問答
「ご主人様、魔法士はいけません。とても、危険なのをご自身も理解しているはずです」
フィオネは駄々をこねる子供を諭すように言う。
「ご主人なら、他にも道はたくさんあります。別の道もーー」
「ーーないよ」
フィオネの言葉を遮り、否定する。
「私は、なんとしても、ティアマトと魔物を根絶やしにしなきゃいけないんだよ」
「……それは復讐ですか?」
フィオネの返しにどう答えたらいいか分からず、しばらく黙っているとーー
「ご主人様の命を救ってくれた、『怒涛』の現人神のことですね?」
「……別に」
嘘だ。フィオネもわかっている。3年前の魔物の侵攻によって、命を落としたことを。
「それは関係ないよ。 ただ、私が魔法士になって活躍したいだけさ」
口から出まかせを言う。だか、私はフィオネの目を見て、言えなかった。昔から、嘘をつくのは下手だった。
別に上手くなりたいと思わないが、あっさりバレると流石に不器用だと感じてしまう。
「嘘はいけません。約束したではありませんか。嘘をつかない、1人で抱え込まなーーー」
フィオネの言葉を最後まで聞く気になれなかった。
だから、途中で私は逃げるよに部屋を出た。
今夜は満月だ。フィオネがウチに、来た時は毎日夜空を眺めた。今はもう、しないけど。時間は午後8時半ごろ。週末ということもあり、人通りが多い。
今、私は街の中をアテもなく放浪中だ。頭を冷やすために、こうしている。近くの、ハンバーガーショップで胃袋を満たそうかと考えてると、
「こんなところで、夜遊びですか? フェイト」
「ん?」
突然、背後から声をかけられる。