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森でのデートと緊急事態

書けたので投稿です。


私と菊乃は準備を終え、玄関で荷物の確認をしていた。

菊乃は黒紫色の袴に白の道衣の様なものを着て、その上から黒地の羽織を着ている。前の胸元左右二箇所と首筋の辺りに、枝垂れ桜を丸で囲んだ様な家紋がある。

背中には籠を背負い、左手には和弓を持ち、腰には矢筒を下げている。

私といえば菊乃が洗ってくれた無地の半袖の黒Tシャツにジーンズである。そこに菊乃同様籠を背負い、何故だか菊乃が渡してきた刀を腰につける


「森の中で和弓を使うとなると、取り回しが悪くはないのかい?」


少し疑問だったことを聞く。


「はい、大丈夫ですよ。...と言うよりも、弓とはこれの事ではないのですか?」


菊乃は首を傾げながら答えてくれた。可愛い。

さらに質問を重ねる。


「洋弓は無いのかな?さらに短い弓」


「いえ...私が知る限りは無いですね」


こちらでは和弓と洋弓の違いがない様だ。まぁ和弓は威力と射程には優れている。昔は殿様の狩りにも使たのだから問題ないだろう。それよりも...


「菊乃...私は何故日本刀を持たされているの?

体育の剣道くらいしかやった事ないよ」


「大丈夫です!いざとなれば体は勝手に動きますよ。

それは父様が使っていた刀で、斬鬼刀といいます。

これは対象に当たると振動して殆どのものが切れる、と父様が言っていましたから。護身用に持っていて下さい」


「わかった、当てればいいんだね。それなら何とか使えそうだ」


何故だか高周波ブレードに似てますね。ですが妻が心配して持たせてくれた物、しかも父の形見の品である。大切に使わなければいけない。菊乃を抱きしめる。


「私のために父親の形見まで使ってくれて...ありがとう。必ず君を守るから。愛してる」


「確かに父様の形見ですが、わたくしはその品よりもマサノリ様の方が大切です。決して無理はしないで下さいませ。何よりも愛しております」


私達は準備を終え軽くキスを交わした後、仲睦まじく腕を組みながら森を目指して歩いて行った。


しばし森でのデートを楽しんでいると少し離れた場所から悲鳴の様な声が聞こえる。


「菊乃?どっち方向から聞こえてきたか分かるかな?」


「はい、先程は西から聞こえました。おそらく200程だと思います。」


すごい、菊乃には方向や距離まで分かるのか!


「了解、何が起きているか分からない。出来るだけ急いで向かおう。」


私達は西の方角に向かって走り出した。しばらくして草叢から出ると、ある程度しっかり整備されていと思われる道に出た。


「この道はなんだか分かる?」


私は菊乃に問う。


「ここはこの山を越える為に整備された街道です。元々人の通りがほぼ無い街道ですが、先程の悲鳴はこの辺りだと思われます」


「分かったこの辺りを...ッ!」


後ろの方から気配を感じたかと思ったら、急に抱きつかれた様な衝撃を感じる。後ろを振り返ると真紅髪に真紅の瞳長い髪を右でまとめた少女を見つける。


「助けてッ!お姉ちゃんが熊に襲われてるの!お願いお姉ちゃんを助けて!!」


少女は涙を浮かべながら懇願してきた。


「ッ...マサノリ様、彼女は以前話した商人姉妹の妹です」


「彼女がか?分かった。菊乃助けに行きたいけど彼女を頼んでもいい?」


「分かりました。ですが...一緒に行きます!」


菊乃は力強く言う。確かに素人が熊に一人で勝てる筈はない。格好悪いが菊乃に頼ることにする。


「よし!急ごう。案内頼めるかい」


真紅髪の少女に聞く


「うん、大丈夫!ありがとう!!」


少女の頭を撫で落ち着かせてから案内を頼んだ。

しばらく走ると壊れた馬車に馬が一頭倒れている。

その先には真紅の髪を低い位置でまとめている少女が、熊と対峙していた。所々に擦り傷を作り血が出ている。


「お姉ちゃんッ!」


サイドアップの少女が叫ぶ。髪をまとめた少女はこちらを見て叫びをあげた。


「来るな!こいつはただの熊じゃない!危険だ逃げろ!!」


そう叫ぶと少女は槍を構えて熊に対して走り出した。

だが下策だ、熊は飛び込んできた少女を左手で払い近くの木にぶつけた。


「お姉ちゃん!!」


駆け寄ろうとする少女を止める。


「ダメだ!君は危険だから下がって!」


「でも!お姉ちゃんを助けなきゃ!!」


今にも飛び出しそうな少女を抑えて菊乃に問う


「ここから熊の後ろ足二本に矢を当てられるかい?」


「勿論です、わたくしとて黒鬼です。武芸と鬼術は両親より鍛えられています!」


「なら頼りにしてるよ、奴の足を集中的に潰してくれ。その間に刀で首を落とす。」


菊乃を撫でて作戦を伝える。

しかし、素人に切れるか分からない状況である。私も不安しか無いがやるしか無い。私が刀を抜くと菊乃は弓に矢を一本番える、さらに矢を弦を引く右手に二本矢を持つ。


「菊乃のタイミングに合わせる。二本が足に当たり次第動くよ。」


そう伝えると菊乃は矢を放つ。一射目が右後ろ足を射抜く。熊が痛みに体勢を崩した瞬間に、菊乃は二射目を放ち左後ろ足を射抜く。二度の痛みで怯んだ熊に対して私は走る。菊乃は三射目を右前足に放つ。


「流石私の嫁だね!右から回り込んで首を落とす!援護は任せた!」


「承りました!安心してお進み下さい!熊ごときにマサノリ様を傷つけさせるわたくしではありません!」


その後すぐに菊乃は四射目を熊の右目に放つ。熊は苦痛に暴れる。頭を射抜かれても死なない熊は、かなり反則だね。


そんな事を思いながら熊の横に到着した私は、手に持つ斬鬼刀を熊の首筋に振り下ろす。


何か豆腐を切った時の様な感触の後、熊の首が地に落ちた。討伐完了である。


 先ずは少女のお姉さんの状態を、確認する事が優先だね。菊乃を呼び寄せ、木に飛ばされた少女の元に向かう。今回は上手くいって良かった。少女は気を失っていたので、私がおぶって家に連れていった。

その間菊乃からはドス黒いオーラが出ていて、妹の方が泣きそうになっていた。

読者の暇つぶしにでもなれば幸いです!

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