ネコーズ VS 未来を見せる猫 死闘編
ネコーズは、三毛猫に近づき、攻撃する。
「喰らえ、ネコーズスラッシュ!」
(ネコーズスラッシュとは、ネコーズの得意技、ただの引っ掻き技である)
三毛猫は、ネコーズの渾身の攻撃を、関節を押さえてことごとく防ぐ。
「ふん! そんな技、子供やか弱い女性ならともかく、この俺様には通用しないぜ!」
ネコーズは、攻撃が当たらないのを悟ると、道路に降り、モコソンに協力を求める。
「喰らえ、モコソンミサイル!」
(モコソンミサイルとは、モコソンをブン投げる事により、遠距離の攻撃と、モコソンの体重を込めた強力な蹄の集中攻撃である。
喰らえば、大の大人でも死にかけ、壁などに穴が開くという大技である)
三毛猫めがけて、モコソンが飛んでくるが、三毛猫はひらりとかわして逃げる。外れたが、近くの家の屋根を破壊して、モコソンはどこかへ飛んで行った。野次馬のおばちゃんが冗談を言う。
「やーね、屋根が壊れてるわ。全く、やくざの家は怖いわね!」
普段のネコーズならば、ネコーズスラッシュを喰らわせている所だが、今回はそんな余裕はない。久々に会う強敵だった。
「ふん、攻撃力を上げたつもりだろうが、当たらなければ意味はない! どうした、もう終りか?」
ネコーズは、三毛猫の挑発に乗る。
「ふー、このまま負けていれば、怪我せずにいられたものを……」
ネコーズはコートを脱ぎ、フルチンになった。
「ふん、コートは、猫としての制御装置だったのさ! この姿を見て、無傷だった者はいない! 覚悟しろ!」
ネコーズの肢体は、引き締まっており、いつもゴロゴロしていたとは思えない良い筋肉だった。野生の獣を思わせる威圧感さえもある。
「くっ、何という筋肉の美しさだ! お前、相当鍛えているな!」
三毛猫は、ネコーズの身体にビビる。
「ふっ、楽して金を儲けようとしている貴様とは違う、日々子供や女子高生と戯れ、地獄のような訓練を積み重ねた結果だ!」
「くっ、俺様の場合は、そういう奴こそ抹殺させている。奴は殺さずに、あの地獄を受け入れているというのか?」
「ふっ、慣れれば、子供や女子高生など可愛い者さ! 貴様はここで倒すがな!」
ネコーズは必殺技の構えをする。ネコーズの必殺技は、身体全身の筋肉を使い、その筋肉の力を拳に込める技である。威力は、モコソンミサイルと同等だが、スピードはケタ違いの大技なのだ。
「喰らえ、ネコーズスーパー猫パンチ!」
全身をバネにしたネコーズの一撃が、三毛猫に襲いかかる。
ネコーズの攻撃が三毛猫に当たる瞬間、この家のドアが開き、ネコーズの攻撃を阻んだ。
けたたましい音とともに、ネコーズは扉にぶつかり、気を失った。
「ふー、攻撃が当たっていれば、俺様の完全敗北だった。奴の一撃に、俺様が反応すらできないとは……。だが、悪いな。
俺様の未来を見る能力も伊達じゃないという事だ。悪く思わないでくれよ!」
三毛猫は、開いた扉から家の中へと入って行った。替わりに、やくざの下っ端が玄関に出て来た。下っ端は、ネコーズを見て驚く。
「ありゃりゃ、ごめん、ごめん。いるとは思わなんだわ。気が付くまで、抱っこしてやるからな。寒いし、俺も丁度良いわ!」
下っ端は、ネコーズを抱え、どこかへ向かう。
下っ端がドアを閉めると、ネコーズの技のせいでドアが外れてしまった。更に、屋根の破損も見付ける。
「あり、屋根が壊れ取るやん。修理せんと親分に殺される。後、ドアも蝶つがいが壊れとるようやし……。仕方ない、今日は修理を頼むとしますか……」
下っ端は金を調達するため、銀行に向かう。モコソンはその下っ端と、ネコーズの後を追って行く。
しばらくすると、ネコーズが目を覚ました。ネコーズは状況を見て、下っ端が何をするかを悟ったようだ。
普通の猫のふりをして、やくざの下っ端の懐にいる。そうしていると、下っ端は銀行に着いた。
「ふー、寒い! さっさと終わらせて、おコタで温まりますか……」
下っ端は現金を引き出そうとする。
「やーさんいやっと……。よし、これで修理費と、猫缶が買えるな!」
下っ端はお金を持って、銀行を出る。ネコーズはしばらくすると、やくざの下っ端の懐から出た。
「なんだよ……。なついたと思ったのに……。
仕方ねえ、相棒のカポネに餌をやるとするか」
やくざの下っ端はそう言って、家へと帰って行った。