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ハートフル少女ラブリーピース! ~届け、私たちのミュージック!~  作者: おじぃ
夢が現実世界に飛ばされたとき

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夢が現実世界に飛ばされたとき

「すみません! 助けてください! お母さんたちが息してないんです!」


 道路の反対側に団地があって、歩道には街路樹が植えられた街のホームセンターから出てきた二人のお姉さんに、私はわらにもすがる想いで助けを求めた。


「え、お母さんが息してない!? どこ!? 連れてって!」


 活発そうなお姉さんが、迷わず私に誘導を求めた。もう一人の清楚な雰囲気のお姉さんも真剣で慌てた面持ちで頷いた。彼女はとても他人事ではないように口を開き、青ざめていた。共感能力が高そうだと、この非常時に思った。


「ありがとうございます! こっちです!」


 小走りし始め、私は言った。


「ええと、途中に大学があって、その裏道の先にある森です」


「わかった」


 活発そうなお姉さんが言って、清楚なお姉さんと顔を見合わせ、相互に頷いた。二人はこの辺りに土地勘があるのだろう。


 森からここまで来る間に、アスファルトで小さな丘の道を越えてきて、私の息は切れかけていた。急に知らない街に飛ばされたパニックも、全く収まっていなかった。


「あ、バスが来た、乗ろう!」


 バテ気味に走る私たちの後方から現れたバスの行き先は、森までの経路上にある大学だった。走って15分くらいかかった道のりもバスなら3分で、あっと言う間に着いたはずなのに、その3分もいやに長く感じた。バスはへいわ市を走っている馴染みのボンネットバスではなく、知らないバス会社。赤い車体は2台連接していて電車と同じくらい長く、内装は近代的だった。やっぱりここは知らない街なんだと実感した。


 バスから降りて大学の裏道に辿り着くと、「やっぱりここか」と場所を把握した活発なお姉さんがスマートフォンを取り出し、「お母さんと誰が倒れてるの?」と訊いてきたので、「お父さんと、友人のご両親の計四人です」と伝えた。お姉さんはすぐに救急車を呼んでくれた。


 救急車が来るまでの間もお姉さんたちは私といっしょに四人順番に心臓マッサージをしてくれた。


 しばらくして救急車が来たけれど、病院到着後、全員の死亡が確認された。


 そんな、どうしよう、私、ひとりぼっちだ。お姉ちゃんと幸来ちゃんは、生きてるのかな?


 泣き崩れてしまいたいのを我慢する私の肩に、お姉さんたちは手を添えて宥めてくれた。ほんとうに親切で、やさしい人に巡り会えたと思った。


 病院で、私は看護師さんに訊かれた。中年の女性だった。


「こんなときにごめんね。お姉ちゃん、お名前は?」


「桃原夢です」


「モモハラ、ユメちゃんね。住んでいるところは?」


「へいわ市です。あの、ここは、どこなんですか?」


 へいわ市? どこかしらと、心当たりがない様子の看護師さん。


「藤沢よ。神奈川県藤沢市。ユメちゃん、もしかして、どうやって森に来たのか、覚えてないの? このお姉さんたちとはどういう関係?」


「私たちはさっきたまたま街で会って、お母さんさんたちが息してないからって助けを求められて……」


「すみません、私たちも状況が呑み込めていないんです」


 お姉さんたちが言った。


 ふじさわ? どこだろう、聞いたことない地名。やっぱり私、遠くに来ちゃったんだ。


「はい、みんなそれぞれ違う場所にいたはずなのに、いつの間にか森にいて、こんなことに」


「そうだったの、それは大変だったわね。とりあえずきょうはこの病院に検査入院して、様子を見ましょう」


 目覚めたら知らない場所にいて、両親と幸来さんの両親の死に直面して、状況を頭では理解できていても心が追いつかないうちに入院。看護師さんが中年男性のお医者さんを呼んできて、言われるがままに車椅子に乗せられ個室に運ばれベッドに寝かされた。


 するとしばらくして二人の婦警さんが来た。一人は20代、もう一人は40代ほどに見えた。


 看護師さん、お医者さん、お姉さんたちが立ち会いの下、事情聴取をされたけれど、婦警さんが二人がかりで住所を検索しても、ヒットしなかった。代わりに出てきたのは……。

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