21話:森色の魅了
「た、ただいま……」
「おかえ……うおっ!?トウゴ!?どうした!?」
僕は鳥に掴まれたまま家に帰された。バサバサいう鳥の羽音で気づいたらしいフェイが家の中から出てきて、僕を見て、驚きながら慌てて僕を鳥から回収してくれた。
「うわ、熱出てる!おーい!ラオクレス!ちょっと!トウゴが熱出してる!ええと、とりあえずベッドに運ぶぞ!」
「何だ、また妙なものを食べたのか」
え、僕、熱が出てる?ええと……あ、駄目だ、何か考えようとすると頭の中の森が。森が……。
「ちょっと、鳥さん!トウゴ君に何食べさせたの?」
ラオクレスもクロアさんも家から出てきて、鳥が僕に何か食べさせたんじゃないかって怪しんでいる。うん、ええと、食べたけれどもうそれなりに食べてから時間が経っているし、鳥もきょとんとしてるし、今、それどころじゃないし……。
それから僕は部屋に運んでもらって、そこでベッドに寝た。
そして、フェイの診断は……。
「これ、知恵熱だな!」
……あんまりだ!
……それから僕は僕の部屋のベッドに運ばれて、そこで知恵熱の処置を受けた。
「ごめんなさいね。私が氷の魔法を使えればよかったのだけれど……」
「ううん。きもちいい。ありがとう」
まず、クロアさんがそよ風を起こしてくれた。どうやら、クロアさんは魅了の魔法だけじゃなくて、そよ風の魔法も使えるらしい。すごい。クロアさんとしては氷枕か何かを作りたかったらしいのだけれど、これで十分気持ちいい。
「とりあえず水と果物だ。食えなくとも飲むだけは飲んでおけ」
「うん。分かった」
それから、ラオクレスに食事を用意してもらった。体が火照って食欲が無いから、水と果物だけ。
……よく考えたら、僕、鳥の巣に居る間はずっと謎の木の実と美味しい木の実だけで生きていたけれど、あれ、どういう仕組みだったんだろうか。その分、体は衰弱してるのかな。自覚はあんまりないんだけれど。
もしかすると僕、精霊になったことで食欲が減った?う、うーん……駄目だ、まだ自分で自分の体のことがよく分からない。
「よし。んじゃあトウゴはラオクレスとクロアさんと俺にできるだけくっついてろ。な」
……それから、クロアさんがベッドの縁に腰かけて僕の手を握ってくれて、ラオクレスはベッドの側の椅子にどっかり座り込んで、フェイは僕の頭をがしがし撫でた。
「え?これ……何?」
「ん?知恵熱の対処」
……もしかしてこの世界における知恵熱って、僕が知ってる知恵熱と何かが違う?
「ほら、要は急に魔力が増えたり、急に魔力を出したり引っ込めたりしたり、魔法を酷使したり、急に新しい魔法を覚えて体の中の魔力がこんがらがったりしたら知恵熱が出るわけだけどよ」
何それ、知らないよ。それ、僕が知ってる知恵熱じゃない。
「だから、知恵熱の時は自分より魔力の低い生き物が周りに居るといいんだよな。溢れた魔力を吸い取ってくれる奴が居るとすぐ治るからよ」
「あ、そうなんだ……」
つまり、僕が魔力切れになった時に馬達が寄ってきてくれたのと逆、ってことか。そっか。だから今回は外のハンモックじゃなくて家の中なんだ。
「普通は年下の兄弟とか近所のチビとかに一緒に居てもらうことが多いけどよ。ま、精霊様に比べりゃ、俺達人間の魔力なんざ低すぎてチビ同然だろうからな!元々のお前相手でも、俺の方が魔力少なかったし」
「俺も魔法はそれほど得意ではない。まあ、溢れた分を吸うくらいはできるだろう」
「ふふ、知恵熱を出した近所のお兄さんお姉さんの所に行くと自分も早く大きくなれる、なんてよく言うわよね。要は、魔力を分けてもらえるから、ってことなんだと思うけれど。……私も大きくなったらどうしましょうか」
うん、そうなんだ。やっぱりこの世界、僕の世界と色々違うんだなあと思う。
「後はよく寝て、体の中の魔力を整えてやれ。な?」
「うん」
でもやっぱりどの世界でも、回復するにはまず睡眠なんだな。うん。
「それからもう少し良くなってきたらなんか簡単な魔法を使って魔力を消費するといいぞ」
