重課金は賢者様の証?
※白金貨一枚で一年遊んで暮らせます。
僕、迷宮に潜ったんだ。
「ぁあっと、賢者だったか。テメェの目指してんのは」
うん。沢山本は読んでるけど、やっぱ力付けたほうがいいかと。
「そんで尻尾巻いて逃げてきたのかよ」
いやほら僕、運が超絶いいだろ。
「最下層まで行ったのか」
いや、隠し部屋見つけた。で、そこでヤバイ情報手に入れちゃったんだよ。
「ヘェ」
……スキルって金で買えるんだって。
「は? 何言ってんだテメェ」
ホントだって。今実演するのは無理だけど、嘘じゃない。
「意味ワカンねぇが、ガチでもしも、そうだとしよぉか。金で賢者にでもなろぉと?」
そう考えた僕は運をさらによくして、転移魔法を習得してから各地を回った。
「カジノか」
うん。
「元からよく行ってたもんな。よく勝つし」
まあな。で、集めたお金で大量のスキルを習得して賢者になったってコト。
「へーへー、よかったですなぁ」
白金貨百枚以上突っ込んだけど。でも、それで終わりじゃなかったんだ。
「なにあったんだ?」
いきなり力つけすぎたせいで世界のバランスが崩れて、世界崩壊しそうになってる。
「いや、それはマズくね?」
それは、わかってる。ホントは夢を捨てたくないんだよ。でも僕の夢のために知らない人まで巻き込むのは……。
「だがま、テメェがちいせぇ頃からの夢だもんな。諦めきれねぇのはわかっけどよ」
こう悩んでるうちにも世界滅亡がするかもしれねぇんだ。
「クヨクヨしてる時間ももったいねぇってか。ま、力手に入れたこと自体デマ——ぅん?」
周りが騒がしくなったな。
「おい、ヤベェことになってるぞ!」
「空、割れてるよ!」
まさか。
「まさか。テメェの言ってたこと、マジだったのか」
そうだよっ……じゃなくてッ!
「こりゃあガチで急がねぇとヤベェぞ。夢とんのか、捨てんのか、決めねぇと」
……うん、わかってる。
「決められねぇのか」
最悪、僕とキミの二人だけなら逃げ出せるんだ。
「はいはい、そーですか。そんじゃ親友様として一度だけ助言してやる」
?
「テメェん中でもう答えは出ている。悩んでねぇで動け」
————っ!?
「オレは言ったからな。何もかもを失う前に行動しろよ」
……ああ、そうだな。たしかに出てるわ。夢を手に入れるとか失うとか、関係ない。
「僕の答えは————」
***
『努力の天才』と呼ばれた大賢者は、知識量も世界一だった。
彼の名言として、以下のものがある。
「知識ない賢者はもはや賢者ではない。賢者とは、賢い者なのだから」
執筆にあたり助けてくださった方々、そして読んでくださった方、ありがとうございました!
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※neglect…〜を怠る
※struggle…奮闘する、苦闘する
(出典:『ウィズダム英和・和英辞典』)