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有益植物とのチート的な出会い

目を覚ますといつもどおりの朝焼け。

入り口で体を横に曲げる運動をスピカと一緒にやる。

今日のスピカは飛んでいかずにワタシの頭に潜り込んできた。

「ご兄弟様、本日も恙なく過ごせますように…ぱんぱん「スピッスピッ」と、お、スピカもやるのね、スピカが無事で過ごせますようにと…これでよし」


いつも通り採食しながら歩いていくとスピカが「スピッ」と鳴いて頭をつつく。

「向こうへ行けとおっ「スピッ」しゃる?」

指示通りに歩いていくこと20分、でっかい緑の実が成っている木にたどり着いた。

実の下の方の房にはまだ小さな白い花が咲いており、スピカが早速頭を突っ込んでいる。

「食えんのかなこれ」

大きな実をもぎってみる。

匂いは木の葉っぱの匂い、表面はそこそこ硬い。

齧ってみたらメチャクチャ苦い。

「いちじくみたいに剥いたら中は甘いとか?」

力を入れて割ろうとしたら、たんぽぽの茎から出るような白い樹液がドバドバっと溢れ出した。

腕に引っ付いた白い樹液の中には黒いごまみたいな小さな種があって、みっちりと張り付いている。

「引っ付き虫みたいなトラップってこと?」

空になった緑の実の中から甘い香りがしていたので、中を覗くと小さな種がついていたらしき真っ白な房が残っていた。

取り出して半分に割ってみるとバナナのような質感だったのでおそるおそる口にすると、外側は苦かったが、樹液がついていない中心部分は淡白で甘くないバナナそのものだった。

「前世では見たこともない果物だけど、とりあえず食べられそう、スピカありがとう」

「スピピ」と少し得意げにスピカが花に顔を突っ込んだまま鳴いた。

腕にかかった樹液が乾いて膜のように成っていたので剥がす、指の間でネバネバのボンドのようになる。

「これは糊として使えるかもね、ん、待って、これってゴムなんじゃない?」

たしか白い樹液はラテックスが水分の中で漂っている状態で酸で固まるんじゃなかったっけ、小1頃のレクで生ゴムボールを作った時、クエン酸を混ぜて固めた記憶がある。

「レモン汁でも固まるって言ってたような気がするので酸っぱい何かがあれば生ゴムまで作れるかも、あっ」

スピカが居ないときに食べたクソ酸っぱい木苺を使えばいけるんじゃない?


花の蜜を吸っていたスピカが例の如く突然何処かへ飛んでいったので両脇に緑の実を抱えて歩きだす。


酸っぱい木苺を採取して肩掛け葉袋をもう一個作ってたすき掛けになる。

「なんか◯スペでやってた戦後特集で見たことのあるような格好だわ、寒くなる前になんとかしたいな」

トボトボ歩きながら、どうやって実験しようかと考えながら川に向かう。

バケツ代わりになりそうなものがないか探すも見つからず、根っこ通信で調査。

ウツボカヅラみたいな蔓草が『もう虫がいないのでどうぞ』みたいな感じで壺状になった葉をくれるそう。

葉壺を川で洗って、石を周りに寄せて安定させる、水を掬ってきて流し入れ、木苺を潰して混ぜ、細かなゴミを適当に取り除く。

「こんなもんかな」

指を突っ込んで味を確認、うん、クソ酸っぱいよ。

ということで、緑の実に枝で慎重に穴を開けて、樹液が少しづつ出せるようにする。

酸っぱい液に樹液を垂らすと液の中に薄い膜状の固形物ができる。

枝でかき混ぜるながら膜をすくい取るとカタマリになるので手で丸めながら横の川で洗い、ツルツルの葉っぱの上に置いていく。


これをひたすら繰り返して結構な量のスーパーボールの素をゲット…じゃなくて生ゴムをゲット。

ラノベでみんな苦労している生ゴムを初期段階で取得するこのチートよ…などと感慨にふけっていたが…さて?なんに使おう?…う~ん順序が逆っっ!

取り敢えず練って乾燥させることにするかと先送りを決めようとしているところで、草履が目に入る。

「もう一足草履を編んでソールにしてみるかな…いや現物を加工しても問題なしなので、やっちゃおう」

ということで生ゴムを草履の隙間にみっちりと詰め込む作業に勤しむ。

ネリネリ、コスコス、石でガッガッと叩いて一体化させて一段落、残りのカタマリを葉っぱでくるんで保存。

「まてよ、もしかしてこうするのもありなんじゃ…」

おもむろに実の中心の房を取り出して、酸っぱい液に浸ける。

房の周りに膜が貼るのを確認してから引き上げ、膜を剥くと綺麗な白い果実のようになった。

舐めてみると苦味がなく薄いバナナの味になってる。

「もしかしてこっちが正解ルートってこと?」

こちらもツルツルの葉っぱでくるんでお持ち帰り。

途中でスピカに教わった甘い果実を混ぜていただくと酸味と甘味が加わってこのような状況で味わえるとは思えない旨さ、冷えていたらもっといいのになと欲張ってみた。

日が陰り始めたので南の草原に向かいスピカを探す。

予想通りスピカが崖の下から飛んできたので手をふると、いつものように髪の毛に飛び込んできて寝落ち。

「今日もありがとう」小さい相棒に伝わったかは分からないけど、感謝の念を送ってみると…「スピーースピーー」…だそうです。


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