「つまり、描けばいいのか」
分かった。ひと眠りしたら何か描いて出そう。
「そ、そうだな。で、もうちょっと元気になってきたら、少し大規模な奴で魔力を消費して……」
「つまり、描けばいいんだね」
よし。じゃあ何か大きめのものを描いて出そう。
さて、じゃあ何を描こうかな、と思っていたら……フェイはけらけら笑いながらまた、僕の頭をがしがし撫でた。
「……よし!お前の治療にゃこれが一番だ!思う存分描け!」
「わーい」
「ただし、ちゃんと寝てからだからな!」
「うん。分かってる」
寝たら描ける。寝たら描ける。なら寝よう。よし。おやすみなさい。
眠ろうとして毛布の中に潜り込んだところで、ふと、フェイが言った。
「……なんかよお、お前、精霊になって何が変わっちまったかと思ったら、なんか、こう……もっとふわふわしてきたなあ」
……精霊になったことで起こった僕の変化が『ふわふわになった』だったら、ちょっと、その、嫌だ。
起きたら頭の中の混乱ぶりは多少、落ち着いていた。
うん。頭の中に森ができてしまったような感覚は相変わらずあるし、こんがらがることもまだ多いみたいだけれど、大分、自分の中に馴染んできた、というか。
……どうやら僕、この森のことがある程度分かるようになってしまったらしい。
今、どこに何が居るのか、とか。結界の具合はどうだ、とか。そういう。
僕が今住んでいるこの家のあたりや、鳥の巣のあたり、それから遺跡のあたりや僕が最初にこの森に来た時に居たあたりは、この森の中心だ。森の中心には、普通の生物はほとんど居ない。ここに居るのは、魔力が多い生き物ばかりだ。……つまり、精霊の鳥とか、羽や角がある馬とか。
そこから少し外側に行くと、花畑が増えてきたり、他の生き物も増えてきたりする。鹿とか狐とか、リスとか。そういうのが居るみたいだ。……こういう風に、この森はある程度、区分けされているらしい。
けれどこういうのが、いきなり頭の中に出てきてしまったというか、僕の頭が森と繋がってしまったというか、なんか、そういうかんじになってしまったので……まあ、慣れるまでには結構かかる気がする。
とりあえず、フェイのおすすめ通り、早速絵を描くことにする。
まずは……ちょっと気になったので、宝石を描く。
「お。綺麗だなあ」
「うん。これはクロアさんっぽいかなって思って。こっちはラオクレス。こっちはフェイ」
「……とんだ口説き文句だな、それ」
僕が描いている宝石は、彼らっぽい宝石だ。
宝石の図鑑を見ながら、片っ端から描いていく。大きいのも小さいのも描くし、色々な形のやつを描く。描いた端からどんどん実体化していくので、ベッドの上はその内、宝石だらけになってしまった。まあ、これはこれで楽しい。それにやっぱり、絵を描くと知恵熱に効くらしい。実体化させていたら少しずつ、体調が良くなってきた。
「それにしても、どうして宝石なんだ?クロアさんへのプレゼントか?」
「あ、それでもいい。うん。欲しいのがあったら持っていってもらおうかな」
「……気前が良すぎてちょっと怖いぞ、それ」
そっか。ならやめておこう。
「ほら、宝石を描いたら、できた宝石の具合で僕の今の魔力のかんじが分かるかと思って」
どうして宝石を描いているのか説明したら、フェイは、ほう、と頷いて……それから、できあがったばかりの蛍石を1つつまみ上げて、眺めた。
「俺も目利きがそこまでできるわけじゃねえけどさあ」
「うん」
……フェイはしばらく黙った後、言った。
「これ、下手に売ったら戦争になるからやめとけ」
……う、うん。
いきなり魔力が増えてしまったので制御が上手くいかないんじゃないかと思ったのだけれど、そこは一度制御の練習をしたのが良かったのか、少し練習すれば『餅にならない餅の絵』を描くことができたし、『売っても戦争にならない宝石』を出すこともできた。うん、よかった。
……もしかしたらあの鳥、僕がある程度魔力の制御をできるようになるまで待っていたのかな。
