秘伝カムイと黒耳シェロ ③
「えっ……ちょっと待って、ちょっと待って。なんかおかしいよ」
「謎解きは得意じゃん。さあ頑張って答えてよ」
カムイは出題自体に矛盾があるのではないかと眉根を寄せる。
しかしシェロはそこが謎解きだと言い、答えを考えるようにといった。
こんな短文の出題から導き出せる明確な解答が本当にあるのだろうか。
そこへの疑問符を心の片隅に残しながら。
まず、カムイは思いついたことを口にしていく。
事件が起きたのは少年の空想の中だけ?
いやそうじゃない──。
そうじゃなければ成立しないのが、この謎解きなのだ。
そう考えたカムイの瞳に力がこもる。
「少年が通報したら、偶然にもお隣で通報内容に似た事件が起きていたんだ。きっとそっちの捜査を始めたんじゃないの?」
恐るおそる答えを出すカムイは疑問符を付けて、こうではないかと打診する様にいった。
「カムイ君。さっそく想像力を働かせてきたね。うん、悪い推論じゃないけど。それってあくまでも可能性の話だね。けど断定するには薄すぎない?」
「どういう意味なの可能性、薄すぎって。ボクのこたえは矛盾してるの?」
「そもそも出題には、ご近所の話なんて出てないよ。」
なにやら見当違いの推理をしていないか、と言わんばかり。
確かに、そのように断定できる要素が出題のなかには出ていない。
だが、想像力で答えを導き出せというのなら、カムイの推理も的外れとも言い切れない。
このような短文の出題では、はっきり言って明確な解答を導き出すこと自体が不可能に近いと言わざるを得ない。