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第81話:ドラ捨て山。


 結局ゲオル村ではまともな食料を確保する事が出来なかった。

 保存食すらほとんど枯渇していたため、さらに巻き上げるような真似は出来なかった。

 それでも村長が出てきてゲオルの事で礼を、というので不用品の処分をお願いした。


「なぁミナト。おめぇさっき爺に何押し付けてたんだ?」

「ん? いや、邪魔な不用品の処分をお願いしただけだよ」


 そういう事にしておくのが一番いい気がした。

 それを誰にも悟られなければ、だけど。


「ごしゅじんってやっぱり優しいですねぇ~♪ そういう所も好きですよぅ」


『ネコちゃんにはバレてるみたいよ?』

 こういうのってバレたら意味ないし無性に恥ずかしいんだよなぁ。


「にゃんにゃん、なんのこと~?」

「イリスちゃん、さっきごしゅじんは……」

「おい、黙れ馬鹿ネコ」

「いいではないか。私も興味あるぞ。ユイシス殿、私にも聞かせてくれないか?」


 あぁ……こっそりやろうとしてバレるのって辛い。しかも必死に隠そうとしてる態度をとってしまったので尚更だ。


「ごしゅじんは不用品の処分をしてくれって言ってかなり高価な宝石を渡してたんですぅ私見ちゃいましたもん♪ 初めて会った時一文無しの私にごしゅじんは同じように宝石くれたんですよぉ♪」


 さっきのバラすだけじゃなく過去の恥ずかしい話まで引っ張り出してこないでほしい。


「ミナト殿……お金に困っていないというのはそういう事でしたか……しかし不用品だからと高価な宝石を渡すとはおみそれ致しました」


「ウォォォ!!泣かせるじゃねぇか! しかもやり方が粋だ! ミナトお前女なのに漢だなぁっ!!」


 いや、男なんだけどな……でも俺が女だから許されてるって感じあるから怖くて男ですって言えない。


「ちょうど金目の物を持ってたから……ゲオルだってあのまま村を後にするんじゃスッキリしないだろ? だからちょっとした補填だよ」


 それと、卑しい話をするなら宝石を渡した時の村長の喜びようを見て嬉しかったってのもある。

 人が喜んでたり幸せなのを見るのは場合によってはイライラするけれど、自分がやった事で喜んでもらえるのは悪い気はしないからな。



『陰キャ極まりすぎ』

 人間なんてそんなもんだよ。誰もが物語の英雄みたいな清廉潔白、なんてわけねーだろ。


『そうね。とても人間らしくて好感がもてるわ』

 変な奴。

『君に言われたくはないけどね』


「俺は感動したぞ! このゲオル、ミナトの生き様を見届けたくなった。しばらくは同行させてもらうぜーっ!」


『おまえのせいだからな』

 急に俺の評価下げるのやめろ。


 結局ゲオルも同行する事になり皆で再び馬車移動。次はちゃんと食料を調達できるといいんだが。


 下らない話をしながら進んでいるとついうとうとと眠りに落ちてしまった。



 いつの間にか山道に入ったらしくガタゴトと揺れが激しくなり目が覚めると、目の前にネコの顔があったからつい思わず手が出た。


「ご、ごしゅじん……いきなりチョップは酷いですぅ」

「どうせまた変な事考えてたんだろ?」

「違いますよぅ。ちょっと相談が……」


 村を後にして半日くらいした頃だろうか。ネコが青い顔で話しかけてきた。

 気分でも悪いのかと思ったらそうではないらしい。


「あ、あの……次どこで食料調達できそうです? 気が付いたらほとんどなくなっていて……」


 な、まだ余裕あった筈だぞ。


「お前なぁ、だからあれほど計画的に食えと……!」


 俺は再びネコの顔面にビシバシとチョップを繰り出す。


「ふみゃぁっ! 私じゃないですよぅ!」

「嘘をつけ。お前以外に何も考えずに食料を空にするような奴が……あっ」


 そう言えばもう一人居た。


 俺が居眠りしてる間に全部食ったのか……? 嘘だろ……?


「な、なぁゲオル」

「おう、なんだミナト!」

「その、隅の箱に入ってた食材ってどうした?」

「食ったぞ! なかなか美味かった!」

「……そう、そりゃよかったアハハ……でも、それって明日の分まで入ってたんだが……」

「そっか! そりゃすまなかったなギャハハ!」


 ゲオルは全く悪びれもせず、豪快に笑う。


「俺達このままじゃ今日も明日も何も食えないんだって。笑いごとじゃないぞ」

「そっかそっかそりゃすまねぇ! だったら何か取って来るか!」


 そう言ってゲオルがぴょんと馬車から飛び出す。

 馬車が動いてるんだから飛び降りたら衝撃とかいろいろある筈だけど、そんな物まったく存在しないかのようにスタっと直立。


「ちょっと先行ってろーっ! なんか食い物取ってってやるからーっ!」


 おいおいマジかよ……こんな山の中で? 木の実とかそういう? ドラゴンの食事用意されても困るんだが。


「せめて人間が食えるもので頼むぞーっ!」

「まかせとけーっ! ギャーッハハハハッ!」



『ふぅ、やっとあの阿呆が居なくなったわね。今よ、スピードをあげてこのまま置いて行きましょう』

 いや、そういう訳にもいかんだろ……。


『いいのよあんな奴ここに捨てて行けば! 今日からこの山はドラ捨て山よ!』


 ……じゃあこうしよう。俺達は別に急がない。でも奴が持ってくる食料を当てにして待ってるのも怖い。だから次の街や村を探して移動はする。

 追いついてこなければそれまで、それでいいだろ?


 さすがに意図的に振り切るのはちょっと。

『ぬるい! ぬるすぎる! ……でも、まぁしょうがないわね。それでいいわ。頼むからもう来ないでほしいけれど。道に迷って永遠に再会する事が無いと嬉しいけれど!』


 ゲオル……意外と可哀想な奴かもしれんな。


新たに仲間になったばかりのゲオルさんですがここで早速一時離脱です。

次に出てくるのはいつになるやら。

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