二十二話
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波乱を起こしつつもどうにか新たな年を迎えた蒼青家+α。しかし、年が明けても波乱は収まらなかった。一月一日。
「なぁ、ほんとにするのか、親父?」
「ああ。なに、痛くはしないから」
親父が詰め寄ってくる。俺はと言うと上半身裸。そして、ベッドの上。座りながら後ずさりする。
「やめてくれ、いやだ」
「ああ、もう。男だろ。ぐだぐだ言うな」
「やめろ〜!!」
(注)これはBL小説でしかも親×息子のカップリングではありません。
「うう、お婿にいけない」
「ただ、採血しただけだろう。何大げさに言ってやがる。そもそもお前は婿に行くこと決定なんだから」
後半は良く聞き取れなかった。
「は?」
「いや、こっちの話だ。それよりも、これを見てみろ」
「まったく解らん」
「だろうな。そんなこと期待してなかったし」
期待してなかったのなら聞くなよ。親父の持ってる試験管の液体は複雑な色をしている。
「以前お前が寝てるときに採血したときはこんな反応じゃなかった。これは、まさか」
「まさか、何だ?それよりも勝手に採血するのやめてくれ」
「ああ、それに関しては謝る。それよりもこの結果。まずいな」
「何がまずいんだ?」
親父の顔はいつに無く真剣で、考え込んでる。
「まず、一つ言えることはお前がだんだん人間じゃなくなってきてる。あ、悪い。人間でなかったな」
今の一言で何かがはじけた。
「おい、おっさん。ブラックジョークにもほどがあるぞ?」
俺は親父の年の割りにふさふさな頭にアイアンクローをかける。
「い、痛だだ。わ、悪かったから離してくれ。ちょっとした言葉のあやだ」
俺はとりあえず、力を弱める。
「離してはくれないんだ。今お前は『ホムンクルス』からもかけ離れてきてる」
「なに?」
俺は手を離して聞き返す。
「どういうことだ?」
「いつつ、結論から言うとな、お前の中の『カイン』同化してきてる。つまり、吸血鬼に近づいてるわけだ」
「な、何だと。俺が吸血鬼に?」
「ああ、リムから話は聞いてるが、何度か『カイン』に体をとられたそうだな」
「あ、ああ。死んだときや、死に掛けた時にな」
今までにあったことを思い出す。『ゴーレム』と追いかけっこした時、リムに刺し殺された時、クレアに血を吸われた時。
「あらかじめ、お前の体の中に封印の術式を入れていたのだが・・・。どうやら解けてるな」
「じゃあ、もう一回頼むわ。あいつに体を乗っ取られて動かされると、筋肉痛になって仕方が無い」
「とは言っても、お前が死ななければ大丈夫な話だ。それに『カイン』が完全覚醒したとしても『世界』の『抑止力』でどうにかなるはずだ」
えらく投げやりな態度だな。まぁ、『カイン』が目覚めてのデメリットはあまり無いだろうし。
「今お前はデメリットがないと思ってるだろう」
「え、何故わかった?」
「なんとなくだ。『カイン』が目覚めたらお前は吸血鬼になる。だが、それはなりそこないだ。こちらの『世界』での吸血は『抑止力』の対象でもある。お前、この『世界』から追放されるぞ。今はかろうじて吸血衝動が無いから助かってるが」
そういうと、親父は錠剤を一つ渡してきた。
「これは?」
「気休め程度だけど、『カイン』を押さえ込む薬だ。効果は本当に気休め程度しかないから気をつけろよ」
「さんきゅー」
俺は錠剤を飲み込む。
「それとだ、『カイン』について詳しく知りたいのなら、俺ではなくリムのほうが詳しいはずだ。聞いてみて損はないと思うぞ」
俺は部屋を後にした。
「なぁ、リム。今大丈夫か?」
俺は客間に居るリムに話しかける。
「なに、あいてるからどうぞ」
部屋を空けて中に入る。
「邪魔するぞ」
「邪魔するならかえって」
にっこりと笑顔で言われてしまった。
「話をさせてください」
俺は頭を低くして許可を得ることにする。最近リムに頭が上がらなくなってしまった気がしてきた。
「いいわよ。『カイン』のことが知りたいのでしょう?」
「あ、ああ」
俺は客間に胡坐をかいて座る。
「以前話したとおり、『カイン』は私たち吸血鬼の始祖であり、私たちの『世界』の分身と言った方がいいかしら」
「『世界』の分身?」
初めて聞く『カイン』の情報だ。
「ええ。私たちの『世界』を構築したのが大元の『カイン』。そして『世界』と言う概念から自ら離れて一個体となったのが碧の中に居る『カイン』よ」
「『カイン』のもつ力はたぶん碧の中にもあるはずよ。例えば、異常なまでの回復力がいい例ね。あれは『世界』から直接供給されてるからなの。私たち吸血鬼とはまた別の回復能力だわ。完全に覚醒すれば、『抑止力』以外では消滅することはないわ」
そんな馬鹿な話があるか。『世界』から直接力を送り込まれてるとか信じられるか。
「私たちの『世界』は分身である『カイン』の存在を認めることが出来なかった。それで分身の『カイン』は消滅した。でも、あなたのお父さんは『カイン』の細胞を採取に成功したわ」
「もし、俺の中の『カイン』が覚醒したらどうなるんだ?」
「たぶん、この『世界』と拒絶しあってどちらかが消滅するわね」
俺は固く誓った。必要以上に死なないように、と。普通は一度死んでしまえばそれで終わりだけどな。
新年のごたごたがひと段落した時期に親父達は仕事に戻ると言った。
「さて、俺と母さんはまた出張に行くからな」
「最近気になったんだが、親父達が海外出張と言ってるけど、実は向こうの『世界』で何か研究してるのか?」
「まあな。また近いうちに家に顔出すと思う」
「わかった。いってらっしゃい」
俺は親父達を見送る。
「ええ、リムちゃんもクレアちゃんもまた会いましょう」
「お仕事がんばってね、藍姉さん」
「また、料理教えてね藍さん」
「リムちゃんも碧をよろしく」
二人はずっと手を振って親父達を見送った。
最近読み直したけど、結構粗がありました。それと鳥肌が立ちました。まぁこれからも粗があるかもしれませんが楽しんで書いていきます。