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ネコーズ VS 怪人赤マント   依頼編

 ネコーズは久し振りに金も稼いだので、家でゴロゴロし、漫画を読んでいる。


「うーん、相撲はテレビで見てたけど、ルールは分からないからな。ただのデブ同士の押し合いではなく、男と男の戦いだったのだな。


日の丸相撲を見て、初めてルールが分かったぞ。この作者には、頑張ってもらいたいよな。


二セコイとか、ワールドトリガーは、いつ消えてもらっても構わないけどな!」


ネコーズが漫画の研究をしていると、依頼主が来た。美人らしく、モコソンが迎える。


「おお! 芸人で、面白くはないけど、美人でグラビアアイドル並みの美人、犬神今日子さんじゃないですか。どうしたんです? 


僕に恋の相談ですか? それとも、オッパイの診断ですか?」


犬神今日子は、モコソンを殴って言う。


「ふふふ、面白くて、可愛い羊ちゃんね。ちょっと、相談があって来たんだけど……」


「くっは! 良い右ストレートじゃないかね。とても健康体だ。後で、また診断しましょうね……」


モコソンはそう言って、気絶した。犬神今日子は、ネコーズの部屋へと進んで来る。ネコーズの部屋のドアにノックをする。


「はーい、どうぞ。僕、今忙しいから、適当に座って待ててね」


犬神今日子は、その言葉を無視して、ネコーズに近付いて行く。


「あ、ちょっと、お触り禁止だよ!」


ネコーズがそう言うにもかかわらず、犬神今日子は、ネコーズを抱きしめる。


「子猫ちゃん、ちょっと相談があって来たんだけど、いいかしら? あんまり他の人に知られたくないのよ。


私が、学校の怪談や幽霊が怖いなんてね。えるふさんに解決してもらいたいけど、他の人に知られたくないって言ったら、あなたに頼むように言われたの。


ボディーガードも含めて、依頼をお願いするわ」


「ちょっと、化粧が臭いんですけど……。猫は敏感だから、香水や化粧の臭いは嫌なんだよ!」


「ごめんなさい。興奮して、ちょっと抱き付いちゃったわ。見た目は普通の猫だから……」


犬神今日子は、ネコーズを放し、ソファーに座る。ネコーズは漫画を中断し、依頼を真剣に訊くことにする。


「僕、こう見えても売れっ子だから、依頼金額は高いですよ。成功報酬として、五百万円もらいましょうか?」


「ふふふ、依頼内容も訊いてないのに高額だこと……。潰すわよ!」


犬神今日子は、ネコーズに圧力をかけるが、ネコーズも黙っていない。


「そうですか。どうせ、くだらない内容でしょ? 冷やかしとかも嫌なんですけど……」


「冷やかしではないわ。本当に得体の知れない者から狙われているのよ。ほら、最近噂で聞いてる怪人の話、あれに狙われているの」


犬神今日子は震えながらそう言う。


「ああ、なんか、事故に遭って、両脚が無くなったというカシマレイコさんでしょ? あれは、『足をよこせ』っていう奴でしょ? 


