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秘伝カムイと黒耳シェロ ⑦


「そんだけの複数人が住所をたやすく間違えますかね? しかも、プロだぜ」


 しかも、プロ。


 その言葉には、ピザの宅配人だって仕事なのだから、プロだと言える。

 だが──。

 やはりシェロがそこまでの説明を加えたとなると。

 さすがにそれだけの人数がいて、しかも相手は警官だ。

 警察の威信にかけて再確認はしっかりと。

 不祥事は御免だ。

 ピザ屋なら客に謝罪で済むだろうが、警察は下手をすれば記者会見だ。


 カムイもようやく気づいたようだ。


 なにせ出題文は短文である。

 なぜ出題に警察隊と記されていたのかを再確認できたようだ。


 最初から、気づくべき重要点がそこにあったのだ。


 冒頭が殺人事件の話題であったため、先入観で「警察隊」が連想される。

 連想されてしまう所に落とし穴があるのだ。

 それを見落としてしまうと、カムイのように事件が他所に行ってしまう。


 「警察隊」という言葉が出て来ても不自然ではない流れ。

 それが少年の通報という現実の行動。


 110番通報をした。


 殺人事件は少年の空想の中で起きているが。

 カムイの頭の中では、警察よりも事件がどこで起きたのかを最優先したのだ。

 無論、それは大事である。

 解明されなければ警察が捜査に乗り出すことの説明がつかないままだ。

 それこそが、黒耳シェロのクエスチョンなのだから。


 警察は殺人事件の捜査を開始した、と記されている。


 つまりそこに記されている情報を基に事件現場を想像力で導き出すのが、回答者の役割だとカムイは判断したのだが。

 

 「警察隊」をきちんと脳内で処理できていたなら、ピザ屋がそこまでの大人数でやっては来ない。だから部屋番号を間違えるという所に行きつかない。

 

 これは、クイズの記載にない少年の家を自分たちの住むマンションとして、勝手に連想したカムイの思い込みが招いたものでもあったのだ。


 部屋とあるが。

 確かにそれの建築様式が一戸建てとも書かれてはいない。

 もちろん、集合団地のようなマンションであるとも記載はない。

 


 そこに安直に辿り着くのを防ぐために、警察隊が自然の流れでお出ましとなる殺人事件を出題にしていたのだ。


 これにより、隣の家に警察隊が。

 という間違いが推理の過程で起こらない設計にしてあった。



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