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ネコーズ VS 未来を見せる猫  結末編

ネコーズがやくざの下っ端から離れると、モコソンがネコーズに近づいて来た。


「ネコーズ、無事か? 一瞬、あの猫にやられたかと思って心配したぞ!」


ネコーズは、心配するモコソンに言う。


「ふっ、完全に僕の演技だよ! あの猫の裏には、やくざがいる。やくざをどうにかしない限り、拓馬君も救出できない。


そこで、あの猫と戦うふりをして、やくざをおびき寄せ、やくざの下っ端に接触出来たというわけさ!」


(うん、そうだ。僕は、薄々そう思ってた。必殺技を出したのも演技だし、全然本気じゃないよ……。うん!)


ネコーズはそう考えて、自分を慰めていた。

ネコーズはやくざの下っ端からくすねた銀行カードをモコソンに見せる。


「すでに、奴らの情報は掴んだ。こいつを使って、奴らを罠にはめようぜ!」


「何? どうやって?」


ネコーズは、モコソンと共に銀行に向かう。

銀行の入り口まで来ると、ネコーズはモコソンの毛皮で作った布を投げる。その布は、銀行の防犯カメラに当たり、うまい事巻き付いた。


「ふん、モコソンカッターは対象に巻き付き、ひもを引っ張る事で、自在に引き離すことが可能だ! 


モコソンの毛皮の弾力と収縮をうまく利用した技なのだ!」


「銀行の防犯カメラを覆い隠して、何をする気だ? まさか……」


「ふっ、その通り。僕の治療費を払ってもらおうと思ってね!」


ネコーズはATMから、やくざのカードと暗証番号を使い、金を引き下ろして行く。


「一回、百万円しか下ろせない。もしも、ATMの金が尽きたら、他の銀行に行こうぜ!」


ネコーズは可能な限り金を回収し、モコソンの毛皮を使って、ATM画面の指紋を消す。


銀行を二、三件回り、かなりの金額を回収できた。


「ふーむ、だいたい七百万円くらいか……。もう少しあるかと思ったが、銀行カード一枚分だから仕方ないな。


後は、抗争が起きるのを信じて、警察に通報するだけだ! 拓馬君もいるだろうし、やくざが切れれば、拳銃での殺しもあり得る。これで、事件は解決さ!」


 しばらくすると、ネコーズの言った通り、やくざの家で構想が起こった。


「おい! 俺達の金が無くなっているぞ! テメーが盗ったのか?」


ボス風の男が、下っ端に尋問する。


「いえ、俺じゃありません。何かの間違えでは?」


「間違いじゃねえ! テメ―が盗ったんだよ。

金がねえなら、命で償ってもらうぜ!」


「やめてくだぜえ、ボス……」


「死ね!」


ボスが引き金を引くと、銃が暴発し、ボスが倒れ込んだ。


「バ、バカな……。銃に何かがつまって……」


ボスが銃を見ると、キャットフードが銃身に詰まっていた。あの三毛猫が、下っ端を守るためにしたのだ。


(ふん! 餌係りが死ぬのは、僕としても嫌だからね。実質のボスは、僕だ! 今まで、良い思いができて良かっただろ)


あの三毛猫はそういう眼をしている。ボスは倒れて、動かなくなった。すると、一分もしないうちに、警察のサイレンが聞こえて来る。


そう、ネコーズが呼んだ警察である。


「やばい、察だ! 秘密の通路を使って逃げろ! しばらくしたら、ボスは決める。このボスは置いて逃げろ! 


実質、三毛猫のカポネさえいれば、金は稼げるんだ! 昨日捕まえた餓鬼も置いておけ!」


やくざ達は、急いで秘密の通路から脱出した。

あの三毛猫も一緒に逃げる。


(ふん、まさか僕と同等の奴がいるとはね。人語を話す猫ってのは、かなり厄介だな……。今度会った時は、全く容赦しないよ!)


こうして、やくざとカポネとかいう三毛猫は、行方が分からなくなった。いずれまた、ネコーズと対決する時もあるのだろう。


 その後、ネコーズとモコソンは豊橋に帰り、ニュースによって、拓馬君が無事であることを知った。


ニュースでは、金のトラブルからの障害事故という事で決着したようだ。銀行にあった七百万円の行方は、警察では探し出せなかった。やくざが持ち去ったとの見解が強い。


かくして、この未来を見せる猫事件は、ネコーズの記憶が忘れ去られたことにより、闇のうちに葬り去られたのである。


 しばらくすると、杏奈ちゃんと拓馬君が、ネコーズとモコソンにお礼を言いに来た。


「ありがとう。拓馬君は無事に見付かったよ。

ネコーズさん達が何かをしてくれたんでしょう。ニュースでは、近隣住民の苦情って言ってるけど……」


ネコーズとモコソンは、お茶を飲みながら、その話を聞いている。


「さあ、どうかな? それより、拓馬君の様子はどうかね? 見付からなかった子もいるそうだから、本当に危険だったね。これ、良かったら、みんなでケーキでも食べなよ!」


ネコーズはそう言って、一万円を渡した。


「えー、良いの? ありがとう!」


杏奈ちゃんは喜んで受け取る。


「良いんだよ。僕達はなぜか銀行に七百万円あるから。切りの悪い分だけ、君達にあげるよ!」


「わーい。マッタ―ホンで、コーヒーとケーキでも食べよう。あの、ネコーズさん達も来るよね?」


ネコーズとモコソンは、優しい表情をして言う。


「じゃあ、行こうかな。マッタ―ホンのお姉さんを尋ねに!」

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