ネコーズ VS 幽霊道化師(ファントムクラウン) 危機編
ネコーズ達は、近くの遊園地パルパルに来た。
以前は、フリーパス制度も無く、あまり面白くもない所だったが、最近は整備されたようで、いろいろアトラクションも増えている。
ネコーズとモコソンは、お金が無いのでいつもの要領で入園しようとすると、シャーロットに腕を掴まれる。
「何ニャ! 動物は、料金表が書いてないから、乗務員と戦って勝つしかないニャ! それが僕らの宿命なんだ!」
「そうだ! 動物は本来無料だろう。しかし、奴らが戦いを挑んで来る。それに合わせるしかないだ!」
「ネコーズ、僕ならカードで払えるけど……」
「ここはたぶんカードはダメニャ! 遊園地とかは、ほとんど現金主義だから……」
ネコーズとモコソンの抗議に、シャーロットは言う。
「子供料金を払えば良いだけじゃないの。この乗り物限定パスを買えば、一匹三千円以内よ!」
「うるさいニャン! 僕達がそんな大金を持っているわけないニャン。僕は、お菓子代の五百円くらいしか持ってないニャン!」
ネコーズの言葉を聞き、シャーロットは言う。
「あー、分かった、分かった。今回は、私達が出してあげるわよ。ウルフ兄さん、お金を出してあげて!」
「分かった。大人二人と動物二匹で、合計一万一千四百円だな」
ウルフに入場料とフリーパス券を払ってもらい、ネコーズとモコソン、シャーロットは無事に入場することができた。
「さーて、どれに乗りましょうか?」
シャーロットの言葉に、ネコーズ達は反応する。どうやら興奮しているようだ。
いつもは、死闘を繰り広げて楽しむが、今回はお客様としてもてなしてくれるからだ。
「じゃあ、まずは、ワイルドストームに乗るニャ! 大空に放り出される感覚が味わえるニャ!」
「いいけど、サイズ的に危険よ。本当に大空に放り出されても知らないからね。マジで!」
「身長百二十センチ以上か……。背伸びをすれば、何とかなるニャン!」
ネコーズは、以前の依頼主からご褒美として、特殊能力巨大化をもらっているため、メインクーン大の身長百二十センチにまで大きくなれるのだ。
これがネコーズの超必殺技である。
ただし、この能力を使った場合、一日はこの姿のままのため、可愛さが半減してしまうのだ。
まあ、遊園地を楽しむためには仕方のない事だ。
「じゃあ、行きましょうか!」
こうして、二人と二匹は、ワイルドストームに乗り込んだ。
ネコーズ達は、列に並ぶ。今日は休日のため、それなりに込んでいるのだ。
「この立体迷路が新しくオープンしたみたいニャ。次は、これに行くニャ!」
「デテミーヤか……。良いわよ。でも、探偵としては、このパルパル探偵事務所は外せないわね。たとえ子供向けだとしても……」
「ふっ、小娘、僕と戦ってみるかね?」
「いいけど、あなた、今フルチンなんだから注意してよね。巨大化したのはいいけど、コートが着れなくなちゃったじゃない」
「僕は、オスの中のオスだから、フルチンでも大丈夫ニャン!」
「猫の姿で良かったわね。人間だったら、即ブタ箱行きよ!」
ネコーズとシャーロットがそんな話をしているうちに、乗る順番が来た。
「よっこいしょ」
ネコーズとモコソンが隣り合って乗り、シャーロットとウルフがその後ろに乗る。
乗った後で、ネコーズはとんでもない事を言い出した。
「僕、おしっこに行きたくなったニャン! 裸だからちょっと寒くて……」
「ちょっと先に言いなさいよ。まあ、これはすぐ終わるから我慢しなさい!」
「うーん、走ってるうちに出そうだニャン!」
ネコーズの言葉を聞き、モコソンが言う。
「それじゃあ、この辺一帯で雨が降り出すね。今日は快晴だけど……」
シャーロットは大声で言う。
「ちょっと! 後ろにいる私は、直撃を受けるじゃないの。どうすんのよ!」
「大丈夫ニャン! パルショップに行けば、シャツとかも売ってるから……」
「いやー!」
嫌がるシャーロットに、ウルフは優しく言う。
「もう、覚悟を決めよう。走り出したら止まらない」
「そんな……」
こうして、絶叫マシーンのワイルドストームは発車された。
案の定ネコーズはお漏らしし、コースター内に絶叫のあらしが吹き荒れた。
シャーロットは運良く風向きと背もたれにより守られたが、ウルフは直撃を受けていた。
ネコーズのお漏らしの八割は、ウルフにかかっていた。
ネコーズ達がコースターを降りる時には、ネコーズの脚とウルフの上半身は、びちゃびちゃになっていた。
「うー、脚がびちゃびちゃニャン! ウルフ達は大丈夫かニャ?」
そう訊くネコーズに対し、ウルフは空気を読んだ。親指を立てて言う。
「全然平気さ! パルショップで服を買って、着替えれば問題ないよ! 早くパルショップに行こう!」
「良かったニャン!」
こうして、ネコーズ達はパルショップへ向かった。




