十九話
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目の前には見知らぬ男が居た。銀髪に金色の目。
「お前は何者だ?」
『我はカイン。吸血鬼の祖たるもの』
「そんなやつが俺に何のようだ?」
『我の器たる主と話して何が悪い』
「器?」
「左様。主が壊れれば我も消滅してしまう。そのことを忘れるな』
「待て。だからって、女の子相手にあんなに」
『我は自分を守るためにした。相手を考えるなど愚かな』
「そうかい。だったら、俺の体を勝手に使うな。これは俺のもんだ。誰のものでもない」
『ふ、ふははは。さすが我が器にふさわしきもの。いいだろう。これ以上出ることを控えよう。だが、主が死に掛けた時は知らぬぞ。そのたびに我は出てくるからな。それと、太陽の光は吸血鬼の不死性を奪う。昼間は死ぬなよ。我の手を煩わすでないぞ』
「上等だ、このヤロウ!!」
俺はその消え行く姿に中指を立てることにした。
「上等だ、このヤロウ!!」
「わ、わわ」
あたりを見渡すと、見覚えがある。
「俺の部屋か。今は何時だ?」
時計を見ると深夜の1時だ。
「あ、あの〜、お兄ちゃん?」
ベッドの傍らには見覚えのある顔があった。むしろ俺を殺した少女だ。
「お、お前は・「ごめんなさい!!」え」
俺は唖然とするしかなかった。俺の血を大量に吸い殺した本人が謝ってきたのだから。
「えっと、とりあえず君の名前は?」
「クレア。シンクレア・C・マーカー」
その姿は小さいリムのような感じだ。だが、髪は背中まで届く長さだ。
「マーカー?と言うことは、リムの」
「はい、バーリム・C・マーカーは私の姉です」
「な、何ッ!!」
うすうす気づいてはいたけど、目の前に居るのは確かにリムを小さくしたみたいだ。
「とりあえず、俺にしたことは反省してるのか?」
「一応・・・」
かわいらしく言ったつもりだが、逆に俺の怒りの炎に油を注いだみたいだ。
「反省の色が無い。と言うより、吸血鬼ってのはどうしてこんなにもアホぞろいなんだ?」
「あ、アホだなんて。酷い。私アホじゃないもん」
相手は女の子だ。だが、俺はののしるのをやめなかった。
「お前といい、姉のほうといい。俺の平穏を返しやがれ!!」
廊下からすごい足音が聞こえてきた。
「誰が、アホの申し子よ。このスットコドッコイの碧!!」
リムが現れた。それと同時に頭を殴られた。
「い、いいパンチだ。世界をね・・ら・・・え・・・」
本日二度目の気絶。
「お、お姉ちゃん・・・」
「碧に何もされなかった?まったく、この保存食め」
私はとりあえず殴っておく。気を失ってるが知ったことではない。心配かけた上に、手間かけさせて。その上アホの子と勝手に決め付けて。
「お、お姉ちゃん。とりあえず、殴るのやめて。話をしないといけないんじゃないの?」
「あ」
すっかり忘れてた。重要なことだったのに。まぁいいや。片隅にはぼこぼこにされた碧が転がってる。
「ところで、いつこの町に?」
「えっとね、夏の終わりくらいかな。偶然この家の前を通った時にこの人間のことを盗み聞きしちゃって」
クレアはかわいらしい笑みを浮かべて白状する。くぅ、かわいいわ我が妹ながら。じゃない・・・。
「同じ町に二人も吸血鬼が居たら『抑止力』が発動するかもしれないでしょう」
『抑止力』それは『世界』の異物を排除しようとする絶対的な力。その力は夜の吸血鬼でも抗えない力である。
「そうなの・・・。どうしよう、お姉ちゃんに迷惑かけちゃった?」
さっきの笑みから一変。すぐに泣き顔になる。
「ああ、泣かない泣かない。迷惑じゃないよ。久しぶりに会えたし、うれしいよ。それに、『世界』に血を吸ってることが解らなかったら大丈夫と思う」
「本当?」
さっき泣いてたことを忘れるくらいの笑顔だった。ああ、ダメだわ。かわいすぎる。
「本当よ。それより今はどこで暮らしてるの?」
こっちの世界で暮らすなら、どこか人間の家にこうもりの姿で住み着くか、暗示をかけて潜り込む。そうやって人間に気づかれないようにするのが吸血鬼の暗黙の掟。クレアも守ってるはず。
「えっと、このまえこの家に遊びに来てた男の人に助けてもらったの。その人の家で暮らしてる」
「そう、またいつでも遊びに来なさい」
「うん。でもね、疲れたから今日はここで泊まっていい?」
いくら夜の種族とはいえ、クレアにとってはすでに寝てる時間である。どうしたものか・・・。
「そうね、とりあえずここに倒れてる家主を起こすわね」
「い、いたい。全身が痛い。おまけに頭がぐらぐらする」
無理やりたたき起こされた。時間は午前3時。ああ、後4時間しか寝れない。明日も仕事なのに。
「で、なんだ?」
「えっとね、実は・・・」
リムはクレアのことと、俺の現状とそしてクレアがここで泊まりたいということを軽く(30分くらいかけて)説明してくれた。面倒なことになった。何がうれしくて人外を家にもう一人置いておかなきゃならないのだ。しかし、
「ああ、条件がある」
面倒なので許可することにした。拒否すると、また小一時間ほど話し合いになってしまい、寝る時間がなくなりそうだ。
「条件?」
「こっそり血を吸いにくるなよ。それと、明日真に迎えに来てもらえよ。じゃあ、寝る」
俺は一気にそう言うと、眠りについたのだった。明日の仕事大丈夫かな・・・。
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