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二十三話

この話にはピンク色な内容が混じっています。そして、話の展開が少し変わります。ご了承ください

真っ白な部屋に俺はいた。

部屋にはベッドと出入り口とシャワールームがある。ベッドに腰掛け思案する。だが、考えがまとまらない。部屋に充満する嗅ぎ慣れない甘い匂いが思考を鈍らせるのだろう。俺は出口の扉を開けようとする。鍵がかかってるのだろう、開かなかった。すると、シャワールームが開く。中からはバスタオル一枚だけのリムが現れた。

「「あっ」」

声が重なった。そして俺はとっさに視線を逸らす。

「わ、悪い」

裸ではないが謝っておく。

「う、ううん。気にしないで」

いつになくしおらしいリムの態度に俺は驚く。気まずい沈黙が続く。

「とりあえず座ろうか」

「う、うん」

ベッドに腰掛ける。やばい。何がやばいって、この状況だ。いつもの俺なら冷静に対処できる。しかし、なぜか落ち着けない。そうだ、こんな時こそ『素数』を数えろと本で読んだ。

「2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37…」

「あ、碧?」

「41、43、47、51、53、59、61」

「素数数えてないでこっち向いて」

リムが話しかけてきたが俺は落ち着くのに必死だった。

「3,141592…わ、わからん」

「無理して円周率数えなくていいから」

「水兵リーベー…」

「いい加減にして!?」

リムが俺の顔を両手で挟んで無理矢理リムの方に向けさせられる。途中鈍い音と痛みがしたので目を瞑る。唇に何かが当たったのを感じて目を開ける。目の前にはリムの顔があった。もしかして、もしかすると。でもなぜ?Why?理由はどうあれ俺はリムと唇を重ねた。リムはそのまま俺をベッドに押し倒す。待て、これでは俺の立場が。

