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平和祭

 雲一つない青空の下、マジョノ町では町民たちが世界が厄災から解放されたことを祝おうと祭りの準備を進めていた。

 この街の領主であるミス・ソルシエールは町一番の大きな豪邸で執事のセバスチャンから街の様子を聞いていた。

「キッキッキッ。」

一つの部屋から変な笑い声が響く。

「そうかい、今夜はうるさい夜になりそうだねぇ。」

「はい、そうですね、ミス・ソルシエール様。」

と、セバスチャンが答える。

バンッと部屋の扉が開かれた。

「グンス・・・。お前は扉は静かに開けいと何回言えば覚えるんじゃ。」

部屋に入ってきたのは目をキラキラさせていたグンスと、その後ろでちょっぴり微笑んだランプーだった。

「なぁなぁばあちゃん!」

グンスとランプーはミス・ソルシエールの元へ駆け寄る。

「何かようかい。グンス、ランプー。」

「あのね、あたしたちもおまつりいっていい?」

「祭りに?別に構わないのだが、お前達だけでは何もないとは考え難いんじゃ。」

「ばあちゃんがいっしょにに来ればいいだろ?」

「あたしゃうるさいのは嫌いでねぇ。」

「じゃあ、セバスチャン!」

「私は今夜大掃除をしなければならないのです。」

「そ、そうなの?」

「申し訳ございません。」

「え~、行きたい~!」

「ですが・・・・」

「セバスチャン、いいことを思いついた。」


 それから、夜が来ると、マジョノ町は人々の笑い声でにぎわっていた。

「・・・・・・なんで私が・・・・・・。」

マジョノ町の入り口で翼は呟く。

「いいじゃん、たまには息抜きも大事でしょう?」

翼の独り言にこたえた恵瑠。

「私、お祭りはあまり乗り気になれないのよ。」

と言ってる癖に一人浴衣をきていたミア。

「ミアおねえちゃんたち、一緒に来てくれてありがとう。」

ランプーは嬉しそうにミアたちに言っていた。

「おお~、すげぇ!」

と、祭りに夢中なグンス。

翼は「はぁ」とため息をつき、

「あまり離れたりするなよ。」

とグンスとランプーに声をかけた。

「は~い!」

と言ってグンスとランプーと恵瑠は人ごみの中に走っていった。

「あちょっと!?」

「えぇ・・・、あいつもあっち側?」

といってミアと翼は3人の後を追いかけていった。


「おっちゃん、これ3つ。」

「あいよ、3百円だよ。」

と、最初に買っていたのがりんご飴。

「これおいしいね。」

「なあなあ恵瑠!おれあれやりたい!」

グンスはそう叫びながら指を指していたのは射的。

「おっ、いいねぇ、行こうか!」

と、3人は射的の屋台へ走る。

「た、楽しそうで何よりだわ。」

「そうだな。」

「てか恵瑠、あの双子の間に入って溶け込んでない?」

「でも、真ん中だけでかくね?違和感だろ。」

「まぁ、確かに・・・、あ、わたあめ買ってくる。」

「おまえも随分と楽しんでるなぁ、私は疲れたよ。」

ミアも、またどっか行ってしまった。

翼はため息をつく。

「無邪気な奴らだ。いや、マイペース?姉上様みたいな奴らだな。」

翼が呟いたこの言葉は誰の耳にも入ることはなかった。


時間も次第に過ぎていき、皆疲れが出てきた。ほぼ皆、遊び疲れだ。

そんな中、ミアはマジョノ町から少し西に離れた所へ皆を連れていき、マジョノ町の方を見つめていた。

「なぁなぁ、楽しかったな!」

グンスが疲れつつも満面の笑みで言う。

「何言ってるの、これからが、本番よ!」

ミアが空を見て言う。

「まだなにかあるの?」

ランプーがミアにそう問いかける。

どこか遠くからドン、と音がする。

「あっ、皆見て!」

恵瑠が空に向かって指を指す。

マジョノ町からその上に、火の弾が昇っていた。そして、真っ暗な夜空に火の弾が咲き、夜空を彩った。

「花火だ・・・・。」

夜空には色とりどりの花火が咲き誇る。

「すげぇ・・・・・。」

「きれーだね!」

グンスとランプーは空に釘付けになる。

「なぁ、恵瑠。」

翼が恵瑠に声を漏らす。

「どしたの翼。」

「あれだけじゃ、終わらない気がするんだ。」

翼は花火を見つめていた。

まるで、最近の過去と少し遠い未来を見るように。

「そうだね。でも、その時は皆で力を合わせて平和をとり戻せばいい。この前は翼も春香もミアも私を信じて戦ってくれた。だから、また平和な日々が来たんだ。だから、この前のように皆お互いを信じあって戦って欲しい。ね、翼?」

翼はそのままの顔で恵瑠を見て、また視線を花火に戻す。

「ああ、そうだよな。」

花火は未来の平和を願うように夜空に咲いては散りゆくのだった。


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