何も考えずに出した宝石の具合や、実体化させたときの自分の感覚から考えるに、僕の魔力が増えてしまったことは間違いないみたいだ。精霊になったからでもあるんだろうし、あの鳥に食べさせられたあの大変な味の木の実も関係しているんだと思う。
まあ、つまり……今の状態で魔力の制御ができなかったら、ちょっと、色々大変だったかもしれない。うん。
それから2日くらいは、ベッドの上でひたすらものを描いていた。
餅を出して食べて、麦茶を出して飲んで、絵の具を描いて出して、ベッドの上で使える机があると便利だなって思って机を出して……。
……そうしている間に体の調子はすっかりよくなっていたし、頭もすっきりしてきたし、元気になったので、僕は……家を建てることにした。
「クロアさん。大切な話があるんだけれど」
「え、ええ。どうしたの?」
ということで、もうクロアさんにも話しておくことにした。多分、もう話しても大丈夫だ。森が大丈夫そうだって言ってるし。
「僕、描いたものが出てくるんだ」
「……えっ?」
ただ、伝えるのはちょっと難しい。
「そ、そう。絵に描いたものが実体化してしまうの……」
クロアさんは困惑していたけれど、目の前で1つ宝石を描いて出したら納得してくれた。
「成程ね。これなら確かに、私を雇うお金には困らないわね、あなた」
「あっ、そういえば僕、クロアさんに給料を払ってない。いくらですか?」
「もう。そんなの当面要らないわ。あの家1軒貰ってしまったんですもの。あれだけでも1年は私、あなたの所に居なきゃ」
そっか。じゃああと10軒くらい建てておかないといけない。
……まあ、それはさておき。
「それで、これからももしかしたら、突然にお客さんが来ることがあるかもしれないし、住民が増えるかもしれないから、家を建てておこうと思うんだけれど」
「あら。いいわね。……あっ、もしかして私にもお手伝いさせてもらえるのかしら?」
「うん。お願いします」
クロアさんはセンスがよさそうだから、どんな内装にしたらいいかとか、意見を聞かせてもらいたい。
「……けれど、森の精霊様としては、いいの?この森を開拓しちゃうのって」
「うん。今居る生き物に迷惑にならないようにしようとは思ってるよ」
森の中心部分に僕らが住んでいるのはまあいいとして、他にお客さん用の家を森の外の方に数軒と、森の中心に近いところに数軒建てておけばいいかな、と思ってる。人があまりに増えるようならまたその時考えるけれど……。
それから僕は、クロアさんやラオクレスに手伝ってもらいながら、家を建てた。
クロアさんには内装のアドバイスをもらったし、ラオクレスには土地の整備をお願いしてしまった。ほら、木を切ったりとか。切った木を薪にしてもらったりとか。……木を消してしまうことはできるけれど、折角だったら、ちゃんと使いたいし。
そうしてとりあえず……1軒、建ててみた。
「建っちゃった……」
建てたら、建ってしまった。家が。まるごと1軒。……魔力切れも起きていない。大丈夫だ。建ってしまった。
「……成程ね。私の家も、こうやってできてたのね」
「いや、クロアさんの家は土台と柱と壁と屋根と、っていう風に分けて出したんです。でも今回は、なんだかいける気がして1軒丸ごとやってしまった」
「おい、いきなり1軒出して大丈夫なのか」
「うん。大丈夫みたいだ」
とりあえず、これで『家1軒』なら魔力切れにならずに出せるようになってしまった、ということが分かった。そして、家を出した後なのにすこぶる調子がいい。
成程、これはいいな。早速次の家も描いて出そう。
そうして描いている内に、家が増えた。具体的には、5軒。すごいな。これ。一気に成長してしまった。頭の中が森になった甲斐はあったらしい。
内装は明日の仕事にするとして……とりあえず、これで急な来客にも対応できるし、急に増えるモデルさんにも対応できる。よし。
翌日は内装をやった。
