ネコーズ VS ドッペルゲンガ― 依頼編
ネコーズとモコソンは豊橋に戻り、コミケの漫画を描き始める。事件は十分にあったが、油断をするわけにはいかなかった。
「今回の漫画のテーマは、アルバイトニャン! 主人公にアルバイトさせて、成長を促す、そんな漫画にするニャン!」
「おお! という事は、萌えポイントは制服ですね? まずは資料を揃えなくては……」
モコソンはやる気満々で、インターネットの制服サイトを見る。スッチーやOL等、萌える要素がたくさんある。
しかし、そうした物に時間を取られ過ぎると、話の内容が疎かになるという危険があった。ネコーズはバランスを考えながら仕事をする。
萌え絵のクオリティー(質)を落とさず、内容は魂が震え立つ物にしなければならないのだ。そんな構想を練っていると、ネコーズの事務所に客が現れた。
ネコーズ事務所の扉を叩き、扉を開いて現れたのは、モコソンが大好きな美女だった。
モコソンは瞬間的に、コーヒーとケーキを用意する。この間2秒という早業だった。
美女は椅子に座り、左手でカップを持ち、コーヒーを飲んで言う。
「あの、最近私はドッペルゲンガ―を見たんです。それ以外にも、他の人が私の知らない所で、私を見かけたとか……」
「なんと、あなたの様なお美しい方が他にもいるなんて感激です!」
モコソンは興奮してそう言う。
「あなたさえよろしければ、あなたのクローンを作って差し上げますよ! もちろん、そのクローンはあなたの物です。
僕の報酬としては、その中の一人をメイドとして、この家で奉仕してくれれば、他には何も要りません」
「あ、いえ、クローンが欲しいのではなく、ドッペルゲンガ―の正体を知りたいのです。
ほら、よく言うでしょ? ドッペルゲンガ―を見ると死ぬって……」
美女は不安そうにそう語る。
「ふむ、よろしい。まずは、あなたのお名前と職業を教えてくれませんか?
ドッペルゲンガ―を見るほどとなると、芸術家か、相当のストレスを受ける職業の可能性がありますから……」
美女はネコーズ達を見て、一瞬考えるようなしぐさをする。
「あの、私の名前はミキといいます。職業はなく、アルバイトをして、何とか生活しています。たぶん、生活が苦しいので、そこからストレスを感じているんだと思います」
美女はそう言って、黙ってしまった。一応、美女のスペックを上げておこう。
本来は黒髪のショートだが、仕事で邪魔にならないためか、ツインテールのように二つにまとめている。
メガネを着用する時もあるようだが、今はコンタクトレンズをしている。顔は幼い感じを残しつつも、目に闘志を宿している。
その目が、彼女の美しさを引き立てているのだ。
胸はそんなになく、Bカップという所。ネコーズ好みの貧乳だ! ネコーズは、彼女にどのような状況でドッペルゲンガーを見たかを訊く。ミカさんはゆっくりと語り始めた。
「私が仕事をしている時に、街を歩いているって友人に言われたりしました。家に帰ると、父親が不思議な顔で私を見て来ます。
なんでも、ちょっと前に私が帰って来るのを見たと言います。そうした不思議な事がたびたびありました。
このままいくと、私はいずれドッペルゲンガ―を見て、死んでしまうかもしれません。ほら、よく言うでしょ?
ドッペルゲンガ―を見ると死ぬって……」
モコソンはそれを聞き、ネコーズに頼む。
「ネコーズ! ミカさんのような素晴らしい人をみすみす殺すのは惜しい。どうか、この事件を解決してくれ!」
ネコーズは面白い事件だと思い、モコソンに漫画を任せ出かける。
「モコソン、ネームは出来ている。後の背景やべた塗など、簡単な作業は任せたよ! こうした事件を解決するのも、僕の想像力を刺激するのさ!」
ミカさんは万一のため、残ってモコソンの手伝いをする。
ネコーズ対ドッペルゲンガ―の対決が開始されたのだ。
ネコーズはあらかじめ訊いておいたミカさんの行動範囲をしらみつぶしに探す。
手間がかかるが、この方法でしかドッペルゲンガ―は発見できない。