十五話
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季節は晩秋。そろそろ、冬に移ろうとしてる。その証拠に最近まで紅葉をつけてた木は全ての葉を地面に落としていた。
「寒くなったな・・・」
語りかけることなく、俺は帰路でつぶやいた。
「でも、俺にはお前ら吸血鬼にある『吸血衝動』っていうのか。それが沸かないぞ」
「何かきっかけがあればそれが開発されるのでしょうね。今は沸かないだけだと思うの。でも、一度でも血を吸ったりすれば、その味を求めてしまう。そして人間から離れていくと思う」
「そうか・・・。改めて聞くが、昨日何があったんだ。俺に」
「これはあくまで私の推測だけど、生存本能が一時的に『カイン』の力を使ったんだと思う。あなたは覚えてないけど、あれはまさしく吸血鬼の力。そして、それさえも凌駕する可能性を秘めてるの。覚えておいて、どんなに死にそうになっても力におぼれないで」
アレから2ヶ月近く経ったが、その片鱗を見せることさえも無い。人間の真似をして生きるホムンクルスか。道化だな・・・。
「ううぅ、寒いよ〜〜、人肌が恋しいよ・・・」
私は客間で布団に包まり、寒さに耐えてる。
「はぁ、血を吸いたいけど外に出れないし。拷問だ・・・」
私は想像する。この寒さの中、人肌の温度の血を吸えればどれだけ幸せか・・・。おっと、ヨダレが。
「ただいま」
来た、私の保存食が。私は早速帰ってきたこの家の家主代理に抱きつく。
「おかえり〜、はぁあったかい」
抱きついた時のぬくもりが私にはたまらなかった。そして首筋に顔を近づけて。
「い、いっだ〜〜〜!!」
血を吸ったのであった。
「今日は新月の日か?」
「ううん、違うよ」
「どうして血を吸ったんだ?」
「人肌が恋しかったから。それに新月の日は抑えが効かないだけ。ほんとは毎日血を吸いたいのに」
「あのな・・・」
「あ、それと一つ言っておきたいのだけど」
「なんだ?」
「太ったよね。血中の脂肪分が増えた気がしたのだけど・・・」
「なに!!」
俺は体重計兼体脂肪計で計る。体重は変わりなし。しかし・・・
「そ、そんな馬鹿な!!」
俺は絶叫した。
翌日、仕事帰りにとある接骨院に寄る。
「お久しぶりです」
「お、蒼青君じゃないか。久しぶりだね。今は少年の部の練習中だから、指導のほうを手伝ってくれないか」
俺は接骨院の奥の部屋に移動する。そこには赤と緑のマットが敷かれてる。そして、20人くらいの小学生が柔道着を着て練習をしている。つまりだ、柔道教室に訪れたのだ。俺は柔道着に着替えて先生に挨拶しに行く。
「先生、お久しぶりです」
「お、久しぶり。夏から一回も来なかったから心配してたよ」
「はぁ、どうも。いろいろありましたから」
吸血鬼が現れたとか、『ゴーレム』と追いかけっこしたりとか、自分は人間じゃないとか。
「そうか。それじゃあ、早速だけど小学生の練習見るの手伝ってくれないか」
「解りました」
この柔道教室では先生が一人しか居ないから、一般で通ってる有段者が小学生の練習相手や指導をしたりしている。
「それじゃあ、乱取りはじめ!!」
先生の一声で練習を始める。俺は小学生の技や体捌きを乱取りを通して指導する。
「相手をもっと引き付けて。引き付けが足りないと技が効かないぞ」
的確に指導してるつもりだ。
「はぁ、今日は碧夜遅く帰るのか・・・」
一人リビングで金○先生を見る。
「学校か・・・。向こうの『世界』でも行ったけどつまらなかったな・・・」
碧が焼いたクッキーをかじりながら漠然と見る。
「蒼青居るか〜。飯喰いに行かね〜か?」
玄関から聞き覚えの無い声を聞く。私は玄関まで移動する。玄関には長身の男が立ってた。服の上からでもわかるくらい筋肉質だ。
「どちら様ですか?」
「あれ、すいません。家間違えました」
男はそう言うといったん玄関を出る。そして、玄関に入って。
「間違ってないな。君は誰だい?」
「ここの同居人ですけど?」
「な、なに〜〜〜!!」
突然の来訪者。その正体は。そして、碧は体脂肪を落とすことが出来るのだろうか。後半に続く・・・かも