再びの帰宅
「良かった、お家はある」
桃原家の家屋は転移前と変わらぬ状態で建っていた。周辺の建物にも変化はない。
「でも、中にお母さんとお父さんがいるとは限らない」
「それな。アニメの世界だからって、復活してるとは限らない。むしろ復活させようとして私は腕を失い鋼の義手に、これで錬金術を使えるようになる。夢は肉体すべてを失い鎧に魂を宿して暮らすくらいのことはあるかも」
「や、やだよ、それは。結局は誰も蘇らない物語でしょ」
「まあ、私たちのお話は夢と希望にあふれた日曜朝8時半枠だからね」
「私たちの後に始まった作品には大人になってからの姿が描かれて、辛辣な現実が描かれているけどね」
「うっ、ニチアサ枠から外れるとどんな未来が待ち受けているかわからんのか……容赦ないよアニメ会社」
玄関の前まで来たは良いものの、躊躇う笑と夢。
「インターフォン、押してよ夢」
「え、そこはお姉ちゃんが押すところでしょ」
「先に生まれたとか後に生まれたとか、夢の価値観は昭和なの?」
「アニメの制作陣が昭和だから、創生主の社会通念は図らずも搭載されてると思う」
「なんとリアルな。っていうか、私たちの家だし鍵持ってるんだから、インターフォン押す必要はないか。鍵開けて入ろう。ふつうに「ただいまー」って」
結局は笑が鍵を挿し込み、家屋の中へ先に足を踏み入れた。




