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隠れ家の棟上げ

「水で木を削れな…あ、水圧をかけて切ったらどうだろう、ウォーターボールからのチョロ水(強)」

ズバッシュッ!!!…勢いよく水が吹き出し木はの表面を激しく叩く…がしかしノーダメージ、ずぶ濡れになっただけだった。

「Oops!異世界ハ甘くないデスね」

なんかやりようはあると思うんだよねと暫し考える。


「サンドブラストみたいに削れると楽だよね、あれって出来ないかなぁ、ウィンド!」

「…」

「字幕に無音って書かれるレベル、しかたがないな、こうなったら…」

「…風の精霊の御名において命ずる!風よいでよ…バースト!」

「…」

「…ぷーくっくっく…くっそ恥ずい!けど誰も見ていないからセーフ?」


そういえばバナナもどきを潰すのに石を入れて使ったあれでは出来ないかな?と気づく。

近くの砂を拾って小さめの水玉で覆う。

「うず潮、うず潮、うず潮、うず潮、うず潮、うず潮、うず潮、うず潮」

ヒュウゥゥゥゥンンという音を立てながらすごい勢いで砂入りの水玉が回転しだした。

「なんかヤバそう…」

水玉が遠心力で広がりそうになるのをぎゅっと押さえるように意識して更に回転を上げる。


端材で試してみようと水玉を押し当てたらシャーという音とともに傷がつく程度、押しあてた水玉の形が歪んでいる。

砂を大量に入れて再度チャレンジ。

「もうこれ土魔法と言っていいレベルの石の混合率」

灰色の水玉の回転を上げる、回転が上がっていくと回転させてる方向に持っていかれそうになるので常に微調整をする。

木に押し当ててみるとカカカカと音を立てながら水玉が歪むのに構わず更に押し込むと、木が少し凹んだ。

「お?やった!」と思った瞬間、水玉が蒸気を立て始め、ヒュン!と音を立てながら小石が頭の横を通過していった。

「ヤッバッ!静まれ、静まれ、静まれ、静まれ、静まれ、静まれ、静まれ、静まれ…うあっちっちっち、ふぅこれじゃこっちが穴だらけ&火傷になりそ」

『主ぃ風斬は?』

「丸く切りたいのと溝だからね、風斬は威力がありすぎかな」

『主ぃ下位スキルの風刃あるよ』

「風刃?」


『あぃ卵や繭から出る時つかう』

「へぇ風刃(ふうじん)って言えば発動するのかな、じゃぁいくよ風刃!」

一瞬小さな白い刃が見えてすぐに消えた、風斬のように飛ばないみたい。

枝を持ってきて風刃が出たところに置いて再度風刃を出す。

枝がスパッと切れた。

更に風刃をずらして出して横の枝を切る、枝が切れたせいでバランスが崩れて枝が動き、風刃を出した場所で枝が切れた。

「ん?見えないけど残っている?」

枝を持って風刃の出した位置に持ってゆくとスパっと切れる、5秒位すると切れなくなるので風刃の効果が消えるようだ。

見えない風刃を意識して集中しているとずっと出し続けられることもわかった。

「制御の仕方はわかった、虫たちは実際にはどうやって使うの」

『目の前に何度か出すだけ、気づいたら風斬つかえた』

「繭から出るために使う経験値でスキルがクラスチェンジするのか…使えないと繭から出れない…という淘汰が発生するってことか、かなりの虫が風斬を使えるんじゃない?」

『虫は上位スキルない歯のほうがいい』

「あぁ歯か、歯で削ったほうがスキルを使うより好都合なのはスキルを使う制限みたいなのがあるから?」

『あぃ沢山使えない』

「で、風斬はアラクネみたいに特別な個体にならないと生えないと」

『わからない』

「まぁいっか、風刃を上手く使う方法かぁ…彫刻刀みたいに棒の先に出す?そもそもなにかの上に出して動かせるものなの?」

石の上に風刃を出して持ち上げ、枝に当てると枝が切れる。

「おぉ動かせる」

となると、切れ味は風斬並だから軽く押さえる感じでいいのかな。

T字の縦の部分にあたる枝に溝の太さ分の間隔をとって風刃を2本出す、T字の横の部分を梁の側面に当て幅を固定して切れないか試す。

スッと豆腐でも切るかの如く刃が入って、T字の枝を梁にこすりつける感触しかない。

梁の端から端までT字の枝を動かすと綺麗な2本の切れ込みが出来た。

「この部分をどうやって削ろう?大工さんならノミで削るんだろうけど…」

適当な枝の先に風刃をだしてみるも尖すぎて先割れ現象が起きず上手く削れない。

「なんかこう…帯に短し襷に長しって感じだよね、グラインダーとかルーターみたいにバーンって出来るスキルが有ればいいのに?お?」

水玉を出した後に風刃を水玉に生やし、水玉をうず潮で回転させる。

「うず潮、うず潮、うず潮、うず潮、これくらいでいいかな、じゃちょっと試してみよう…」

クァァァンと気持ちのいい音を立てて木が削れて木片が飛ぶ。

「うわ、これってチートじゃない?」

少しはみ出たけど溝を一気に彫り出せた。

「よしこの技はルーターと命名しよう、なんかちょー爽快!」

『主ぃ気持ちいい』

振り向くとキクイムシたちが落ち込んでいる。

「まぁドンマイ」


梁に棟木を差し込んで繋いで安定させた後、扉の枠を梁と横木の間に立ててみる。

枠が若干大きめだったので、横木と梁の表側と枠の内側を半分ずつルーターで削って組み合わせる。

少しうねりのある枝を半分に切って線対称の形にし、扉の枠の付け根から梁に向けて45度の角度でつっかえ棒の形にする。

左のつっかえ棒の上に蹄鉄型の窓枠を乗せるホゾを風刃で切った後、キクイムシたちに角出ししてもらって固定する。

梁の溝に合わせて板を切って端から溝を通して並べて内天井を作った。


「じゃぁ板を加工して扉を作ってもらおうかな」

『任せて』

アラネアが扉の上に登り糸を垂らして長さを測ったりしている。

大きめの枯れ枝を2本拾ってきて中心部分をルーターでくり抜き、レール状にし壁に仮置きしておく。

アラネア小隊が削ってくれた扉の板を木釘を刺して組み立て、レールにはめて転がり具合を調整する。

「ほい、ごろごろードスンって感じ、初めてにしては上出来っしょ」

『主ぃ目が回る』

アラネアはドアに張り付いていたので目を回したみたい。

「あはは、じゃぁ今日はおしまい、スピカを迎えに行こうか」


夕暮れが迫る空を崖の上から眺めてスピカを待つ。

少し風が寒くなってきた、もう少しで実りの秋が終わり冬が訪れるのだろうなと肌で感じる。

「寒くなってきたけどスピカ大丈夫なのかなぁ…おっ噂をすればってやつ?」

「スピピピッ、スピーー」

「おかえり、さぁ帰ろうね」

森へ向かう途中で夕日に照らされた木々を見上げると、日が当たる方角の枝の葉が色づき始めているのが見えた。

「急がないと…」

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