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7話 へっぽこバーン?

「空の…島?」


今、俺達は空の上、雲の上に浮かぶ巨大な島を見ている。


「ギェっ ギェっ ギェッ」

「おっと」


ワイバーンのゴンドラは想像通りかなり揺れる。ワイバーン達は干し芋に歓喜しながら俺達を載せて前方にそびえる巨大な島に向けて降り立った。


「でかっ」


さっき飛んでる間に見た島の形は翼を広げる竜か鳥のような形をしていた。降ろされたは尾てい骨のあたりで尻尾らしき骨は三つにわかれ、その一つ一つが巨大な切り立った崖のようだ。


「落ちたら瞬殺だな」


俺は空は飛べねえからな。気をつけねえと。


「生き物みたいな形だ」


ジークは頭のような部分を見つめてつぶやいた。大狼もくんくんと辺りの臭いをかいでいる。


「ジズの背中…、化石か?」

「化石?」

「ジズが何なのかはわからんが、たぶんこの島のことだろう。竜か?これだけ巨大な物を浮かばせる魔力…竜以外に思いつかん」


ジークはあたりを見渡す。島は三六〇度青空に囲まれている。理由はわからないが石化したジズという竜の遺骸を魔石がそのまま浮遊させ、風化し岩島になったようだ。


「ぎゃう ぎゃう」


俺達を連れてきたワイバーンが、先に進むように後ろから圧をかけてきた。なんなのこいつら本当に。


「わんわん!」

「ぎゃう ぎゃう」

「わう わふっ」

「ぎゃお ぎゃお ぎゃお ぎゃおす」

「何だ?」


大狼のやつ、ワイバーンと意思疎通できるのか?そうか、魔獣同士は思念伝達ができるからな。ジークに聞いてみるか。


「なんて言ってんだ?」

「あっちにワイバーンの村がある。帰りたかったら干し芋で帰ることできます。」

「ほしい芋の威力!」


ジークと大狼を先頭に、俺達は島の中心らしき場所にきた。背中の真ん中くらいか?この島は地下が空洞になっていてワイバーン達は地上(背中の上)と地下(腹の中)に鳥の巣みたいな住居を作っていた。


(床っていう感覚がないんだな、俺にとっちゃ歩きにくくてかなわねえが)


普通の街路位の歩ける地面ほあるのだがそこら中が隆起してたりいきなり穴が空いてたりする。ワイバーン達はそんな隙間にどこからか拾ってきたガラクタを詰め込んで天地の概念を無視した独特の集落を構えていた。


「うわわあ!あれ!」


ジークが急に大声を出してジャンプしながら翔けていった。大狼も尻尾をふって盛大に吠えて後をおう。


「待てよ!」


あいつらなんでこんな動き憎い空間でピョンピョン飛んでいけんだ?てかジークの奴いまちょっと飛んでなかったか?!


(っあいつ 飛翔種の魔族か?!)


風魔法が使えて、翼もなしで飛べるだと⁈そんな種族ここらにゃ一つしかねえぞ⁈隠すならもう少し慎重になって⁈ 俺はワイバーンの非常識な巣作りととジーク達の迂闊な行動のどっちに突っ込むべきかめんどくさく思いながら後を追った。ジーク達が言葉通り飛びついたのは、大樹のようにそびえる巨大な坂道だった。


「首か?」


信じられないでかさだが、おそらくジズの首だろう。坂にはぼこぼことした穴や突起状の角が生え、よくみるとてっぺんの真横に穴があいていて、その穴の周りに派手な色が塗られている。


「なんだあれ?!」


ジークはいつの間にか大狼の背に乗って興奮ぎみに叫んでいる。うーんこいつは本当に俺の少しの中年なんだろうか?ジークと大狼の奴ワイバーン島に感動しすぎて多分素が出ているのだろう。


(ワイバーンにジークに…情報量が多すぎる…もう考えるのを放棄したい…)


