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ハートフル少女ラブリーピース! ~届け、私たちのミュージック!~  作者: おじぃ
新しいスタート!

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考えないで聴ける曲

 アイドルアニメや音楽アニメのキャラクターはだいたいキラキラ輝いていて、眩しい青春を駆け抜けている。試練が待ち受けていたりもするけど、底意地の悪いキャラクターは私の知る限りいない。


 私たちも笑さん幸来さんたちといっしょにキラキラした日々を送っているような感じがしなくもないけど、いじめという体の犯罪が蔓延はびこる学校に通ったり、悲惨な事件、事故、災害があったりなんなりな世界で、大いなる負の要素とともに生きている。


 現実はアニメの世界ほどきらめいてはいないけど、そういう世界の中で私、逢瀬川思留紅は、輝くしかない。大好きな音楽を奏でて、聴いてくれるみんなといっしょに、この荒んだ世界をハッピーにするために。


 音楽以外にも世界をハッピーにする方法はあるけど、物心ついたころからお母さんといっしょに音楽に触れてきた私ができるのは、やっぱり音楽だと思うから。


 もちろん、世界は音楽一つで簡単には変わらないことくらい、小学生の私でもわかってる。


 でも、音楽のない世界はきっと、もっと内向きで、刺激がなくて、荒廃している。


 だから結局、音楽は世界を救っている。


 アニメ『ハートフル少女ラブリーピース!』には、「愛と平和を願う気持ちがあれば、誰でもラブリーピースになれる」という台詞がある。笑さんと幸来さんの決まり文句の一つだ。


 それでほんとうに、ラブリーピースになっちゃった。戦士じゃなくて、音楽をやるラブリーピースだけど。


 さて、そんな音楽ラブピの私は、みんなにどんな音楽を届けよう。


 基本、私たちラブリーピースの音楽は前向きで明るかったり、幸来さんは切ない曲をつくったりする。


 じゃあ今回私は、どんな曲をつくろうかな。


 朝起きて、学校に行って、帰ってきて、お休みの日は一人で浜辺を散歩したり、辻堂海浜公園つじどうかいひんこうえんの芝生に寝転んだり。ソロ曲をつくる前、私はこんなことをした。


 周囲に建物がなくて、ただただ雲が流れてく青空が広がる芝生。数十メートル離れたアスファルトの通路沿いに立ち並ぶヤシの木の葉が擦れる音と、子どもたちのはしゃぎ声と潮風の音が聞こえる、開放的でトロピカルな公園。


 でも、考え込んだところで何かパッとするものは浮かんでこなかった。


 だから私は流れる雲の下、風を浴びながら、思考を止めた。一瞬たりとも止まらない世界で、立ち止まってみた。


 青空の下で瞼を閉じると、世界は朱色に染まった。手のひらを太陽に透かすのと同じ理屈。


 今何時? だいたい14時。


 今何時? もうわかんない。


 ぽかぽか照らされて、風を浴びるだけの時間が過ぎてゆく。


 そんなとき、ふと思った。


 ああ、何も考えないで聴ける曲をつくってみたい。


 メッセージや前向きな気持ちを引き出す曲が多いラブリーピース(笑さんがヤケクソでつくった『カラスのパンク』みたいな例外もある)。きっとこれからもそういう曲はつくっていく。


 けど、何も考えない、深い意味のない曲がリスナーの心を潤すこともある。そんな気がして、今回のソロ曲をつくってみた。

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