自然は偉大である
せっかくの異世界転生なら悪役令嬢とかモブで無双とかチーレムのほうが良かったのに…そんなワタクシは今、ダンゴムシに食われそうになっております。
『くぉーッ!!!このまま食われるしかないのかぁ!ステータスオープン!…でないし!ファイヤボール!、サンダー!、アイスニードル!なんか反応してくれってばぁ!』
必死にもがけど何もできず、冷や汗が滴りそうになる、いや冷や汗でないっしょ!とか思ってたらなんか光る粒みたいなのが葉っぱの裏から出て辺りに漂いだした。
すると風に流された光の粒にあたった蔓草のツルが急に伸びてきて、ダンゴムシに絡みつく。
ダンゴムシは絡みついたツルを噛みちぎろうと向きを変える。
『ひゃーなんか助かった??でもまたこっちに来るよねきっと…』
蔓草のツルがダンゴムシに噛まれている間に第2第3と四方八方からツルが伸びてきてダンゴムシに絡みつく。
ダンゴムシは身動きが取れなくなり、沢山ある小さな足を空回りさせている。
『これま?助かったぽくない?ねぇ助かったよね?ありがと~名もなき蔓草さん!』
ダンゴムシは動けなくなったが、ギジジジジとか顎を鳴らしてまだ諦めた様子はなかった。
とりま、安全にはなったけど、精神衛生上あまりよろしくはないよねと悩んでいたら、小さな極彩色の鳥が飛んできてダンゴムシに迫る。
『おぉぉぉっ鳥さんかっけー』
などと思った時期もありました。
鳥さんは捕まっているのがダンゴムシだとわかったのか速攻でターンして近くのキンギョソウのような花に首を突っ込んで蜜を吸い出した。
『た、助けてはくれないんだ…まぁ異世界といえどもそれほど都合よくは…ねぇ…』
ギジジジジにしばらく付き合うことになるのかと諦めかけたその時、ダンゴムシの足元から薄黄色い糸のようなものが大量に真上に生えたかと思うと薄黄色い膜に早変わりして一気に覆った。
しばらくダンゴムシは暴れていたが静かになった。
薄黄色い膜はしばらく蠢いていたが、だんだん小さくなってゆき、地面に消えたときには何も残されていなかった。
『恐るべし自然の力!ありがとう蔓草さんと粘菌さんたち!あと、そこの鳥!…は、まぁ頑張っていきてください』
双葉を揺らしながら感謝の踊りを捧げてみた。