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進路

「アレイスター本当に士官学校を志望するのか?」


 放課後、私は担任に呼び出された。進路希望で士官学校を選んだからだろう。


「はい、そのつもりです」

「家は継がないのか?」

「家は兄が継ぐので問題ないです。父も好きにしていいと言われたので」


 貴族制度が廃止された今でも、それなりの影響力を持つ。

 

「将来は、魔法士になりたいのか?」

「はい、そのつもりです」

「お前だから言うけどな。魔法士はやめとけ。俺の親父や親友は、遺体すら帰ってきたないんだ。お前は成績優秀だから、他にも道はあるだろ?」


 確かに、そうだ。近年の魔物の活発化に伴い、魔法士の殉職率が高くなっている。しかし、その分支払われる給料は高額で、それ目当てに志望する者は多い。


「どうしても、なりたいんです」

「そこまでか……。まぁ、お前の人生だ。自分で後悔のないようにしっかり、考えろよ」


 このひとは善意で忠告しているのは分かっている。でも、私は魔法士になりたい。


「はい、ありがとうございます」

「おう、気ぃつけてな」

「失礼します」

 

 職員室を退室し、そのまま帰路に着く。


ーーーーーーーー


「アレイスター君、魔法士志望なんですね」

「聞き耳立ててたのかよ」


 隣の机で採点をしていた、女性教員が絡んでくる。


「勿体ないですねー。イケメンで、頭もいい。さらに、家柄も○」

「……いまのは聞かなかったことにしてやるよ」


 女性教員の勿体ないは、死んだら、ということだろう。どれだけ強い魔法士でも、簡単に死ぬ。『現人神』でもない限り……。


ーーーーーーー


「ただいまー」


 家に着いた。とにかくデカい屋敷ーーこれがアレイスター家が未だに影響力を持つ証でもある。靴を脱ぎ、並べられスリッパを履く。昔は、土足だったらしいが異界の勇者が元の世界の知識を伝え、スリッパが、復旧したらしい。


「お帰りなさいませ」

「ただいま」


 絶世の美少女が迎えに出た。フィオネ・アストレー。腰の辺りまでに伸ばした銀髪、琥珀色の瞳、そして、尖った耳。エルフだ。この世で最も美しい人種であり、優れた聴覚と老化が比較的遅い。ちなみに、エルフは別にベジタリアンという訳ではない。普通に肉料理を食べる。だからだろうか、メイド服の胸元を押し上げている。


「学校はいかがだったでしょか?」

「うーん、進路希望について、聞かれた」

「魔法士を目指されていることですね?」

「うん」


 父も兄も私のことを嫌っている中で、唯一の味方をしてくれる。昔、助けたら惚れ、住み込みで私の世話をしてくれる。


「私は魔法士になられるのは、嫌です」

「………」


 フィオネまで反対されるとは、正直思っていなかった。彼女は私の夢を知って応援してくれたはずなんだけど……。


「状況は悪くなる一方です。先月、確認された新種にどれだけの人が犠牲になりましたか?」

「1000人?」

「1200人です。……ご主人様が今まで、たくさん努力したのを誰よりも側で見て来ました。しかし、魔物の種類は増えています。どうにか考え直していただけませんか?」

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