「こんな形でだけど、私碧のことーーー」






目を覚ませばいつもの景色。当たり前だ。俺の部屋なのだから。

「ゆ、夢か。にしては妙というか、生々しいというか」

「どんな夢だったの?」

「ああ。真っ白な部屋にベッドだけがあって、そしてリムがいてそのまま押した…お…サ…」

誰の声だ。今この部屋には俺しかいないはず。と言うかそうであってくれ。

「私が何?」

ベッドの隣にはリムが座ってこっちを見ていた。

「リ、リリリ、リム。い、いつから…」

途中声が裏返った。まずい、悟られるな。

「で、私が夢の中で何したの?」

めっちゃ笑顔だ。しかし、目が笑ってない。聞いてた。寝言かさっきの後半部分を絶対聞いてた。

「あ、あのじ・・実はデスネ…」

冷や汗が額から滝のように流れる。動揺してるのばればれだ。

「まぁ、いいわ。おじ様からの置き手紙があったから置いとくね。じゃあ私、朝食の準備するから」

手紙をデスクの上に乱雑に置く。

「リ、リムさん?」

ついつい敬語になってしまう。

「………不潔」

最後にだめ出しされてしまった。





机の上には二人分の朝食と焦げた朝食が置いてあった。しかもわざわざ俺の定位置に焦げてる朝食を置いてある。

「リ、リムさん・・・」

「変態」

ボソッときつい一言をいただいた。俺は仕方なくその焦げた朝食をいただくことにした。食感は砂を噛んだようなざらざらした感じだった。

「味はどうかしら?」

にっこりと満面の笑みでこちらを見ている。仕返しだ、仕返しに決まってる。俺はここで屈してしまっては負けてしまうと考えた。

「くっ、お、おいしいDEATH」

「そう」

かなりうれしそうな顔をしている。皮肉を受け流された。

「ふわぁ〜、オハヨウお兄ちゃん、お姉ちゃん」

「「オハヨウ」」

クレアは挨拶をすると自分の席について寝ぼけ眼で朝食にかじりつく。

「おいし〜」

心底幸せそうな顔だ。なんだか和むな・・・。

「クレア、そんなだらしない顔しない」

「え?なんで?」

「そこに変態が居るからよ。しばらくとはいえ、暮らすなら碧に気をつけなさい。彼は野獣よ」

すごい、言われようだ・・・。

「お兄ちゃんって野獣?」

素でこんなこと聞かれても・・・。正直困る・・・。




「ん・・・、ん〜」

リムがうなる。手には親父からの手紙がある。

「お姉ちゃん、食事中に手紙読まないで食事に集中してよ」

「ん〜・・・ん!!」

パンを口にくわえたまま驚いた顔になった。見てて面白い。

「どうしたの、お姉ちゃん」

「こっちの『世界』に吸血鬼が逃げ込んだみたい」

「お前らのことじゃないのか?」

二人を指差す。二人ともとたんに心外だという顔をした。

「違うのか?」

「私たちは一応向こうの『世界』で許可をもらってこっちに来てるのよ。ねぇ、お姉ちゃん」

「そうよ、わかった変態」

まだ根に持ってるな、リムのやつ。

「来たのは無許可の吸血鬼。何かしら犯罪を犯してこっちに逃げ込んだか、理由があって来たのよ」

「罪を犯して来たのなら危ないんじゃないの?」

クレアがあわてる。

「そうね。一緒に正式な依頼が来てるわ」

「どんな依頼だ?」

「『抑止力』が発動する前になるべく向こうの『世界』に送り返してくれと言う依頼よ」

「なんでだ?」

「そんなの決まってるじゃない、罪を犯したものはきちんと罰を受けないといけないからよ。それに、『抑止力』に頼ってると『世界』に負担がかかるしね」

「でも、何でリムに?」

「あ、お兄ちゃん知らないの?お姉ちゃん・・・と言うより私たちの家系は『司法』を任されてるからね。こっちの『世界』でいうなら警察になるのかな」

「そうなんだ」

ってことはリムたちは良いとこのお嬢さん?

「まぁ、今すぐは無理だけど、そのうち向こうから来るはず」

「なんでだ?」

「吸血鬼はお互いを引き寄せあうらしいからよ」



机の上にある親父からの置手紙を読む。

『これを読んでるときにはすでに私はいないだろう』

「親父、まさか・・・」

『家を出て向こうの『世界』に行ってるからな』

「死にやがれ!!くそ親父!!!」

「うるさいよ、ド変態」

リムに怒られてしまった。そして、未だに引っ張る。あいつ今日一日中これで弄る気だな・・・。




『この手紙には、お前への依頼を書いておく。その前に、向こうの『世界』について話しておこう。向こうの『世界』仮に『アナザー』と呼ぼう。『アナザー』とこの『世界』は鏡会わせのような存在だ。ある時を堺に一つの『世界』が二つに分かれてしまった。そして、『アナザー』を統治しているのは三つの家系。吸血鬼の『マーカー家』、人狼族の『クレセント家』そして、人間族の『シアン家』だ。『マーカー家』は吸血鬼の種族の中でも特殊な一族だ。その力を持って『アナザー』の治安を任されてる。

さて、依頼についてだが、『アナザー』では吸血行為は重罪。そもそも人間に危害を加えること自体が罪だ。それを犯した吸血鬼が数人お前の住む『世界』に入り込んでしまった。やつらの目的は人間への血液の強奪。つまり、吸血行為だ。変な話だが、人間への被害を最小限に抑えて保護を頼みたい。下手に『抑止力』を使えば『世界』の力が磨耗してしまう。その辺を解っていない連中は多いからな。リムをサポートしてくれないか』



「と言うわけで協力することにした」

「だが断るわ」

あっさりと拒否されてしまった。

「そもそも、ホムンクルスのあなたが吸血鬼とまともに戦えると思ってるの?」

「うっ」

「ゴーレムのすばやさにさえ付いてこれなかったあなたは役には立たないわ」

確かに以前リムが作った『ゴーレム』の動きについていくことが出来なかった。

「それでも・・・」

「いい、これは私たちの『世界』の問題なの。それをいくらおじ様から頼まれたからといって巻き込むわけにはいかない。この問題は私たち姉妹が解決するわ。邪魔しないで」

ここまではっきりと言われると引き下がるしかなかった。

「解った。だがな、何か協力できることがあれば言ってくれ。出来る範囲で協力したい」

リムは鼻で笑うと

「それはまず無いと思うわ」


年齢制限に引っかからなければ幸いですw

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