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四話

アクセス数が100を突破しました。皆さん、読んでくださってありがとうございます。これを励みに続きを投稿します

どんなに蔑んで見ても彼は動じることも無かった。

「単刀直入に聞くね。あなたは何者なの?」

この言葉で彼はいくらかの反応を示すと思い聞いてみた。すると今度は向こうがかわいそうな人を見る目で見てきた。

「見てのとおり人間だが。君には豚や牛に見えるのか?」

ああ、もう。ここまで馬鹿にされたのは初めてよ。仕方ない。素直に全て話そう。

「私はね、吸血鬼なの・・・。ってだからそんなかわいそうな子を見たような目で見ないでよ」

彼はじっと同じ目で見ていた。屈辱だわ・・・。

「実を言うとあなたと私は一度会ってるの。覚えてる?」

「いや、人違いだろう」

そんなあっさり言わないで・・・。その言葉を飲み込み話を続ける。

「一昨日の晩、新月だったのは覚えてる?」

「一昨日?ああ、あの日か。あの日の夜は程よく酔っ払ってたから覚えてないや」

「あの日、私はものすごい吸血衝動に駆られたの。そして都合よく居たのがあなたなの」

「と言うことは、つまり」

お、やっと考えてる。

「実は俺って死んでるのか・・・?」

「はい?」

ダメだわ。天然を通り越して馬鹿に分類されるわ。間違った解釈じゃないけどなんだか馬鹿と言うレッテルを貼ってやりたい。

「吸血鬼から直接血を吸われた人間は、この『世界』のことわりから外されて存在が消えてしまうの。そして下層吸血鬼として生きていくようになるの」

「俺もそのうちその『下層吸血鬼』ってのになるのか・・・」

「でもね、あなたはそうならなかったわ。私が血を吸った後、何事も無かったかのように家に帰ったの」

そう、彼は血を吸われた後も、足をふらつかせながら帰って行った。

「『世界』のことわりから外されなかったのはあなたが初めて。あなたは何者なの?」

彼は真っ直ぐな目でこっちを見てくる。するとふっと目を閉じる。その仕草がどこか私の知り合いと同じだったのを思い出す。

「どうやら、うそではないみたいだね。そのうち存在が消えてしまうのか?」

自分の状況を理解していないのだろうか、かなり落ち着いている。

「なんともいえない。普段なら吸血して1時間もしない間に『世界』のことわりから外されて、48時間以内に『抑止力』によって討伐されるのに」

「そうなのか。まぁ死なないならいいや」

「ただ、少しの間あなたを監視させてもらうね」

本来の目的を口にする。

「これは人間社会に住む吸血鬼にとってのイレギュラーな出来事なの。あなたみたいなのが何人も居たら私たちが困るのよ。吸血鬼は本来こちらの『世界』の人間に知られてはいけないの」

「だからってどうやって監視する気だ?」

「最初は家に入れなかったから外から蝙蝠で監視してたわ」

「昨日からいた蝙蝠は君だったのか・・・」

「でも、今朝あなたは私を家に招き入れてくれたわ。だから一緒に住んで監視しようと思うの」


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