一話
長いお付き合いになると思いますけど、よろしくお願いします。
ファンタジーは嫌、小説は学園ものでなければ許せないという方もいるとは思いますけど読んでやってください
『新月の夜は出歩いてはならない。闇につかまるぞ』
これは親父がよく言ってた話だ。当時10にもならない年の頃に言われたが、それから10年経ったある日、このことを思い知らされるのであった。俺はこの日から日常から離れつつあったのだった・・・。
「それでは新人の蒼青碧君を歓迎して、乾杯」
『乾杯』
今日は新人の歓迎会だ。もちろん、歓迎される側である。短大を卒業して無事整備会社に就職できたが、昼も夜も無いくらい忙しい日々が続き、3ヶ月以上歓迎会は遅れてしまったそうな。
「それにしても君みたいな物覚えの早いのが来てくれてうれしい限りだ。教える側としてもありがたい」
「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
乾杯をしてから半時間くらいたったのに周りに居る社員達はかなり酔いが回っているみたいだ。俺はと言うと、
「おい、飲んでるのか?」
隣の年配社員の人がビール瓶を出してきた。俺はグラスの中を半分くらいのどに流し込んでグラスを差し出す。
「お、いい飲みっぷりだ。若いのに良く飲むな〜」
「そうですか?まだいけますよ」
ここではじめて気づいた。割と酒はいける口なようだ。
そしてそんなこんなで一次会が終わり半分くらいが帰路につき、もう半分が二次会に向かうのだった。俺はと言うと・・・、
「まだ、飲めるのか。若いっていいの〜」
バーで焼酎の水割りをあおっていた。さすがに頭がふらふらしてきたので、アルコールをやめようとしたのだが・・・、
「まぁまぁ、もうちょっと飲め飲め」
先輩がそれを許してはくれなかった。
二次会が終わる頃には日にちがすでに変わっていた。俺は少しふらつく足を踏ん張るかのように自宅まで歩いて帰路についた。
「さすがに飲みすぎたかな・・・」
公園のベンチが目に入ったので少し腰を落とす。夜空を見上げてみた。
「今日は新月か。そういえば昔、親父が言ってたな。『新月の夜は出歩いてはならない。「闇につかまるぞ」』」
え・・・、誰かが同じ事を同時に言った?
「ふふふ、新月の日は真っ暗だからね。私たちにとってはいいけど、お兄さんにとっては最後の夜かもね」
そこには高校生くらいの少女が居た。小柄ながらも女性特有のラインが服越しにわかる。目は夜の明かりも無いのに真紅だとなぜか解った。
「それじゃあ、お兄さん。さようなら・・・」
少女は俺に近づくと首筋に噛み付いた。噛み付く瞬間見えたのは鋭くとがった犬歯だった。
それから俺はこの日常から徐々に離れていくのであった・・・・。
まずは一歩前進です。読んでくださってありがとうございます。次話も読んでみてください