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魔法で捗るサバイバル生活

火が(おこ)せるとなると木の実とか色々食べれらるものが増える。

一旦作業現場に戻って編みかけの筵袋を取ってくることにした。

まだ行ったことのない西側の森に入っていくと藤蔦にキーウィのような実をたくさんつけた木を見つける。

『頂いて良い?』と一応聞いてみる、みんな食べなければ大丈夫らしい。

熟した実を選んで割って舐めてみる。

「うん、味はキーウィ、確かサルナシってあったよね、そっちに近いのかなぁ」

小さめの実は酸味が強くて甘みもないのでまた次の時に頂こう。

サルナシで満腹になったあと散歩しているとドングリがたくさん落ちている場所を見つける、長細いドングリと丸くて大きいドングリを虫に食われたり古くなっていないか確認しながら拾ってゆく。

「リスとかに食べられた後はない感じ、小動物はいないと…アンデスの高地でモルモットを食べるらしいけど、まだ異世界なれしていないんでパスだし…ちょうどいいかな」

直ぐに袋いっぱいに集まったので草原に戻る。


またひたすら縄を作っては袋を編む。

「こんなもんかな」

持ち上げて広げながら確認。

「これ以上大きくしても引きずりそうだし、ここまでにしておこう」

袋の口に持ち手の紐を通してトートバック風にしてみた。


できたばかりのトートバックに採取してきたドングリを詰め戻す。

まだ日が陰るまで時間があるのでドングリのアク抜きをしておこうと川へ向かう。

ウロに一番近い河原に降りて、流れから40cmくらいの所の石を何個か掘り起こして縁に積み上げプールを作る。

プールに溜まった水が流れるように下流に向けて溝を掘るとチロチロとした流れができた。

ドングリが流れないように大きめの石で隙間を潰さない程度にせき止めドングリを入れる。

半分くらいのドングリが沈まないで浮かんだり中途半端に浮いた状態になっている。

「あー思ったよりハズレが多いなぁ」

浮いてきたドングリを掬って川に流す。

沈んだドングリを平らな石の上に乗せて鬼皮を踏んで割ってから剥いて再びプールに戻して放置。


河原に来たので本格的に火熾しを試すことにした。

石を積み重ねて簡単な(かまど)を作り、中に流木を組む、流木の隙間に小枝と落葉を詰め込む。

枯れ草と落葉を焚き口において水玉を作る。

「ウォーターボール」

光を収束させて枯れ草に当てると煙がすぐ出るも火が点かないで消えてしまう。

一旦水玉を消して、枯れ草をたくさん集めてきて再度挑戦。

枯れ草の中の方に光の焦点を当てると無事着火、慌てて落葉をかぶせて火を移し、焚き口の火口の枯れ草に落として口で吹く。

煙がポッと音を立てて炎に変わり、枯れ葉から落葉に火が燃え移り威勢よく燃え出す、小枝もパチパチ火を爆ぜた。

小枝をどんどん乗せて火を大きくしながら、少し太めの枯れ枝を重ねていく、流木が焦げだして表面が爆ぜだしたので一安心。

落葉を拾いに行った時に見つけた蔓草の実を竈の石の上に置いて蒸気が立つまでまつ。

「多分、むかごだと思うんだよね」

枝で作った菜箸でむかごを一つつまみ、脇の石の上に置き冷えるのを待つ。

「熱っ、でも美味しい、味はじゃがいもだね」

とりあえずむかごを完食。

「焼きバナナもどきも作れそう、明日チャレンジしてみよう」

火を消そうとして何か足りていないことに気づく。

「なんか抜けてる気がする、なんだろう…あ、鍋がないのか、ドングリ煮れない…」

愕然として膝落ちする。

「石じゃ無理だろうし、焼いたら固くて食べられなくなりそうだし、栗なら爆発覚悟で火にドーンでも行けなくはないけど」

水玉の練習も兼ねて火を消すことにした。

「ウォーターボール」

水玉をつくって竈の上に持っていったところで気づく。

「このままキープしていたらお湯が沸くんじゃない?」

ということでしばらく水玉を出しっぱなしにする。

熱対流が起きているのが後ろの風景が陽炎のように揺らめくのでわかる。

落葉をつまんで水玉に落とすと中でくるくる舞っている。

「お茶なら作れそう…あぁでもカップないし…熱っつ!」

水玉を指で弾くように飛ばすと湯気を立てて飛散する。

「これは攻撃魔法みたいで面白いかな、攻撃する相手いないけど」

水玉を直接熱するやり方は悪くないとは思うけど、熱対策をどうにかしたい。

「電気ケトルみたいに小さい水玉を一気に沸かすとかなら耐えられるのでアリ?あー小さい水玉から初めて少しずつ大きくしていって途中で切り離せば良いのかな?」

早速試す。

ウォータボールからのチョロ水を試す。

「おぉ意外といい感じチョロ水のお陰か少し水玉を離した状態にできるし、なにげにこれって二重詠唱じゃない?お湯沸かし二重詠唱法って魔法学園に入ったら卒業論文にしよう、学園があるかはかなり微妙だけど」

火を消すのがもったいなくなったのでなにか出来ないか考える。

「炭で食器が作れないかな」

河原を歩いてなるべく平らなのを探す。

安定する面を下にして石の上に乗せ、竈から燃えている炭を持ってきて乗せる。

しばらく放置したあと、炭をどかして焦げたところを石で削ぎ落とす。

「う~ん、ちょっとだけ凹んだかな」

流木の底になる方を水で濡らして盛大に炭を乗せてみる。

水が簡単に蒸発してしまうので、一旦中止。

河原を掘って浅いプールを作り、流木を置いて炭を盛大に乗せてみた。

炭が直ぐに消えてあんまり良くないうえに形が保証されない。

「熱した石に当てて焼くほうが確実かも、さて続きは明日にしよう」

草原にいってスピカを待つ。

日が落ちる直前に相棒が髪の毛に飛び込んできた。

「おかえり、お家へ帰ろう」

「スピッスピーースピーー」

暗くなった森を星あかりを頼りに歩いていく…夜の森は少し不気味…。

「…スピカがいれば大丈夫、大丈夫、ねぇ聞いて、今日も頑張ったんだよ「スピーー」って聞いていないか」

空を見上げると青い月が明るく輝いていて、夜道を照らしてくれている。

月が私達を優しげに見下ろしているような気がした。

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