問題発覚
いつもより長くなってしまいました。
お付き合いくだm(_ _)m
確かな絆を結んだ私と菊乃でしたが、差し迫る大きな問題が発覚してしまった。昨日の夜菊乃と二人で今後の予定について話したところ、食料の備蓄が残り少なくなってきた。朝食をとりながら生活状況を確認する。
「ここでの生活は自給自足かい?」
私は菊乃に問う。
「はい...殆どはこの山で取れるものを使っています。お米などは家の田んぼで作りました。しかし二人分ですと少し不安ですね。」
「そうか...でも大丈夫だよ。一応爺には山で生きる為の技術を教えてもらったから。田んぼだって二人なら多少は楽になると思う。」
「田んぼは二俵ほど取れる広さはあるのですが...どうしてもわたくし一人では、広すぎて使いきれないのです」
「二人なら何とかカバーできるかな。後カモも仕入れたいね。それだけでも収穫量は上がるから」
私の経験では、30キロの米はやり方次第では半年食べることができる。一俵は60キロ、二俵は120キロである。二人暮しで二俵もあれば、蓄えも作れる。不作の時も考えて狩猟も始めよう。
「菊乃は獣の解体とか出来たりする?」
「一応は小型の兎や鳥などなら可能です。しかし猪や鹿になると一人では厳しかと。」
私の嫁は優秀すぎるね。米作りに獣の解体、家事全般も一人でこなす。私も一人暮らしの大学生だったので、家事などは出来る。山菜の取り方や獣の狩方は、祖父が生きているうちに教えてくれた。
「菊乃が妻になってくれて本当に良かった。こんなに完璧なお嫁さんはいないね。」
「わたくしなどは完璧には程遠いです。ですがマサノリ様に求めて頂けるなら、妻としてこの上ない喜びです!」
完璧で可愛い嫁は嬉しそうだ。抱き寄せたまま頭を撫でる。当面の問題に対する打開策は二人で考えた。米は前回植えた稲がしばらくすれば収穫できるようだ。食料事情は少なからず解決できる。
後は疑問に思っていた事を菊乃に聞く。
「衣服や野菜などの入手手段は?」
「町から来てくれている商人の姉妹が持って来て下さいます。わたくしの母様が'黒炎の狂乱'の時に助けた姉妹らしくて、色々と持って来てくれるのです」
「その姉妹達も黒鬼なのかな?」
「いえ、彼女達は朱鬼です。流石に黒鬼が街中を歩くと危険ですから...」
「そうか...それなら彼女達に会ってみたいね」
「ナンデスカ?行商の商人ならば浮気の相手としてバレないと?」
笑ってるけど目が笑ってない。妻の前で他の女の話をするのは失策だな。
「大丈夫、君がいるから浮気はしないよ。ただ妻を助けてくれた人がいるなら、挨拶をしたいだけだよ」
猫の様に擦り寄る菊乃を抱きしめる。
「すみませんでした...また嫉妬など」
「私ごときに嫉妬してくれる君が...何よりも愛おしい。しかし今後の生活の為に、商人との繋がりは持っておきたい。それだけだよ」
菊乃を落ち着かせるように、抱きしめている彼女の頭を撫でる。
「ありがとうございます...愛しております」
「あぁ、私も愛しているよ」
撫でられながら、菊乃は私の胸に頬ずりをする。さらに撫でてやると顔を離した。にやけ顔から少し真面目顔に戻って話始める。
「それでしたら明後日の昼になれば来ると思います。
遠方からの仕入れから戻ってくるはずなので、よって下さるでしょう」
「わかった、備蓄は何日くらい持つ?」
「少ないと言っても、一月は持ちます。収穫までのもう一月だけ考えれば何とかなると思います」
的確な見通しと欲しい情報をくれる優秀な妻である。
「理解したよ。一応収穫量が明確でないからくず米をその姉妹達から仕入れようか。収穫が多いなら、優先してくず米を食べれば備蓄も作れる」
「ですがマサノリ様、くず米はあまり美味しくないですよ。
マサノリ様のお口に、その様な粗悪品入れたくありません!」
菊乃は少し頬を膨らませて言う。全く嬉しい事を言ってくれる嫁である。しかし私も最愛の妻に、そのまま粗悪品は食べさせはしない。
「大丈夫だよ、流石に私も菊乃には美味く食べて欲しい。新米を少し混ぜながら、炊く前に塩と油を少し混ぜて炊くと美味しく食べられる。母さんが教えてくれたから。」
「なるほど...マサノリ様、わたくしの事を考えていただけて嬉しく思います。では明後日の昼に彼女達にくず米などの仕入れを頼んでみます!」
菊乃は笑顔で言う。方針が固まった私達は昼まで準備をして、午後から森の中へ向かう事にした。
後で'黒炎の狂乱'についても聞こう。
お付き合いいただき
ありがとうございました。
読んで下さる方思いのほか多く嬉しい限りです。
次回も頑張りす!