アニメの世界に戻ってきた!
「わお、戻ってきた。へいわ市だ」
「ここ知ってます! 笑さん夢さんと幸来さんのお家の間の住宅地ですよね!」
異世界転移したのに臆するどころか大好きな『ラブリーピース!』の世界に入り眼をキラキラ輝かせる思留紅。
「そうね。公園でも海でも駅でもない、なんてことないところに戻ってきたわ」
対に、帰郷したもののどこか警戒している幸来。
「しかしあれだね、住宅地なのに人の気配がないね」
冷静に街を俯瞰する笑。
「それは異常じゃなくて作画の節約よ」
「うっ、1年間ほぼ毎週放送の弊害で作画カロリーを使えないやつや。黒字作品なんだけどなあ……」
歩行者も自転車もバイクも自動車も通らない、閑静すぎる住宅地。駅周辺の中心街は栄えているのにやはり人通りがほぼない。電車やバスは都市部でもなぜか貸切状態。
「あっちの世界は人通り多いもんね~。私たちの世界が必要最低限で運用されてると、身をもって知ったよ」
「夢が夢のないことを! アニメは夢を与えるコンテンツだよ!」
「お姉ちゃんが寝っ転がってポテチにコーラとかやってるから夢が薄れてきちゃってるんだよ?」
「あうう……。それを言われるとぐぅの音も出ない……」
混沌とした応酬に、花純は言葉を発さず苦笑している。
「さて、これからどうしましょうか。とりあえずそれぞれのお家に帰る? 家族の生存可否も気になるし」
「そうだね幸来ちゃん。思留紅ちゃんと花純ちゃんはどうする?」
「そうですね~、とりあえず……」
「笑ちゃん夢ちゃんと、幸来ちゃんのお家、二手に分かれて行ってみたらどうかな? お互い連絡を取り合って」
「そうね、スマホは使えるかしら?」
五人はそれぞれのスマホを手に持ち、通信アプリのグループトークにメッセージを投稿。ダメ元だったが使えた。既読マークはいまのところついていない。
「よしオッケー。お家に帰って誰もいなかったり、最悪家族が変死体になってるかもしれないから、覚悟しなきゃね」
「え、ええ、そうね」
「ごめんね幸来ちゃん。二重苦になるかもしれなくて」
「仕方ないわ。世界が再生されただけでも良しとしなきゃ」
軽く話し合って、思留紅は笑と夢の桃原家へ、花純は幸来の海風家へ行くことにした。




