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第438話:ギャルンの謎。


「やれやれ、想像以上に強くなっていましたが相変わらずの馬鹿で助かりましたよ」


 間違いなくギャルンは先ほど崩れ落ちたはずだった。

 しかし、どこからともなく現れたもう一人のギャルンが、倒れたゲオルを踏みつける。


「……これでも死んでないとは恐れ入りますね。まぁいいでしょう、どのみち私が興味あるのはお前の核だけです」


 ギャルンは倒れたゲオルをドロドロの黒い結界の中に閉じ込める。

 そして、球体状になったその黒い結界は、どこかへ消えてしまった。


 ギャルンがストレージにでも収納したのかと思ったら、突然俺達の目の前に黒球体が現れ、結界が破裂する。


 どちゃりと中からゲオルが地面に落ちた。


「これで残りは二人ね」


 キララが指をパチリと鳴らすとゲオルの身体が浮かび上がり、俺達の隣に同じように拘束されていく。


 まずい、まずいぞ……。

 もう残っているのはシルヴァとリリィだけじゃないか。


 シルヴァなら大丈夫だと思いたいが、さっきのギャルンの戦いを見ていると、奴についてよく分からない事がある。


 ゲオルはギャルンを倒したはずだ。

 それは間違いない。

 なのになぜギャルンは何事も無かったかのように再び現れた?


 おそらくゲオルの頭部が爆発したのは奴の腕を噛み砕いた時の破片が口の中に残っていて、ギャルンがそれを利用したんだろうが……。


 そういえば以前おれがギャルンを倒した時もあいつは再び現れた。

 あの時は俺が仕留めそこなったのかと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。


 ギャルンは死んでも再び現れる。


 ……いや、そもそも俺やゲオルが倒したのは本当にギャルンなのか?

 というよりも、あれは本当にギャルンの本体だったのか?


 カオスリーヴァは自分の分体を切り離し、ギャルンを生み出した。

 ギャルンは魔王の魔力に浸食された事によりおかしくなっちまった可能性があるが、今はそれはいい。

 ギャルンにも分体を作り出す力があるのならば、ギャルンは複数存在する事になる。


 ……しかしそれだとおかしい。

 わざわざギャルンが自分の力を分散させるような事をするだろうか?

 先程ゲオルと戦ったギャルンだって相当なものだった。

 あれが単なる分体?


 それに、分体だったとして、それが全てギャルンとしての意思を有しているのも違和感がある。


 やっぱりギャルンが何人もいるとしか思えない。

 すると、ギャルンの分体というよりはギャルンが幾つもの身体を有している……と考える方が自然かもしれない。


 理屈は分からないが、少なくとも現状一体ずつしか現れていないのは助かる。

 精神体がスペアのボディを渡り歩いているような感じなのだろうか?


 シルヴァならそのあたりを見抜いてくれると思うが……俺達や世界の命運は既にシルヴァとリリィにかかっている。


 リリィは能力は確かに凄いんだが……世界の命運を預けるにはちょっと頼りなさすぎるんだよなぁ……。


 シルヴァ、後は頼んだぞ……?

 マジでお前だけが頼りだ。


『……える? 聞こえる?』


 ママドラか!? 良かった、これで拘束を解いて……。


『ううん、今やっと君にかけられてる魔法のほころびを見つけて話せるようになったってところなのよ。悪いけど君が身動き取れない以上何もできないわ』


 そうか……状況は変えられないか。

 でもママドラと話が出来るようになっただけでもかなり気が楽になった。


 ……しかし今魔法って言ったか?

 タチバナが作った何かで俺の力が封じられてるんじゃなかったのか?


『それは多分そうだと思うわ。でもこの技術自体が魔法の仕組みも組み込まれてるってだけ』


 タチバナの奴……面倒な物を作ってくれたもんだぜ。

 今度会ったら一回殴らせてもらわなきゃ気が済まん。


『それよりかなりまずい状況よね……シヴァルドの奴上手くやれるかしら? ゲオルの馬鹿が負けるのはしょうがないけれど……』


 確かにシルヴァは六竜とはいえ戦闘特化じゃないから心配ではある。


 肉弾戦メインのゲオルがやられてしまった以上、知識を司るシルヴァがよほどうまいやり方をしないと……。


 だがシルヴァの所にはリリィも居るからな。

 奴がリリィを上手く使えれば勝機はある。


 リリィがきちんと機能さえすればギャルンなんかに負けやしないだろう。


「さぁて、次はあの二人……これは見ものねぇ?」


 キララが不敵に笑い、スクリーンにはシルヴァとリリィ、そしてギャルンが映し出されていた。


 シルヴァがリリィを庇うように前に出て、その後ろでリリィが怯えているという構図だ。


 しっかりしろリリィ……お前がやらなきゃシルヴァが危ない目に合うぞ?


『大丈夫よ。多分それは彼女も分かってるはずだから。あの子は追い込まれたらしっかり結果を出してくるタイプだもの』


 ……今までの経緯を考えると否定は出来ないんだよなぁ。


 なんだかんだとあいつに結構助けられている気がする。


 もうここまで来ちまったらお前でいいよ。

 お前がギャルンを始末しろ。


 シルヴァが上手く作戦を立てて補助しながらリリィが訳の分からない創作魔法で戦う。


 これはギャルンからしたら相当やりにくいだろうぜ。



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