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第251話:初代勇者の貫禄。


「……えっ、と……」


 ニームはネコとラムのステータスを見て額にダラダラと汗を浮かべ困惑した表情になった。


 それはおやじも同じだったらしく、「お前らみんなそんな感じなのかよ……」とか呟いていた。

 俺だけが高レベルだと思い込んでいたのかもしれない。


 ネコはレベルはたいした事無いがスキルで十分特殊だし、ラムに至ってはレベルも上級、スキルも化け物ときてるから驚いても不思議ではないけれど。

 というか俺も驚いているんだけれど。


 一応ギルドの規定でレベル20以上で中級冒険者、30以上で上級冒険者という扱いになっている。

 それはダリルもシュマルも大体一緒らしい。

 上級冒険者以上の称号は特に設けられていないが、50を超える冒険者の事を超級と呼ぶのが暗黙の了解となっている。


 ラムの58ってのはそれだけでかなり規格外って事だ。しかもまだお子様だし荒くれ共が盛り上がるのも分る。


「じゃあ次は私ね♪ さっさとやっちゃってよ。ここに居る奴等全員が卒倒するくらい凄いの見せてやるゾ♪」


「ま、まだ凄いの来るんですかぁ……?」


 ニームがどうしたらいいのか分からなくなってしまいしどろもどろになったが、ティアが問答無用で指先から紙に血を垂らす。


「はい、ちゃんと読み上げてここの野郎どもに聞かせてやってちょうだい」


「は、はい! えっと……」


 紙に浮かび上がった文字を目にしたニームが声を震わせながら読み上げた。


【ティリスティア・マイ・メビウス・メロディ

 レベル:80

 種族:人間

 職業:勇者

 スキル:オールラウンダー

 上位スキル:不可侵

 特殊スキル:生命吸収】



 職業を聞いて皆黙る。そりゃそうだろう。勇者なんて職業としてステータスに乗るような職業だったのかよ。

 もしかしたら初代の魔王を討伐した事により名実共に勇者になったという事かもしれない。


 しかもスキルもとんでもなくて、オールラウンダーというのは読んで字のごとく何でも高水準でこなせる素質というパッシブスキルであり、近接戦闘から魔法までなんでもござれ。

 通常スキルの中ではレア中のレアだ。

 勿論素質が与えられるだけなのでどこまで伸びるかは本人次第なのだが、こいつの場合は実績もあるから完全にものにしていると思っていいだろう。


 そして不可侵。これは地味だけど戦闘においてはとても信頼できるスキルで、要は状態異常無効、ってやつだ。

 毒も呪いも精神攻撃もデバフの類も全て無効化してしまう。


 そして生命吸収。

 敵を倒せば倒しただけ自身が一時的に強化され、ついでに体力や傷なども回復していく。


 隙が無いというか化け物過ぎてこんなのこの後に控えている俺が霞んじまうだろうが。


 ……まてよ?

 不可侵のスキルを持ってる癖になんでデルベロスの野郎に命を握られていたんだ……?


『それは多分ティア自体がそいつによって蘇ったからじゃないかしら?』

 ……どういう事だ?


『憶測でしかないけれど、亡くなった人を蘇らせるって本人にとっても縁の深い何かを媒体として使用しているはずなのよ』


 ……なるほど。つまりこいつの場合デルベロスにその媒体その物を握られていたから自分のスキルで無効化しても意味がなかったと?


『だってそうでしょ? その媒体自体をバラす事が出来たとしたら、ティアじゃなくてティアの元自体が壊れちゃうんだもの』


 それも結局自分に作用する状態異常って事で無効化できそうなもんだがなぁ。


『他には、体内からの異変には耐えられない可能性もあるわね』


 ……それはあるかもしれない。不可侵はあくまでも自分が侵略されないためのスキルだから、既に中に爆弾を抱えている状態だと意味がないのかも。


 スキル学者の知識にもそこまで詳しく分からないのは、それだけこのスキルも珍しいって事だろう。


 荒くれ共は完全に沈黙して、むしろティアに怯えている。機嫌を損ねたら死ぬって事が理解出来たんだろう。


 ニームも顔面蒼白状態だが、これで終わる訳にはいかないので最後にとびっきり驚かせてやらないとな。


「じゃあ最後は俺だ」


 もう諦めたのかニームが無言で針のついた器具を差し出す。


 俺はそれに指をあててぐっと押し込んだんだが……。


「あ、ごめん……針折れたわ」


「な、なんで……?」


「古くなってたんだろ。こっちで勝手にやるから大丈夫だ」


 ニームはぼそぼそと「新品だったのになんで? どうして……?」とか呟いている。

 あぶないあぶない。俺の身体にあんな針が通る訳なかった。


 俺は左手の指先だけをこっそり竜化させて右手の人差し指にぷつっと穴を開ける。


 思ったより痛いなこれ……。

 今思えば俺は昔から注射とか嫌いだったんだった。

 こっちの世界で魔物と戦ったりしてきて感覚が麻痺してたのかも。


 とにかく血は用意できたので用意された紙にポトリと垂らす。


「これでいいだろ? さあ読み上げてくれ」


【ミナト・アオイ

 レベル:85

 種族:人間

 職業:バトルマスター

 スキル:剣技レベル測定不能

 上位スキル:剣聖技レベル15・経験値加速

 特殊スキル:ドラゴニカ】



「ひっ、なんなのこの人達ぃぃぃ!」


 ニームがついに泣き出してしまった。


 ちなみに俺のステータスは嘘っぱちである。

 本当なのはレベルと経験値加速くらいだ。

 それ以外は上位スキルの隠蔽工作でちょちょいとそれらしく強そうなのに変更させてもらった。


 本当の事はさすがに言えないし、俺のスキルってパッとみ強そうに見えないんだもんなぁ。


 隠蔽工作とか復讐とかさぁ。


 ほんと俺単体の強さって大した事ねぇんだなぁこれが。


 ちょっと悲しくなってきた。




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