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ハートフル少女ラブリーピース! ~届け、私たちのミュージック!~  作者: おじぃ
新しいスタート!

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思留紅ロード!

「はいどーも! アニメの世界からやってきた音楽少女ラブリーピース、桃原笑でーす! ところで最近、こんな質問がよく届くんですよ。読み上げますね。『はじめまして、ちっちゃいころからラブリーピースが大好きな大きなお友だちです。まさかラブリーピースの皆さんが2次元を飛び出して現実世界で生きているなんて夢のようなことが僕の生きている間に起こるとは思いもしませんでした。そこで質問なのですが、笑さん、幸来さん、夢さんのカラダは絵なのでしょうか、それともタンパク質なのでしょうか。気になって1週間ろくに眠れず退職代行サービスで会社をやめました。よろしくお願いします』」


 そういえば笑さんたちのからだって、どうなってるんだろうと、タンパク質と水分その他で構成された私、逢瀬川思留紅は思うのです。今夜はカメラに入らない斜め後ろのベッド上方に座って笑さんの配信を見学しています。


「はいはい、気になりますよねわかります。アニメキャラクターは絵、現実に生きる人間はタンパク質。しかし『カラダ』をカタカナ表記するとなんだかいやらしいと思うのは私だけかな。まあいい、話を戻そう。いやあ、まあ、単刀直入に言うと、皆さんが言うアニメの世界に当たるへいわ市でも、いま私たちが生きている現実世界でも、私たちはタンパク質です。ちなみに中の人もいます。皆さんにも中の人はいます。からだは器で、そこに宿っている魂が声を出しているのです。皆さんも、魂に声を当てられて肉体としてこの世に棲息している、それだけの話。私たちも同じ。声優さんとは切り離されていても、私たちは声優さんからいただいた声で生きている。魂は声優さんだけじゃなくて、アニメの作家さんや、キャラクターデザイナーさんなど、制作に関わる色んな人からいただいている。こうして私たちは生きています。説明はこんな感じでよろしいでしょうか。また何かありましたらぜひっておいっ! コメント! なんだかきょうのピンクは知的で魂が幸来ちゃんと入れ替わってんじゃないとかそういうの、まあ私と幸来ちゃんが入れ替わってもいい。でも残念ながら今ここにいるのはただの桃原笑だ。いいか、ただの桃原笑だ」


 笑さんきょうもトーク力すごいなあ。私には真似できないよ。


 私、逢瀬川思留紅は公立小学校の6年生。笑さんと幸来さんが来る前からシンガーソングライターを目指していて、日頃から地下室でお母さんといっしょに練習をしている。


 クラスの男子が幼稚でつまらないとか、女子は悪口ばっかりでめんどくさいとか、そんなことを思っている私は、しかしクラスメイトから嫌われていなかったりいたりする。


 そんな社会生活の中で、または流行りの音楽や昔の音楽も聴いたりして、インプットして、自分の音楽に変換する。ここのところしばらくはそんなスタンスで生きている。


「え? 思留紅ちゃんはいないのかって? いるよ私の斜め後ろで見学してるよだからお前らあんま変なこと言うなよ?」


 笑さんがカメラの前から退いて、私に「映していい?」と確認を取って了承してから私はカメラの前に立った。


「皆さんこんばんは! 逢瀬川思留紅です! 私は皆さんと同じタンパク質ですっ!」


 ぶりっ子はちょっと緊張するけど、これはこれで少しばかりの素が入っているから、やってみればすんなりできる。案ずるより産むが易し。


『こんばんシルクロード!』


『こんばんわんこ!』


『跪いて足を舐めたい』


「きょうも皆さん元気そうでなによりです! 空元気の人も、今だけはどうか楽しんでくださいっ!」


『はーい!』


『わんわん!』


『べろんべろん!』


「おいそこのこんばんわんこ!」


 笑さんが割って入ってきた。


『私が挨拶したときはこんばん〇んこって言ってたのになんで思留紅ちゃんの前ではいい子ぶってんだ!』


『人によって態度を変えるというか合わせるというか、そんなのは当たり前。笑だってもう小学生じゃないんだからわかるでしょ』


「ぐぅ正論だわ。だが私はう〇こレベルじゃない、神レベルだ。それだけは心に留めておけ」


『ほい』


 あ、この視聴者さん、笑さんの相手するのがめんどくさくなったんだ。


「わかればよろしい」


「はい、では今回も、お知らせがありまーす。この前公開した花純ちゃんの曲は聴いてくれましたか?」


『聴いたお』


『いい曲だったわん!』


『花純ちゃんちょっとたくましくなった感あったべろん』


「ありがとうございます! 花純ちゃんが聞いたら喜びそうなので伝えておきますね!」


 一呼吸置いて、私は次の言葉を紡ぐ。


「これでメンバーの中でソロ曲を発表していないのは私だけになりますが、なんと! ようやく! そろそろ! 私の曲も皆さんにお届けできそうです! ライブでも披露させていただく予定なので、ぜひ会場にお越しになる前に聴いていただければうれしいです!」


『おおおおおお!! 待ってるおおお!!』


『わんわん早く聴きたいわん!』


『脚おっぴろげて全裸待機だべろん!』


 ああ、画面の向こうにいる人たちはここで犯罪まがいのコメントをしてるけど、普段はスーツ着て仕事してるのかなあとか想像するとおかしくて、社会を見ているような気になれるのも配信の面白いところ。そんなことは口が裂けても言えないけどね。


「ありがとうございますう! 思留紅、すんごくうれしいですっ! そろそろお届けできると思いますので、もうちょっと待っててくださいね! それでは笑さんの配信中におじゃまいたしました! 私は曲作りに戻ります。ばいばいまたねー、お兄ちゃん。お姉ちゃんもいるのかな? ふふっ」

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