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九話

アクセス数はかなり増えてます。読者が増えるということは私にとってはうれしいかぎりです

『夏が過〜ぎ〜風あざみ〜♪』

ピッ

「仕事中だ。仕事中に電話するなって言ったはずだけど?」

「ごめんね。実はね・・・」

俺は電話の相手の要求を聞き、それにしぶしぶ同意することにした。

「お、電話の相手はこれか?」

そう言った年配の社員は小指を立てる。まぁ当たらずとも遠からずだけどな。

「それにしても・・・」

もう一人の社員が不思議そうに見てくる。

「お前って携帯の着信渋いんだな」

「好きですから」




「ただいま、準備できてるのか?」

「お帰り、出来てるよ」

リムの姿はいつもと変わらない。しかし、心なしかウキウキしている。

「それじゃあ、行くぞ。バスの時間に間に合わなくなる」

「りょ〜か〜い」




駅前から付近の商店街まで祭り一色で彩られてる。普段観光客が少ないこの町もこの時期だけはあちこちから観光客が訪れる。県民にとっては何が珍しいのかわからないけど。だが、異世界から訪れた観光客もどきはうれしそうではあった。

「ねぇねぇ、あれおいしそう。あ、あれもだ。う〜ん迷っちゃうよ・・・」

隣のリムはうれしそうだ。しかし、見てるものは夜店でも、この町特有の盆踊りでもない。

「ねぇ、荷物持ってて。行ってくるから」

「ああ、見つかるなよ」

そう言って送り出すと、パタパタと走り出して蝙蝠の姿に変わる。誰もそれに気づかないのはおかしいと思う。それだけ、祭りに集中してるのだろうか。

「はぁ、俺は一人でぶらぶらするか」


「おじさん、たこ焼き1パック」

「あいよ〜」

たこ焼きの味はいたって普通だった。しかし、料金に対してはいまいちではある。

「まぁ、こんなもんかな・・・」

俺はベンチにすわり、リムが戻るのを待つ。

「あいつ、どこまで行ったんだ?」

ナンパにあう可能性は限りなく低いだろう。今のあいつの姿は蝙蝠だ。蝙蝠相手にナンパするつわものは居ないだろう。

「だから、連れがいるんだってば」

「そんなのより、俺と金魚すくいしようぜ。そして、俺のポイ捌きに惚れちまいなって」

うわっ、ナンパのレベルがすさまじく低いように思える。

「あ、碧〜、このおじさんが金魚と一緒に私をすくおうとしてるの」

お前かよ・・・。そして、なに妙にうまいこと言ってるんだ?

「ああ〜、すまんがそいつは俺の連れなんだ。開放してやってくれないか。それと、ポイって何かわからん人が居るかも知れんぞ?」

「ああん、ごちゃごちゃうるさいやつだな。とっとと失せな」

言うが早いか殴ってくる。こぶしは俺の顔面を捉えてる。少し体をずらす。

「あ、あれ?」

驚くのは無理ない。ギリギリで避けたのだから。

「危ないな。気をつけてくれないか?」

俺は相手の手首を握る。ちょうど関節の辺りだ。そこを少し捻って内側に曲げる。

「い、いだだだ」

ちょっとした関節技である。そのまま背中に回してみる。

「お・・・お・・・」

警官が暴徒を捕まえた時のような状態になる。痛すぎて叫ぶことも出来ないみたいだ。

「悪いが、席を外してくれないか?」

「は・・・はい」

俺はそのまま手を離して開放する。

「おぼえてろ〜」

月並みの台詞しか言えないのか・・・。

「以外。碧って強いんだね」

「そうでもないさ。ところで、うまかったか?」

「え、ああうん。やっぱり、子供の血はおいしかった。それも興奮状態の血は格別だよ」

実にうれしそうに言ってる。

「さて、祭りを楽しむか?」

「目的は果たせたから帰ろう」

そう言うと蝙蝠になって月明かりの中を飛んでいった・・・・。

「あいつ、最初っから一人で来ればよかったんじゃないか?」


夏祭りを基にした話です。次回は前編後編に分かれてます。お楽しみに

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