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ハートフル少女ラブリーピース! ~届け、私たちのミュージック!~  作者: おじぃ
1月

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82/93

グダグダニューイヤーライブ!

「ううう、緊張で脚が震えるよお……」


「だだだ大丈夫よ、私たちはもう、ネット配信で何人もの人に見られているのだから」


 夢と幸来が激しく動揺している。開演時刻2分前の13時58分、刻一刻、本番が近づくほどに胸の高鳴りが激しくなって、呼吸の乱れも激しくなっている。


「だいじょぶだいじょぶ! 知らないうちにテレビにも出てたんだし!」


 笑は胸を張るも、やはり緊張はしている。


「わ、私は千人以上の人前に出るのはほんとうに初めてで……」


「花純さん、大丈夫ですよ、生粋きっすいのラブリーピース以外はみんなそうですから」


「ううう、思留紅ちゃあああん」


 小学生に泣きつく高校生。これまで動画以外のメディア露出もなく、音楽経験もなかった花純は、緊張とプレッシャーに押し潰されそうだ。


 他方客席では、ラブリーピースの曲に合わせてダンスをしている観客や、のほほんと甘酒を飲んでいる観客のテンションは上がる一方。冬の公演ということで、待ち時間の間にからだを温める仕掛けをしておいて良かった。


 晴れ渡る空の下、風は冷たいが太陽はぽかぽか。緊張に支配されたラブリーピースの前に、とある女がステージに登壇。


「さてさて皆さーん! 明けましておめでとうございまーす!」


 え、誰こいつ、みたいな雰囲気が客席に漂う。


「え、何あれ」


 それは、ラブリーピースやつばさとこまちも同じだった。笑をはじめ、皆が呆気に取られている。


「門沢先生、よね」


 と幸来。


「私は呼んでないよー」


「ぼ、僕も何も聞いてないよ」


 隅っこの椅子に座っている沙織と聡一も、なぜまみ子がステージにいるのか知らない。


 状況を呑み込めていない関係者をよそに、まみ子の司会(?)は続く。


「え? 私は誰だって? ラブリーピース、桃原笑の担任の先生、門沢かどさわまみ子だ。私が出てきたってことはつまり、もうすぐ最高のショーが始まる。そういうことだ。それじゃさっそく出てきてもらおう! つばめとこだま、そして、ラブリー、えーと、なんだ、ああ、あれだ、ピーポー!!」


 え、何勝手に始めてんの? 時間だから出るけどさ。


 そんな感じでとりあえず笑がステージに駆け出した。


「ちょちょちょちょっ! なに勝手に司会やってんの!? まだ円陣組んでないんだけど! しかも名前全然合ってない! つばめとこだまって何!? ラブリーピーポーも何!! ラブリーピーポーはあながち間違ってないけど!!」


 トーク中にほかのメンバー、つばさ、こまちもぞろぞろ登場。グダクタの開演。


「なんだ細かいなぁ、ここは常夏茅ヶ崎だぜ?」


 グダグタはしているが、ここはあくまでもステージ、観客の前。まみ子は握ったマイクを離さず、笑はピンマイクを意識して喋っている。


「そういう問題じゃなーい!! えー、まみちゃんがグダグタなので、改めて、私たち、ラブリーピースと」


「つばさ」


「こまちです!」


「みんな、きょうは寒い中来てくれてありがとう! 思う存分楽しんでってね! ということでさっそく1曲目、いっくよー! ワン、ツー、わんつーさんしー!」


 笑のかけ声に続いて前奏が流れ始めた。


「おおおおおお!!」


 その知名度の高い曲は、前奏から客席をどよめかせた。グダグタニューイヤーライブの始まり始まり!

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