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真のヒーローの一人は説教を受けていた。

「まさか修行をすっぽかして抜け出すなんてな。」

「ううぅ、すみません・・・・・。」

「お前には休日は与ええていない。それにもかかわらず陰陽の里から出るとはどういうことだ!」

「はい、すみません・・・・・。」

「しかも、厄災が起こっても帰らず空が晴れたとたんのこのこ帰ってくるとは、この陰陽師の恥さらしが!」

「はい、すみません・・・・・。」

「それはもう聞き飽きた!一週間逆立ちの刑だ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 見苦しい場面から始まってしまったが、陰陽の里だ。ここはあの事件の時、人々の避難場所になっていたようだ。

春香を叱っているのは陰陽の里の陰陽寮の師、安陪和陽。彼は陰陽師が得意とする未来予知であの事件の未来を予知し、見事にリトル街の人々を陰陽の里に避難させ、結界をはり守っていたのだ。人々の命が守られたのは誰もがこの安陪和陽のおかげだと思っていた。世界を覆っていた闇も払ったのも安陪和陽だと思われていた。世間では和陽は英雄扱いだ。

 人々は知らずとも闇を払うために戦ったのは紛れもない恵瑠たちだ。それに春香も入っているのだが、真のヒーローである彼女は理不尽にも説教を受けてしまった。

「全く、お前みたいなろくでなしの奴と会話すると頭にくる。」

と言い和陽はその場を立ち去ろうとしていた。

「あっ、お待ちください、師匠。」

春香が和陽を呼び止めると和陽はギロリと春香を睨みつけ、

「なんだ。言い訳は嫌いだ。」

と言い放つ。春香は怯えながら「い、いえ・・・。」と漏らし、と続けた。

「最近、妙な現象にあったのです。私、この前、手から水が出てきたのです。なんか、前から知ってたかのように、ブゥワァァァっと。」

和陽は聞くだけ聞いて、何も言わず、部屋の襖を開け、ピシャァンと、大きな音を立て閉めていった。

「手から水だと?一体いつそんな夢を・・・・・?」

和陽は襖を背に立ち止まった。そして、襖の向こう側を見るように顔だけ振り向く。

「嘘だ・・・?あんな奴から、そんな霊力など・・・・・・?いや・・・・・・?」

和陽は走り出し、道にいた弟子に声をかけられようとも止まらず、一直線に陰陽寮の図書庫へ走った。

 ここは、必死に陰陽師になろうとしたものが休憩時間に来る時以外、使われることはなかった。現役陰陽師である和陽さえも、立ち入ることのない場所だ。


 ここしばらくの間、和陽が図書庫で本を読みふける姿が一部の弟子たちの間で目撃されるようになった。


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