これはすごく楽しい作業で……クロアさんの指示通り、あんな壁紙、こんな照明、それからこっちにこういう家具……と絵に描いていくと、どんどん素敵な家になっていく。
「すごい!すごいわ!ああ、こんな贅沢できる人、王都中探したって、それこそ王族にだって、居やしないわね!」
クロアさんの理想通りに家を作っていったら、クロアさん、それはそれは楽しそうに目を輝かせてくれた。うん。楽しんでくれているみたいで嬉しい。
「……あっ、けれどトウゴ君。あなた、大丈夫?さっきからずっと描いては出しているけれど」
「うん。調子がいいみたいだから」
そして、内装の時にも自分の魔力の増え方を実感できた。描きさえすれば、実体化には苦労が無い。家5軒分の内装を出してみても、ちょっと疲れたかな、くらいで終わってしまった。むしろ、疲れたのは魔力の方じゃなくて、絵を描く手の方だったりする。
……そうして数日間、僕はひたすら描き続けて過ごして、そこで大体、自分の中の魔力もこんがらがった頭も落ち着いた。
落ち着いて、落ち着いて……そこで僕はやっと、精霊になってから初めて、立ち止まって周りを見ることができるようになった、らしい。
僕は精霊になった。
そして、森を守る役目に就いた。
ついでに、森の中のことがよく分かるようになったし、魔力が増えてしまった。
……けれど、僕は僕だ。
鳥が教えてくれた通り、僕が僕であることは変わらない。今まであった『僕』に『精霊』っていう要素がくっついただけだ。うん。僕は僕のまま。
……だから、精霊になった今も、やりたいことは変わらない。
描きたい。それは、変わらない。
精霊になってから宝石や家なんかを描いて出してきたけれど、それの後で、改めて思う。
やっぱり僕は、描きたい。いや、むしろ、精霊になって視野や感覚が広がった分、描きたいものも増えてしまった。
……多分、これからもこうなんだろうな。何かに新しく触れる度に、描きたいものが増えていく。
それは僕が変わってしまうことなのかもしれないし、無駄を食べて心が満腹になるってことなのかもしれない。或いは、これが成長するっていうことなのかも。
うん。そうだ。成長って、変化なんだ。変わってしまうことは怖いことだけれど、でも、変わらずにずっと同じままではいられない。ずっと同じものしか得ずにいたら、心の餌が足りなくなるんだろう。
僕らの心は大食いで、それで、心の餌を沢山心に食べさせて……そして、少しずつ変わっていったり、変わらずに残るものがあったり。
……これが生きているっていうことなのかもしれない。
「ラオクレス。クロアさん。ちょっとお願いがあるんだけれど」
僕は朝食の席で、2人にお願いした。
「精霊になったら森のことが分かるようになって」
「唐突だな……」
うん。そういえば詳しくは言っていなかったかもしれない。
けれど、森の中のことが分かるようになったことはどうでもいい。大切なのはこの後だ。
「綺麗な場所を見つけたんだ。古い遺跡の跡とか、変わった形の大木とか、開けて荒れ地みたいになっている場所とか、草がすごく茂っている場所とか。……そこであなた達の絵を描きたいんだけれど」
2人とも2つ返事で了承してくれたので、早速、僕は彼らの絵を描く。
流石、モデルなだけのことはある。描いていて本当に楽しい。ラオクレスの方は、前から描いてみたかった騎士然とした姿で。変わった形の大木に凭れて座っているところで、一緒にアリコーンも休んでいるような、そういう絵。
クロアさんの方は、遺跡の跡地みたいなところで、薄布の神秘的なドレスを着てもらって、くるりと回った瞬間を描いた。まるで妖精の国の女王様みたいなかんじがする。うん。クロアさんの裸婦画とは全然雰囲気が違うけれど、これも1つのクロアさんの姿だ。満足。
「……楽しいなあ」
「まさか、2枚同時に描くとはね」
今回は下描きと下地だけ現地でやって、残りは全部、室内でやっている。そうするとラオクレスの絵とクロアさんの絵を同時に描けるから……水彩絵の具が乾くまでの時間を有効に使える!同じ時間で倍近くの絵が描ける!
