人達に対しては軍隊や自衛隊が有する武器や兵器の効果は薄く、一瞬にして怪人達の手によって壊滅されてしまった。

 怪人達の力を目の前で見せ付けられた各国の首脳陣や国民達は世界の壊滅を覚悟した。

 だがその時、怪人達のような謎の特殊能力に目覚めた人々の手により怪人達は撃退され、世界に再び平和が戻って来たのだった。


 後に"第一次怪人侵攻"と呼ばれるようになる出来事が起きてから既に数十年の月日が経っていたが、未だ世界各地には怪人の出現は続いていたが、人類は壊滅するどころか平和の日常が今も続いていた。

 何故怪人が出現しているのにも関わらず、平和の日常が続いているのか、それは第一次怪人侵攻の際に"怪人"と同様に出現した"ヒーロー"という存在が大きかったからだ。

 当初怪人と同様に出現したヒーローの数は怪人と比べて少なかったが、時が経つに連れて特殊能力に目覚める人々が増えて行き、いつしか世界総人口の五割がヒーローとなっていた。

 しかし、ヒーローが増えるに連れヒーローという存在を悪用した犯罪も増えて行き、そんなヒーローという存在を悪用する者たちに対して各国の首脳陣達は世界各地にそれぞれ"ヒーロー支部"というものを設置し、全てのヒーローはヒーロー支部に所属することを義務付けると同時にヒーロー支部に所属しないヒーローは永久的にヒーローの資格を剥奪するという異例の対処を取ったのだった。






「この度、黒川怜也様が討伐しました怪人魚丸の討伐料は五百三十四ゴールドとなります、どうぞお受け取りください」


「たった、五百三十四ゴールドって嘘ですよね?」


「いいえ、討伐料は五百三十四ゴールドで間違いありません」


「い・・・いや、今回戦った怪人は普通に強かったんですよ!!何回も死にそうになったし、なのに何で報酬が五百三十四ゴールド何ですか!?」


「黒川様、大変申しにくいのですが怪人魚丸のランクは一となっておりますのでこれ以上の報酬をお渡しすることは出来ません」


「えっ、ランク一・・・?」


「一応、これが怪人魚丸の情報となります」


「本当にランク一なのか・・・」


「これで、報酬の金額に関しては納得行きましたでしょうか?」


「は・・・はい、納得行きました。ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」


 日本の首都である東京都にあるヒーロー支部の換金所でC級ヒーローの黒川怜也が怪人討伐の報酬を受け取っていた。

 受付嬢から報酬を受け取った怜也は報酬の少なさについて受付嬢に詰め寄ると受付嬢からまさかの答えが返ってきた。

 受付嬢から返ってきた答えは"怜也が倒した怪人のランクは一"というものだった、この答えを聞いた怜也は驚きながら受付嬢が見せて来た怪人の情報が乗っている用紙を見てみると、確かに怪人のランクは一と記載されていた。

 怜也は怪人の情報が記載されている用紙を置くと騒ぎを起こしてしまったことを謝罪してから報酬を握り締めたままヒーロー支部を後にした。


「はぁ〜、怪我を負いながらも何とか倒したのに報酬がたったの五百三十四ゴールドって、これじゃ今日の夕飯代だけで無くなるよな。やっぱり、B級ヒーローにならないと安定した生活は得られないだろうけど、俺の今のレベルじゃ万年C級ヒーローだしやっぱり地道に怪人討伐を頑張るしかないよな」


 自身が想像していたよりも報酬が少ないことに対して意気消沈しながらヒーロー支部を後にした怜也は今回の報酬を見つめながら一人でそんなことを呟いていた。

 何故、ヒーローである怜也がこんな厳しい生活を送っているのか、それは"ヒーロー階級"というものに理由があった。

 そのヒーロー階級とはヒーロー支部が出来たと同時に出来たものであり、ヒーローをS級、A級、B級、C級という四段階の階級に分けるというものであった。

 そんなヒーロー階級にはとある制度があり、その制度というものは階級によって支払われる報酬が違う報酬制度というものであり、S級は固定給やボーナスの他にトレーニング施設が与えられ、Aは固定給とボーナスが与えられ、B級は固定給のみが与えられ、C級は怪人を倒した時に与えられる討伐報酬のみが与えられるというものだ。

 そのため、怜也のようなC級ヒーローの一部は毎日自分達より格上の怪人達を死ぬ気で倒して行き、死に物狂いで生きているのだった。


『佐藤俊哉だが、黒川君だろうか?』


「あっ、俊哉さんですか。一体どうしたんですか?」


『いや、実はなヒーロー支部の方からランク三の怪人の討伐依頼を任命されたのだが、観察する限りその怪人はランク三にも関わらず意外に手強いようで、私一人だけで撃退するのは難しいみたいなんだ』


「は・・・はぁ・・・、それで何で俺に電話を掛けて来たんですか?」


『そのことをヒーロー支部に連絡すると単独で討伐出来ないのならヒーロー同士で連携して倒すように指示を出されたから、こうして知り合いのヒーローに電話を掛けているんだ』


「え・・・えーと、つまり話をまとめるとそのランク三の怪人の討伐を手伝って欲しいってことですか?」


『あぁ、簡単に言えばそうゆうことだな。もちろん、報酬は弾むぞ』


「・・・・・・分かりました、俺でいいならそのお話お受けします」


『ありがとう黒川君。集合場所は英雄の銅像になっているか出来るだけ早く来てくれ』


「はい、分かりました」


 報酬を見つめながら、夕飯の献立を考えているとポケットに閉まってある携帯が鳴り出てみると、電話の主は個人的に親交があるA級ヒーロー佐藤俊哉だった。

 そんなA級ヒーローである俊哉からの電話の内容はランク三の怪人の討伐を手伝って欲しいというものであり、それを聞いた怜也は自分の力量では足手まといになると思い断ろうとしたが"報酬を弾む"という言葉を聞き、その話を受けることにした。


「よしっ、英雄の銅像はここから近いし走れば十分か十五分ぐらいで着きそうだな」


 電話を切り再びポケットに閉まった怜也は俊哉から指定された集合場所である英雄の銅像に向かって走り出して行った。

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