と思っていたらワイバーンの翼に肩がぶつかった。


「ぎえっ」


ぶつかったワイバーンはにかっと笑いながら片手をあげてきた。この気安い笑顔…イヴァンさんが脳裏に浮かびちょっとイラっとした。


「ぎゃう ぎゃう ぎゃう」

「わん わん わん!!」


大狼からワイバーンが聞いた話によると、あれは『ジズ様のうなじ』、クルヌギア語でいうとパチンコという遊びらしかった。


「ぱちんこ?ノシク知ってますか?」

「パチンコ…知らん。」


首に空いた穴にはそれぞれ点数がついていて、ワイバーン達は坂の下から玉を打ち上げるらしい。


「ぎゃう」


ワイバーンの一匹が尻尾で岩の弾丸を打ち上げた。


ばいーん


打ち上げられた玉は坂もというなじを駆けあがる。しかしてっぺんへは届かず、半ばで転がり落ち、角にぶつかりながら、どの穴にも入らずもどってきた。岩を打ち上げたワイバーンはよほど悔しいのか地団太を踏み、岩を管理している別のワイバーンに木の実を渡し、新しい岩をもらって列の後ろに戻った。


「食料をかけてるのか…」


 パチンコから目をそらし、ふりむくとワイバーンの集落はさながら賭博場のようだった。札、レース、ダイス、闘技場など様々なギャンブルが行われている。勝ったワイバーン達の笑い声や、負けたワイバーン達の鳴き声があちこちから聞こえる。

 遊び好きのワイバーン、オークの網元の言った通りまじでこいつらは遊ぶ事しか頭にねえらしい。


「すごいー!あれ見る!」

「わんわん!!」


祭りに来た子供のように、ジークと大狼は右翼の端のほうにかけていった。


「おい待てよ!」


こいつらはしゃぎすぎたろ…。追いかけると、崖際でクラウチングスタートの姿勢をとるワイバーンと、赤と青のフラグと砂時計を持ったワイバーンがいた。


(砂時計だと?!)


こいつらに時間の概念があったなんて…ワイバーン達の横には、食料品が積み重ねられ、中にはかなりでかい塊肉もある。


「ぎゃう ぎゃう ぎゃう!」


集団の殆どは手に赤い札をかかげてぎゃーぎゃーと鳴いている。青い札を持っているワイバーンは少数だった。


「ぎゃう!」


恐らく大物なのだろう、でっぷりと太り尻尾に金の輪をはめじゃらじゃらと装飾品をつけ葉巻をすっている奴が一声鳴く。手には赤札を束で持っている。


「ぎゃう ぎゃう ぎゃう!」


フラグを持ったワイバーンが鳴くと、しばらくしてクラウチングスタートの姿勢をしていたワイバーンが崖から飛び降りた。ワイバーン達は目を血走らせて審判らしきワイバーンが持つ砂時計を見ていた。


(何を待ってるんだ?)


最後の砂が落ちたと同時に、さっき飛び降りたワイバーンが戻ってきた。


ザッ


審判が赤いフラグを掲げる。戻ってきたワイバーンは尻尾が切れていた。その様子をみて青い札をもったワイバーンが、戻ってきたワイバーンに札を投げつける。


ぎゃおー! ぎゃおー! バチン バチン!


赤い札を持ったワイバーン達が笑いながら積み上げられた食料をとっていき、一番大きい塊肉は、葉巻をすっていたワイバーンに捧げられた。


尻尾を切られ、青い札をぶつけられたワイバーンは惨めに背中を丸めている。その姿は潮水でびしょ濡れだった。ジークがパットしたようにこっちを見る。


「これって…」

「漁だな」


この下ではたぶん、網元たちがワイバーン漁を行っている。ワイバーン達は本気で漁でチキンレースをしていたようだ。


「わふっ」


尻尾をきられすごすごと去っていくワイバーンを見て、大狼が一声吠えた。そのワイバーンは他のワイバーンに比べて細く、尻尾には切られた跡がたくさんついていた。


「へっぽこバーン?」

「だな」


切られた尻尾の根本を抱え泣きながら去っていくワイバーンは、網元たちにへっぽこバーンと呼ばれているワイバーンだった。





ジズ… 世界を覆うほどの巨大な鳥の怪獣と言われています。ノシクさんの常識では空を飛ぶ巨大な生物=竜なので勘違いしちゃってますね。レンピ姉さんとかなら知ってるのかな?


※重大な間違いがあったので書き直しました。

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