それなら、『今、使ってます』とか、『今、必要です』と言えば良いんですよ! はい、事件は解決ですね!」


「違うわ。それじゃなくて、怪人赤マントの方よ!」


「ああ、それは、『赤マント、いらないか?』って言う質問の奴ですよね。


それなら、『いらない』と答えるか、無視すればいいんですよ。『いる』と答えると、襲われますけど……」


ネコーズがそう言うと、犬神今日子は泣き出す。


友人三人でいる時はツンデレ系だが、本当の今日子は寂しがり屋で、弱い感じの子だったのだ。


ネコーズは今日子の気持ちを察して言う。


「なるほど。自分が人から頼られる時は、リーダーで頼れる存在でいなければならないため、本当の自分を押し殺して、違う自分を演じていたわけか……。


えるふが、あなたの心境を理解できたのもうなずけるな。まあ、安心したまえ、僕も同じタイプだから分かるよ」


ネコーズの意外な言葉に、モコソンは反応する。


「ええ! 僕といる時は、無理していたのかい?」


「まあ、猫は本来寂しがりやな生き物だから。


ウサギがさみしいと死んじゃうのは、デマだけど、猫は一人で生きていけるみたいなツンデレタイプだけど、本当は寂しがり屋なんだよ!」


ネコーズは、今日子に優しく言う。


「僕はモコネコとは違うよ。こんな可憐で、巨乳なお姉さんを傷付けたりはしない! モコソンだって、同じさ!」


「ええ! 僕はどっちかと言うと、いじめたいと思ってしまいますけど……」


反発するモコソンをわきに連れて来て、ネコーズはモコソンに、小声で耳打ちする。


「奴は芸能会社の社長だ。僕達が恩を売っておけば、可愛い巨乳メイドを派遣してくれたり、自らが巨乳メイドになってくれるかもしれない。今日子の性格は、他の人には黙っているんだ!」


「なるほど! うむ、普段は強気の今日子さんをメイドとして働かせるなんて、ドS心がうずくよね。更に、研修という名目で、新人さんを使い放題とか、夢のようだね!」


「ふっ、モコソン、分かってくれたか!」


ネコーズとモコソンは、硬い握手をする。


ネコーズは、今日子に向かって報酬の話をする。


「今日子さん、僕達の要求にこたえてくれれば、お代は結構ですよ。僕達も、名古屋と豊橋を拠点にしているため、人手が足りていないんです。


もし良ければ、名古屋営業所の方に、臨時でメイドさんを雇ってもらってもよろしいでしょうか? 


新人や手の空いてる人で構いません。お茶とコーヒーが出せるくらいで、可愛くて応対のできる子なら、誰でも結構ですよ。


モコソンと僕は、芸能関連でも指導できますから、新人研修にも良いですし、お互い損はないんじゃないですか?」


今日子はその申し出に、黙ってうなずいた。


「よし、じゃあ、依頼内容をお話しください。内容が分からないと、ボディーガードも出来ませんから……」


今日子は、ネコーズに安心したのか、ゆっくりと話し始める。猫には、人を安心させる力もあるのだ。


「実は、ある高校で、女生徒が襲われるという事件が発生してるらしいの。そこで、犯人を捕まえようと思って、この学校を一人で下見していたんだけど……。


その時に、『赤マントいるか?』って言う声が聞こえて来たの。

私はてっきり用務員さんだと思って、くださいと言ってしまったんです。


その後から、変な物音や、シャッターを撮る音が聞こえて来るんです。三人いる時は、気丈のふりをしているんですけど、一人の時はどうしても怖くて……」


「なるほど、とりあえず、そのストーカーの犯人を捕まえれば良いというのですね」


「犯人がいるのかしら? 幽霊かもしれないわよ。実際、何人かが怪しい奴を見たっていうし……」


「噂の赤マントは、学校の女生徒と会話をしたら、真っ先に襲って来ると言います。今回は、少し様子が変ですよ。


あなたの知り合いかもしれません。実際に、あなたが赤マントに遭遇した場所へ行ってみましょう。何か分かるかもしれない」


「ええ! ちょっと怖いわ……。実際の犯人もいるんでしょう? 友人がいれば、私も特殊な能力が使えるけど、一人なら戦えるかどうか……」


「あなたがそんな危険な場所に一人で行ったのも、友人に危害を加えさせないためでしょう? 


大丈夫です。あなたはとても強い人ですよ。それに僕とモコソンも一緒にいて、あなたを守ります。それに、僕は犯人の目星が付いているんです。必ず、事件を解決してみせますよ!」


「なんて頼もしい猫なの。分かったわ。あの学校でロケをするためにも、芸能プロダクションの社長として頑張ります!」


こうして、ネコーズ達と犬神今日子の冒険が始まる。

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