愛と平和を守るハートフル少女!
「私たちさ、動画配信で夢を見つけて、親族の訃報も知って、一応の目的は果たしたわけじゃん。まだ見つかってない人もいっぱいいるけど、なんか目標がぼんやりしているというか、そんな感じがするんだよね」
「確かに、まだ見つかっていない人たちには悪い気がするけど、私もそんな気がしているわ」
「言わないようにとは思ってたけど、これから先、誰も見つからない可能性だってあるからさ。そんな宙ぶらりんな状態で音楽を続けて、聴いてくれる人の心に響くものをつくれるのかなって、よく考え込んでる」
これについては幸来も、夢も思留紅も花純も、紗織や聡一、翼、小町、周囲にいる笑と幸来に関心を寄せる者すべてが考えていたが、元も子もなくなるようなことを誰も口にはしなかった。今はただ、愉しく音楽をやれていればそれでいい。そういう想いでいるから。
「お、お姉ちゃん!」
「どうした夢」
「お姉ちゃんがこんなに真剣に考えごとしてたなんて、わ、私、もうどうしたらいいかわからない!」
いつになく神妙な面持ちで自らの想いを打ち明けた笑に、夢は驚きを隠せなかった。
「なんですと!? 私だって考えるときは考えるんじゃい!」
わちゃわちゃする笑と夢を微笑みながら見守る花純。幸来も思わずクスッと笑みをこぼした。
「これは、人生の、いや、このユニットの転機かもしれませんね」
不意に、思留紅が言った。
「天気?」
「ウェザーじゃないですよ笑さん」
「わ、わかってるよ、そのくらい……」
笑の目は泳いでいる。
「これから私たちがどう進んで行くのか、分岐点に差しかかっているのかもしれません」
「分岐点かあ、これから私たち、どんな道を歩むんだろう」
夢見る乙女の形相で、花純が言った。
トントントン。扉を叩く音がした。
「ラブリーピースさーん! そろそろ本番おなしゃーっす!」
「はーい、今出まーす!」
担当者の呼びかけに笑が答えた。
「さて、行きますか、ラブリーピース!」
「こういうときのかけ声みたいなの、まだ考えてなかったわね」
「ハートマークをつくってピースをパッと天に掲げるみたいなの、どうかな?」
「いい! それいいね花純ちゃん! じゃあそれで行こう!」
「かけ声はどうしましょう」
思留紅が言った。
「そうねぇ……」
「幸来ちゃん、ラブリーピース本人がそこで悩んじゃアカン」
「なら、笑には何か案があるの?」
「そりゃもちろん、あれですよ、ね、夢」
「え、知らないよ」
「あ、わかりました!」
ピンときたのは思留紅だった。
「さすが思留紅ちゃん! ラブリーピースガチ勢!」
笑は皆にかけ声の台詞を教えた。幸来は「あ、それね」と納得。花純も「そうかあ、それかあ」と思い出した。知らなかったのは夢だけだった。
「それじゃ、行きますか!」
5人声を合わせて、
「愛と平和を守るハートフル少女、ラブリーピース!」




