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一発ギャグを考え出したので「なろう」で発表する。

作者: 〇〇〇〇〇〇

 ふとした瞬間に私は一発ギャグを考え出したが、いかんせん発表する場が見当たらない。友人に伝えようと携帯電話の電源を入れてはみたが、よくよく考えてみるとわざわざメールしてまで伝えるほどの価値をこの一発ギャグには見出せなかったし、電話でなら軽いノリで言えるかとも思ったけれども、そもそも私には友人がいなかった。

私はそっと携帯電話の電源を落とした。

どうしよう。メモしてまで残しておくほど面白いわけでもなく、かといって変な意地が湧いてしまい、このまま何事もなかったかのように振る舞うこともできなくなってしまった。つまらなくはないと思うが、では面白いのかと考えてみるとそうでもない。百人いたら十人ぐらいは笑ってくれそうな自信はあるが、私の自信が当たった試しがないのは私自身がよくわかっている。だがなんというか、自分で生み出したものは、それがどんなものであれ少なからずの愛着が湧くものだ。生活難から止むを得ず、生まれたばかりの我が子を捨てることを余儀なくされた母親の気持ちに私はなった。あるいは、自分で発掘したアイドルの卵から特に才能も可能性も引き出せずに、大して知名度も残せないまま引退させてしまったプロデューサーの気分に私はなった。別に多くの人に知ってもらいたいわけではないし、笑ってもらおうなどとも思っていない。ただなんとなく、この世に生まれたのにギャグとしてなんの役割も果たさずに忘却の彼方へと忘れ去られてしまうのが少しだけ忍びないと思ったのだ。私以外の誰かに聞いてもらいたい。それは誰でもいい。だから私はこの場を選んだ。山に向かって叫んでみるというのも、対処の一つとして頭には浮かんではいたが、想像してみるとそれはそれでなんだか恥ずかしくなった。だからこの誰が見てるともわからない電子の海に我が子を産み捨て、いつか誰かがなにかの拍子にここを訪れることを願う。この電脳空間という大きな海にはありとあらゆる情報が毎日、それは洪水のごとく流れ込んでくる。そのほとんどは雨水で、中には聖水や廃液が混ぜられている。私のそれは、さながら一般家庭から出てくる生活排水であろう。毒にはなっても薬にはならない。そしてそれは時間とともにほかの水と混ざり薄まっていく。これは誰にも読まれないかもしれないし、ふとした瞬間に読まれるかもしれない。私としてはどちらでも構わない。産みの苦しみを背負い、私は今日も今日とて生きていく。


それでは、帰宅と同時に叫ぶスネ夫のモノマネをして終わりにしたいと思います。


「ただいママーッ!」(cv肝付兼太)


ご高覧賜りまして、真にありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言]  私も、思いついたら、取り敢えず描いて成仏させます。 「隣の家に、塀ができたってね」 「かっき〜ね(垣根)!」
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