精霊になったおかげで森の様子は目で見るみたいに分かるから、森の色は全部、再現し放題だ。これは便利。
森の色を画用紙に乗せていく。森の中の絵を描く。頭の中に何種類もの緑色……森の色が滲む。その色にすっかり魅了される。そういえば魅了の魔法を使うクロアさんの目も、森の色によく似た翠色だ。緑には人を魅了する力があるんだろうか?
そんなことを考えながら、僕はひたすら絵を描き進める。
……精霊になって、やれることが増えて、やりたいことも増えた。描けるものが増えて、描くのに便利になって、そして、やっぱり描きたいものが増えた。
それが楽しい。新しく自分の中に収まった精霊の力を確かめながら描いていくのは、新しい画材を試している感覚に似ている。これは、すごく楽しくて、そして幸せなことだ。
……うん。やっぱり僕、精霊になってよかった!
「うわっ、増えたな!?」
それから、1か月。
少し久しぶりに来たフェイは、僕の家を見てびっくりした。
何せ、僕の家は2階建てになって、その2階部分がまるごと、今までに描いた絵を置いておく場所になっているから。
……うん。ちょっと、描きすぎたかもしれない。でも、森中のことが分かるようになってしまったら、森の中の生き物も場所も、全部分かってしまって……そんなの、描くしかない。
「すげえな、これ……なあ、1枚貰ってっていい?俺の部屋に飾りてえ」
「うん。どうぞ」
壁やついたてに飾ってある絵を眺めて、フェイは『どれにしようかなあ』と目を輝かせてくれている。……こうやって自分が描いた絵を嬉しそうに眺められるのは、ちょっと恥ずかしいし、照れくさい。あと、嬉しい。
「……なあ、2枚貰ってもいいか?駄目?」
「何枚でもどうぞ」
うん。嬉しい。
フェイは結局、2枚の絵を選んで、持って帰ることになった。
「ありがとな!親父と兄貴にも自慢してくる!」
「喜んでくれるなら何より」
フェイが選んだのは、泉と背景の木々の絵と、森の中の沢山の木を描いた絵。
「これ、泉の方は俺の部屋に飾ろうと思ってさ。ほら、お前と最初に会ったのここだろ?思い入れがあるし、何より綺麗だよな。森の中の水辺ってさ」
うん。この泉の表現は自分でも気に入っている。空の色と光の色と葉っぱの色が混ざるかんじは、中々悪くないんじゃないかな。
「こっちは……応接間に飾ろっかなあ。ほら、ちょっと壁が寂しいじゃん?これ、色がいいよな。だから飾っといたら落ち着く気がする」
そっか。こっちは応接間……あ、つまりそれ、お客さんが見る場所だよね?いいんだろうか。
「へへへ。客が来るたびにこれ、自慢してやるんだ」
……そっか。お客さんに見せるのか。嬉しいんだけれど、やっぱりちょっと恥ずかしい。
「あっ!森の精霊が描いた絵だってことは内緒にしといてやるからな!」
あ、うん。それは内緒でお願いします。