夢との再会
笑と幸来が背後を振り返ると、そこには間違いなく、夢が立っていた。
「夢だよね!? ほんとに夢だよね!?」
「うん! 夢だよ! お姉ちゃん! 良かった、良かったよお、幸来さんも無事で良かった!」
無事に再会した笑、幸来と夢。笑はわんわん泣き喚き、夢は「お姉ちゃん、お姉ちゃん」とグスグス泣いて鼻をすすっている。幸来は微笑みながらも涙して、手で目元を拭っている。
「うああああああん!! ゆめー!! ゆめぇ!! ちゃんと食べてる? ちゃんと寝てる? お家はある? お風呂入ってる? 動画見つけてくれてありがとおおおおおお!!」
夢の腹に顔を擦りつけ号泣する笑。迷子の子どもが保護者と再会したかのようだ。立場逆転だが。大声と奇行ならぬ‘喜行’に通行人から視線を浴びるが、感動の再会にそのようなことは気にしない。
「よしよしお姉ちゃん、つらかったね、頑張ったね」
夢は笑の頭をやさしく撫でて微笑みかけている。
少し距離を取って見守る逢瀬川親子。紗織が「良かったね」と三人に目を遣りつつ、思留紅と聡一に言った。思留紅と聡一は頷いて、4ヶ月も行方知れずだった夢との再会を心から祝福した。
「紹介するね」
ひとしきり会話をした笑が、逢瀬川家の三人を見て夢に言った。
「私たち、いまここの皆さんにお世話になってるの」
「いえいえ! むしろ笑さんと幸来さんが来てから毎日が楽しいです! まさか夢さんにも会えるなんて!」
夢は中学2年生。思留紅の2学年上。
「え!? どうして私のことを!?」
「テレビで見てました!」
「そうなんですか!?」
「そうなんです!」
ドヤァ、私らが活躍したおかげやで~と言わんばかりに胸を張る笑。
「え、え、じゃ、じゃあ、あんなことやこんなことも!?」
「どこまで見られてるのかはわかんないんだよなぁ」
と笑。
「大丈夫です! きっと夢さんの仰るようなことはテレビ放映されてません!」
「私たちの活躍が収録されたブルーレイ、ちゃんと見ておいたほうがいいわね」
と幸来。逢瀬川家にはラブリーピースのブルーレイボックスがあるので何話かは見たが、まだ途中。可及的速やかに確認する必要性を幸来は感じている。
「まぁ、視聴者の皆さんが好き放題描いた同人誌というものはあるかもですが」
「こら、思留紅、そういうことは言わないの。ていうかどこでそんなの覚えたの」
思留紅を叱る紗織。
「お母さんとお父さんが同人誌の話をしてるのをいつしか聞いて」
「あらら、私らのせいだったか。そりゃ失礼」
特に同人誌を描いていない二人がいつそのような会話をしたかは定かでないが、聡一が生徒から聞いた話を紗織にした可能性が高い。
「夢ちゃん、これからよろしくね」
「何かあったら取り計らってあげるからね」
紗織、聡一の順に言った。
「あ、はい! よろしくお願いします!」
夢は二人にブンッ! と勢いよく深々と頭を垂れた。




