表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

世界最強

「ーーー?」


 それは10歳の時だった。『煽導』の現人神が200近い飛竜をけしかけた。私は、独立記念日のパレードを見ていた。兄は体調不良で、私と使用人2人で来た。

 パレードが始まってすぐ、暗い空に花火が打ち上げられた。花火の明かりによって、照らされた、飛竜の群れに人々はパニックに陥った。

 私が目覚めた時には、周囲は地獄だった。使用人であり、護衛をしていた2人は私を庇い、死んでいた。


「あぁ? まだ生きてるガキがいたか」


 周りの炎のような赤い髪をオールバックにした30代ぐらいの男が平然と歩いていた。


「……助けて、ください」


 私は擦れた声で助けを乞う。


「おう、いいぜ」


 男は、満面の笑みを浮かべ、快く手を差し伸べーー。


「ーーなーんてな♡」

「うっーー」


 空を飛ぶ、飛竜が火の玉を吐く。直撃はしなかったが、子供であった私は、簡単に吹き飛ばされた。


「あー、可笑しwww 普通に考えて、俺怪しすぎるだろww」


  男は下品に嗤いながら、私の方へ来る。


「な、なんで?」


 当時の私は、何が何だか分からなかった。


「おい、ガキ。 いいか、空を飛ぶデッケェハエはな、俺が引き連れたんだよ」


 私の髪を掴み、強引に顔を覗き込んでくる。


「お前の、とーちゃんもかーちゃんもみんな、俺が殺したんだよ。 わかるか?」

「………」

「はぁー、もう、いいや。はよ死ねよ」


 掴んだ髪をはなし、その場から立ち去る男。

 目の前に、降りて来た飛竜。


「そいつ、食っていいよー」


 男の言葉に応えるように、大きな顎が迫る。


「ーーーー」


 目を瞑り、その瞬間が来るをただ、待つだけ。

 しかし、その瞬間はこなかった。

 恐る恐る目を開けると、女の人が立っていた。黒く艶のある髪、黒を基調とした軍服を身に纏い、背筋が凍るような洗礼された刀。そして何よりも、赤い眼光ーー。


「ーーあ?」


 それは、一瞬だった。

 男が反応した時には、右腕が切り落とされていた。


「ぐっ、うぅっ」


 苦痛に顔を歪めながら切られた腕をおさえる。


「お前、『修羅』かっ! なんで、こんなところにいる⁉︎」


「それは、こっちのセリフだ。外道め」


 女が喋る。その言葉に込められた怒りは私と男を震え上がらせるには十分だった。


「ぐっーー」


 突然、女が男の背後に現れる。男は紙一重で回避しようとするが、あっさりと、胴体が切られる。

 

 世界最強の《ブレイド》ーー『戦場』空間を自由に移動し、切断することのできる回避、防御が不可能な刀。

適合条件が『修羅』の権能又はその派生系を持たなければ使えない気難しい《ブレイド》である。


「大丈夫か、少年」


 いつの間にか目の前にいて、手を差し伸べてくる。


「……ありがとうございます」


 これが私の始まりにして、目標。世界最強の現人神『大堂栞』との出会いだ。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