表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

大切なーー

「あの、フェイト・アレイスターです」


 当時の私は彼女にただただ、憧れた。ピンチに颯爽と現れ、悪い敵を一瞬にして、倒す。ヒーローそのものだ。


「そうか、私は大堂栞だ」


 自己紹介の最中に現れた飛竜。彼女は《戦場》の転移で飛竜の背中に移動し、その体を一刀両断する。

 目の前に何事もなかったように現れる。


「今の何ですか⁉︎」

「この刀の力だよ。瞬間移動となんでも斬ることがでるのさ。 と、言っても瞬間移動できるのは、私1人だけだ。だから、君を安全な場所まで行くのは徒歩になる。歩けるか?」

「はいッ!」


 彼女の後ろに続きながら歩く。子供である私に歩幅を合わせてくれる。彼女が優しい人だとわかる。


「私も、お姉さんみたいになれますか?」


 唐突だった。言って、後悔する。訳がわからなさすぎる。


「……私のようにはなったらダメだ」

「?」


 この時の彼女の言葉はよく覚えている。


「私はいつか、人ではいられなくなる。それがいつかは私にも、分からないが」


 私より高い背中なのに、今は小さく見えた。


「なら、その時は、私が助けます! いっぱい勉強して、いっぱい練習して、今度は私がーー」


 抱きしめられる。ギュッと、力強く、かなり苦しい。

 でも、それ以上にーー


「ありがとう、ありがとう、ありがとう……」


 泣いていたのだ。ピンチに現れ、私を助けてくれたヒーローが。

 きっと、彼女も辛いことがたくさんあり、ずっと我慢していたのだろう。

 私は彼女が泣き止むまで、背をさすった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